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昭和史 1926-1945 平凡社ライブラリー671
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 平凡社 |
発売年月日 | 2009/06/11 |
JAN | 9784582766714 |
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4.4
213件のお客様レビュー
松岡正剛が2024年夏に亡くなられました。その最後の著作「昭和問答」で昭和の概史に触れています。それに対して私は高校日本史程度の知識しか持ち合わせていなかったため、改めて明治〜昭和にかけてどのような歩みで日本が戦争に突入してしまったのかを知るために、一番有名なテキストとして読み始...
松岡正剛が2024年夏に亡くなられました。その最後の著作「昭和問答」で昭和の概史に触れています。それに対して私は高校日本史程度の知識しか持ち合わせていなかったため、改めて明治〜昭和にかけてどのような歩みで日本が戦争に突入してしまったのかを知るために、一番有名なテキストとして読み始めました。 本作を通読していると、日本は正当な理由なくどこか抽象的な空気の中で微妙な決断を繰り返し、引き返せぬところまできた末に太平洋戦争に突入してしまった、という印象を受けました。半藤さん自身がむすびの章で、教訓を説いています。 "第一に国民的熱狂をつくってはいけない。その国民的熱唱に流されてしまってはいけない。" 新聞各社などが結託して陸軍と結びついて国民を煽動した結果、正義よりもおぞましい意思が優先してしまったのですね。これはナチスドイツも近い感覚を感じますし。現在でいうとトランプの復権も類題かと思っています。そして何よりSNSでの攻撃、根拠のない一体化は非常に怖く感じます。 "二番目は、最大の危機において日本人は抽象的な観念論を非常に好み、具体的な理性的な方法論をまったく検討しないということです" これは自分の仕事にも反省しなければいけない点が多く...。しかし、物理的にそう簡単に改善できる訳でもなく...。ある意味日本のビジネスマンの命題的なことでもあります。また、政治家も企業ももっともらしいことを言っていますが、ずっと具体性に欠けていますね。本当にこれは国民病だと思います。 今回の通読で、歴史の把握だけではなく戦争の時代の教訓も認識しました。また何度か通読すべきだと思います。 余談ですが松岡正剛によると、GHQ占領以後、あまりに見事に間接統治され、高度経済成長に向かった日本は、自らの昭和二十年史を省みる時間がなかったのではないかと指摘しています。その通りですね。現在まで、同じ課題が先送りになっているのですから。
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歴史を学ぶ意義が過去の教訓を未来に活かすことなのであれば、日本人が最も学ぶべき歴史は本書が扱う昭和の前半(1926-1945)であると思う。 当時、一部の国が日本に過度に厳しい態度で接していた側面があることは理解できる。また、日本史の中でも最も苛烈と言ってよいこの期間に国や自身...
歴史を学ぶ意義が過去の教訓を未来に活かすことなのであれば、日本人が最も学ぶべき歴史は本書が扱う昭和の前半(1926-1945)であると思う。 当時、一部の国が日本に過度に厳しい態度で接していた側面があることは理解できる。また、日本史の中でも最も苛烈と言ってよいこの期間に国や自身の家族や後世の為に命を賭した方々には敬意しかない。 ただ、それでも慢心や情緒主義に流されて何度も判断を誤った国の中枢部や、メディアに流されて熱狂した国民を冷静に省みて、どうすればこのような事態の再発を避けられるのか、多くの人々が考える機会を持つことが大切だと思う。 これは、よく言われる「自虐史観」では決してなく、本書が提示している以下5つの教訓は義務教育で教えられても良いのではとすら思う。 ① 国民的熱狂をつくってはならない ② 意思決定に抽象的観念論を介在させてはならない ③ 小集団エリート主義に陥ってはならない ④ 国際社会のなかの日本の位置付けを客観的に把握しなければならない ⑤ 大局観なく対処療法的な対応をしてはならない ②と⑤については日本軍の組織論的な研究を行った「失敗の本質」でも指摘されており、かつ現代日本の様々な組織にも色濃く残っている性格だと思う。また、①についても非常に重要で、よく「被害者」として語られる国民も、少なくともその一部はメディアにのせられ、時には好戦的に政府を突き上げていたことを知った。 この期間を生きた人々がどんどんお亡くなりになり、昭和の記憶が時代劇のような昔話になってきた昨今、このような示唆に富んだ本が少しでも多くの人に読まれることを望む。また、自身も折に触れて読み返すようにしよう。
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満州事変から太平洋戦争終結にいたるまで、日本がたどることになった軌跡を追い、わかりやすく解説している本です。 著者は近代日本のあゆみを、「国をつくるのに四十年、国を滅ぼすのに四十年」とまとめています。明治維新から日露戦争までが「国をつくる」プロセスであり、そこから敗戦までが「国...
満州事変から太平洋戦争終結にいたるまで、日本がたどることになった軌跡を追い、わかりやすく解説している本です。 著者は近代日本のあゆみを、「国をつくるのに四十年、国を滅ぼすのに四十年」とまとめています。明治維新から日露戦争までが「国をつくる」プロセスであり、そこから敗戦までが「国を滅ぼす」プロセスというのが、著者の理解です。 満州事変から日中戦争、さらには太平洋戦争と、日本を相次ぐ戦争へとみちびていったものはいったいなんだったのかというのが、本書を貫く大きなテーマとなっているように思います。とくに、勝利の可能性のきわめて低いことがわかっていたアメリカとの戦争に道を開くことになった日独伊三国同盟の締結にさいして、その危うさが認識されていたにもかかわらず、「起きると困るようなことは起きないということにする」という、根拠のない想定にもとづいて、「国を滅ぼす」方向へと進んでいった経過が明らかにされています。 語りおろしの形式でつくられた本ということもあり、著者の語り口に乗って読み進めていくことで、昭和史の流れを概観することができる構成になっています。ヴォリュームのわりには、すらすら読むことができるのも、本書の大きなメリットのひとつだと思います。
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