太宰治 人間失格 デカい活字の千円文学！

太宰治【著】

• 販売会社／発売会社: やのまん
• 発売年月日: 2009/04/25
• JAN: 9784903548197

商品レビュー

2015/03/26

さっさと死ね。この一言に尽きる。

太宰治の名作「人間失格」を始めて読んでみた感想がこれである。
なんの先入観も持たずに読んだ人は大概そう思うのではないか。

子供のころから周りにいい顔して生きていく処世術を身に付けた葉蔵だったが、自らには何かが欠落していることを自覚していた。

カフェの女給と入水自殺をし自分だけ生き残り、
雑誌記者の母娘に手を出そうとするも幸せそうなので逃げ、
アル中後に結婚したと思うと妻が犯されているところから逃げ出し睡眠薬で自殺を図る。
そしてモルヒネ中毒へ。

まぁ、クズですわ。

そんなクズの独白がメインのこの小説が何故名作となりや？（という鼻につく文体をクズがのたまっているのがムカつく）

この時代の文豪の小説のメインテーマは人間の心の弱さである。
「走れメロス」然り、芥川龍之介然り、森鴎外然り、夏目漱石然り。

そういった心の弱さを読者にさらけ出しているのである。そこからどう読み取るかは読者次第なのだ。

心の弱さは誰もが持っている。もし、自分だったらという読書感想文の定番文句を当てはめると、このシーンだったら自分も同じことをしてしまうかもしれない。
どこかしら自分にも当てはまる心の弱さがあるから、その部分を主人公の心の弱さに添うことができる。その共鳴が名作を名作たらしめているのだろうと思う。

と思った上であえて言おう。さっさと死ぬがいい。

2009/09/07

言わずと知れた一番有名かつ最も読まれている太宰作品。太宰治論の奥野健男氏は「太宰治の全作品が消えても、『人間失格』だけは人々にながく繰返し読まれ、感動を与え続ける、文学を超えた魂の告白と言えよう」とまで評しています。

アフォリズムを作り出す天才だと言われる太宰治。中でも『人間失格』の中の言葉は際立って名文揃いです。主人公である葉蔵の破滅へのリアルな道筋は、読んでいて寒気がするほど。人と人との繋がり、社会との繋がりなどの意味を改めて考えさせられます。