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バタイユ
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 青土社 |
発売年月日 | 2009/04/09 |
JAN | 9784791764709 |
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人間というのは、頭だけでできているわけではない。いろいろな用途に用いる身体の各部位は無論のこと、自分では制御することの難しい感情までもふくめて、 総体として人間というものがある。ところが、人間や人間の世界について語ろうとすると、往々にして理性的な存在としての人間や世界が論じられるということ が起きる。その結果、現にある世界とは似ても似つかない世界がありうべき世界として語られたりすることになる。臭いものには蓋をして、すまして語り終える ことをよしとしない、ある種の人間にとって、それはたまらなく苛立たしい態度に映るようだ。ニーチェがそうであったし、ここで採りあげられているバタイユ もそうだ。 どうして、そのような隠蔽工作が行われるのだろうか。近現代の世界は好むと好まざるにかかわらず西欧キリスト教文化圏の支配下 にある。「はじめに言葉ありき」という、世界は言葉によってとらえることができるというロゴス中心主義が世界観の根源にあるのだ。言葉は昼の世界のもので あり、アポロン的な明晰さを好む。もともと複雑で不定形のものを明確な輪郭線で切り取り、すっきりした形にしてみせるが、その一方で猥雑なエネルギーに満 ち、常に形を変えて蠢くディオニッソス的なものをとり逃してしまう。キリスト教が、神や天使といった明の世界のアンチテーゼとして悪魔や地獄という暗部を 生みだしてしまうのは、本来それらは一つのものとしてあったからだ。 ニーチェやバタイユは、それを「生」ととらえた。人間の「生」とは、 覚醒した昼の世界ばかりでなく、不合理な夢が支配する夜の世界を含み、祭儀や供犠における陶酔や熱狂を通して他とつながろうとする。西欧近代社会は、理性 や調和を重んじるあまり、その物差しにあてはまらないものを不当に抑圧し続けて発展してきた。その挙げ句が、二度にわたる大量死を引き起こす世界大戦であ る。バタイユが、その思想を形成していったのは、そんな時代であった。 日本では、その作品から受ける印象から「異常な性的表現を好む特殊 な作家」という印象を持たれがちなバタイユだが、著者によれば、デカルトに始まる「人間は理性を十全に働かせれば自然の主人かつ所有者になれる」という近 代の生命観に疑義を呈する、ごく少数の思想家や芸術家の系譜に位置するという。著者には、人間は大きな自然の生命の流れの一つであるという認識がある。現 代の世界や日本の、自然と切り離され、互いの生も個人の非連続的な群れと化した在り方に対する批判は本書でも顕著である。 著者の目から見 たバタイユは、分断された「生」のつながりを希求する模索者である。本書は五つの章で構成されている。第一章「夜」は、バタイユにとって「夜」がどういう 意味を持っているのかを考察する。セリーヌやフロイトを手がかりに第一次世界大戦を論じつつ、キリスト教社会における「夜」という言葉の文化史を探る試 み。第二章「グノーシス」は、キリスト教では異端扱いをされるグノーシス派の沈み彫り宝石をもとにした論文「低い唯物論とグノーシス」による、同時代の唯 物論批判。物質を生きた物質と見るバタイユ独特のグノーシス理解が冴える。第三章「非-知」は、ニーチェやベルクソンを引きながらバタイユの最重要概念 「内的体験」を論じている。第四章「死」では、吉本隆明の講演、入澤康夫の詩を採りあげ日本人の死生観とバタイユの接点を探る。第五章「中世」は、バタイ ユがいかに中世に執心していたかを、友人の言葉や彼が暗誦していたロマンス語の詩を題材に論じている。ジャンヌ・ダルクやジル・ド・レの生きた中世。「生 の連続体」という意識がバタイユと中世人とを結びつける。 それぞれの章は独立した文章として読むことができる。個人的には、写真図版も多い第二章「グノーシス」と、第五章「中世」が興味深かった。バタイユはともかく、中世やグノーシス派に興味を持つ者には一読の価値がある文章だと思う。 時 代を遡行し、地域や分野を横断、越境してまで生のつながりを求めながら、一つの派というものに括られることから起きる停滞を厭い、ブルトンをはじめ、同時 代の芸術家や思想家と決別せずにはいられなかったバタイユ。常に自分の追い求めるものについて妥協を許さないバタイユの姿勢に、「連帯を求めて孤立を恐れ ず」という懐かしい言葉を思い出した。今の世界のあり方に疑問を抱く人にこそ読んでもらいたいと思う。
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