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海岸線の歴史
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | ミシマ社 |
発売年月日 | 2009/05/08 |
JAN | 9784903908083 |
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海岸線の歴史
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商品レビュー
3.5
7件のお客様レビュー
豊富な歴史的知見を動員して、海岸線の歴史的考察を縦横に試みるユニークな本。 土佐日記にある曳舟の記述から、海から山中にまで河を上って水運がひらかれていたことを論じている点が興味深かった。 弥生時代以降の日本の水田開発は、平野全体を緩やかな傾斜にして、水田の水をゆっくり海に流して...
豊富な歴史的知見を動員して、海岸線の歴史的考察を縦横に試みるユニークな本。 土佐日記にある曳舟の記述から、海から山中にまで河を上って水運がひらかれていたことを論じている点が興味深かった。 弥生時代以降の日本の水田開発は、平野全体を緩やかな傾斜にして、水田の水をゆっくり海に流してゆく水平の水田づくり、と規定する。なるほど。 しかし、いわゆる白砂青松の景観は、江戸時代の干拓によるもので、そうやって開いた水田を潮流や潮風から守るために作られた近世に由来するのだと。なるほど。 幕末以降、それまで船の難所とされてきた灘が、大型の蒸気船や軍艦のための港として活用されるようになった。なるほど。 私がこの本を手に取ったのは、古代の日本の海岸線について知りたかったからだった。そのヒントを得ることができたので、後半は読み残しとする。
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もう少し自分に、日本の歴史と土地勘があれば、もっと面白く読めただろうなぁと思った一冊。 地図を見ながら、想像しながらで読んだので、時間はかかったけど、旅したい候補地ご増えた。
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「砂の文明・石の文明・泥の文明」の提唱者、松本健一氏による日本の海岸線を巡る論考。 国土の面積が日本の25倍の米国、26倍の中国とくらべて、日本の海岸線の総延長はそれぞれ1.5倍、2倍に達するという。以下、備忘メモ。 英国が植民地するような地域は、切り立った崖で水深が陸地近くま...
「砂の文明・石の文明・泥の文明」の提唱者、松本健一氏による日本の海岸線を巡る論考。 国土の面積が日本の25倍の米国、26倍の中国とくらべて、日本の海岸線の総延長はそれぞれ1.5倍、2倍に達するという。以下、備忘メモ。 英国が植民地するような地域は、切り立った崖で水深が陸地近くまで深く、すぐそばに高台がある(例えば香港)。要するに大型船が接岸しやすく、また他国船の接近を見つけやすい場所、それが狙い目だった。 一方、日本にとっては従来良港とは「入江」だった。波が小さく水深が浅い。香港のような条件のところは「灘」つまり難所だった。黒船来航、産業の変革で従来とは違う条件の港が開け始めた(例えば神戸)。ちなみに、「海岸線」自体がごく新しい言葉。吉田松陰あたりは使っていたようだ。 海岸(というより海辺)は「神と人間が接触する場」であった。日本人の先祖の一部は大陸・半島からの渡来であり(出雲大社)、海辺に神社が立ち、死者が海に還るとの信仰も源流はそこにある。(網野善彦の「境界」を巡る論との接点。また、古事記にみられる海洋系の神と農耕系の神との対立(前者の代表例が機織り機を壊すスサノオノミコト)) 海は共有物、という感覚は海洋開発によって失われつつある。今や国土と同様に領有権を議論される場となってしまい、その行きつく先が「大陸棚法」。こうなると海岸線の意味はますますなくなっていくだろう。 ---- 研究書というよりはかぎりなく「エッセイ」に近い書物。しかし、豊かな「気づき」を多数与えられた本であった。
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