チベットチベット 在日コリアン3世が見た2つのチベット

キムスンヨン【著】

• 販売会社／発売会社: 河出書房新社
• 発売年月日: 2009/06/16
• JAN: 9784309244822

商品レビュー

2013/05/03

在日コリアン三世のキム・スンヨン（金森太郎）が揺らぐアイデンティティを胸に世界旅行へ。
その途中、運命に導かれるようにチベット問題と出会い、在日コリアンと亡命チベット人の境遇を重ね合わせ考えるうちに、これまで悩み続けてきた「民族とは何か？　国家とは何か？　国籍とは何か？」という問いの答えに、少しづつ近づいていくことになる・・・

上海でお会いした時は、こんな崇高な旅の途中とは知らず、なだぎ武似の遊び人だと思っておりました。対不起。

正直、「民族」について深く考えることはあまり無く（必要に迫られることも無く）。考えようとしても、いつもぼやけてしまいます。
血、文化風習、土地、言語、思想、国籍etc　いざ、括ろうとして突き詰めていくと実態が無くなってしまいます。

以前、タロウさんと鍼の話しをした時、
効果があるなら、たとえ痛くてもバシバシと鍼を刺すべきだ、と考える私は中国人的で。
出来るだけ痛みを出さず繊細に刺したい、と考えるタロウさんは日本人的だ。ということになりましたね。
でも、よくよく考えると日本人なんてみんな「渡来人」で１０００年前に渡って来たか？１００年前に渡って来たか？ぐらいの違いだとも考えられます。
この違いは俯瞰で見れば瑣末なことだとも思えるが、その間に培われたモノは大切にしなければいけないような気もいたします。

私はバックパッカーの様な形での旅行はしたことが無いので、この手の旅行が平気な人は凄いなぁと感心いたします。
思うに、バックパッカーの人たちは「甘える」ということを前提に旅行をされてるように感じるからです。
甘えるというのは表現が悪いかもしれませんが、それは、まだ‘行った事も無い土地’の‘あったことも無い人たち’の事を鼻から信じ受け入れてもらえると思っていることで、偏見が少なく、心を開けてるということでもあり、本当に素晴らしいことだと尊敬いたします。私にはなかなか出来ません。。。

実際この旅行でも、韓国のヤクザからモンゴルの遊牧民、はたまたダライ・ラマ！まで、さまざまな人々と交流を深め通じ合っていく姿にとても感動したしました。
その最たるものとして、多くのチベットの亡命人を受け入れているインド・ダムラサラの懐の深さにも心を打たれました。

そして、チベットの実情についても、等身大で語られてるので、とても生々しく、痛みを伴って感じることが出来ました。
是非、多くの人に読んでもらい、沢山のこと感じてもらいたい一冊でした。

2009/07/27

在日二世の著者が、自分のルーツを求めて世界に旅に出た。
そこで出会ったチベットの人たちとの交流から、「チベットチベット」という秀逸なドキュメンタリーを完成させるまでを書いた本。
旅行記としてもとても面白く、著者の人柄の良さが滲み出ている本。