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新平等社会 「希望格差」を超えて 文春文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 文藝春秋 |
発売年月日 | 2009/02/10 |
JAN | 9784167736026 |
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商品レビュー
3.7
12件のお客様レビュー
文庫版のあとがきの通り、格差是正の「希望」はかなわず、世の中は強いものによるルールの“見直し”で益々合法的に格差拡大社会へと進んでいる
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1格差拡大はあるのか(事実)、2格差はよいものか(価値)、3格差拡大の原因はなにか?(因果)という3つの問いを立て、それに解答するという展開の後、処方箋を提示するという前半分の書き下ろしと、後半は各媒体に掲載した論文という構成。前半の各々の解答は1は無意味な問い、2はどちらでもな...
1格差拡大はあるのか(事実)、2格差はよいものか(価値)、3格差拡大の原因はなにか?(因果)という3つの問いを立て、それに解答するという展開の後、処方箋を提示するという前半分の書き下ろしと、後半は各媒体に掲載した論文という構成。前半の各々の解答は1は無意味な問い、2はどちらでもない、3は構造的要因というちょっと肩透かしな解答ではある。処方箋は裕福層から増税すればよいという社民的なものでオーソドックスなものとなっている。目新しさはないが現代社会について漠然と感じている事が整理されている点において読む価値はあると思う。 ただし、疑問もある。著者は構造的問題は不可逆的であり変更のしようがないとし、分配型で格差を埋めようと考えている。ある種の結果の平等である。他方、機会の平等も求めており、職業訓練の充実化を唱えているわけだが、専門労働と単純労働という二極化の構造が変わらない(パイは限られている)のだから、皆が専門労働になる事はありえず、必ず負け組は発生するという点をどう考えているのか不明である。が、勝てるかもしれないという希望さえ与えて、負けても保護してやればいい、という機会と結果の平等を実現しておけば、負け組であり続けても希望は喪失しないという事なのだろうか? また、著者は相変わらず「希望」に拘っているのだが、経済格差の問題ではなく、心理学的要素やプライドの問題であるのなら、意識改革だけを行えばよいという事になる。どうも経済格差の実態から希望格差の推論のつながりに整合性が感じられず、説得力が弱い印象を受ける。そもそも希望なき状態による社会秩序の悪化を懸念しているようであるが、日本の治安は相変わらずよいという状況をどう考えたらよいのだろうか?という疑問も残る。 後半で興味深いのは「専業主婦志向の女性が多い」という事実がフェミニズムからも反フェミニズム(保守)の双方から攻撃を受けているという点である。ここはイデオロギーが事実を認めないという由々しき事態であり、この事実を無視したせめぎ合いによって、政策決定されているとなると、問題は何も解決しないだろうなあという暗澹たる気持ちになる。
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自治体・官庁のメディアが結婚格差に関する研究成果の掲載を拒否しているという内容に絶望した。大本営発表と何が違うのか。この国は結局あの戦争から何一つ学べなかったということか。対抗手段はもうこの既得権のくびきから完全に逃れる事か、なんとしても既得権を得る側に回ってゆるやかに死んで行く...
自治体・官庁のメディアが結婚格差に関する研究成果の掲載を拒否しているという内容に絶望した。大本営発表と何が違うのか。この国は結局あの戦争から何一つ学べなかったということか。対抗手段はもうこの既得権のくびきから完全に逃れる事か、なんとしても既得権を得る側に回ってゆるやかに死んで行くかの2択しかないように思える。
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