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神器(下) 軍艦「橿原」殺人事件
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 新潮社 |
発売年月日 | 2009/01/25 |
JAN | 9784103912033 |
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神器(下)
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商品レビュー
3.6
9件のお客様レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
軍隊ミステリーの傑作。上下巻を一気に読み終えてしまった。 1945年4月、「大和」が沖縄に向けて片道特攻に赴いたその時期に、真の「高天原」=ムー大陸を目指す妖しい天皇カルトが日本海軍の巡洋艦をハイジャック、単艦南太平洋を目指していく――。小栗虫太郎にかぶれたミステリー作家志望の上等水兵・石目鋭二を狂言まわしにしながら明らかになっていく「謎」とは、男たちが「恋闕」し、聖と性とが妖しく交わるカルトとしての天皇制の物語に他ならない。 この作品が描いたカルト「皇祖神霊教」は確かに天皇制のニセモノだが、それでは現在の天皇家がニセモノではない保証がどこにあるのかと考えたとき、この作の問題性が浮かび上がる。軍艦「橿原」の中央に巣くった「奥の院」が艦全体を狂わせていくという物語の構図は、まさに近代天皇制の物語そのものであり、「皇祖神霊教」は、天皇を戴く「神の国」ニッポンの根幹をごく散文的に記述したものに他ならない。つまりこの作品は、裏返された「英霊の声」としてある。あっけらかんと天皇制を棄て去ることができなかった「ニッポンジン」には、未だにその神国思想の残滓が亡霊のように漂っている。
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虚と実が入り混じる奥泉ワールド。 語り手や時点、表現形式が複雑に交錯し、読者は落ち着かない気分を強いられる。 小説的試みはいろいろされているが、物語を引っ張る軸は余り強く感じられず、読了感は整理しづらいものであった。 戯曲形式をとっていないところも含め、全体として一種戯曲を見てい...
虚と実が入り混じる奥泉ワールド。 語り手や時点、表現形式が複雑に交錯し、読者は落ち着かない気分を強いられる。 小説的試みはいろいろされているが、物語を引っ張る軸は余り強く感じられず、読了感は整理しづらいものであった。 戯曲形式をとっていないところも含め、全体として一種戯曲を見ているかのような感じも受けることがしばしばあった。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
上巻レビューの続きです。 やっぱりタイトルは偽りであって、「殺人事件」といってもミステリー物ではなかったですよ。 時に昭和二十年、皇国の存亡を賭けた密命を帯びる軍艦「橿原」の航海はますます狂気じみたものになっていく。艦長の公開切腹やら、催眠術のように思想伝染する狂信的な一党の躍進やら、そして極秘裏に格納されている●●が発する七色電波を浴びたものが●●になってしまうとか、ポリネシア洋上にある「本当の日本人の故郷」を目指す壮大な計画など、次から次へとびっくりエピソードのたたみ掛け、いったい物語はどこへ向かうのかという気になるが、ついに最期の時が訪れる… さて、では果たしてこの戦記ファンタジーは一体何を描こうとしているのかといえば、ことさらSFや神秘オカルトの味付けで誇張しているものの、きっとイデオロギーが過熱していく渦中で、一人の人間が個ではなく、集団の一部に溶けあってしまうことの寓話なのだ。 対して、我らが主人公・石目上水兵の斜に構えたモノの見方、狂気に汚染されていく状況をドライに客観視するスタンスは気持ち良く、物語のラストシーンは個人的にとても清々しく感じた。同じ(?)戦艦モノとはいえ『男たちの大和』みたいなものとは真逆の精神で書かれているので、間違ってもあれを見て泣いた人とかは、コレを読むのは止めておきなさい。とだけ言っておきたい。 そもそも、この本を手に取ってみたのは朝日新聞での斎藤美奈子の書評コーナーがきっかけだった。斎藤先生のおススメは結構自分には、どストライク。それにしてもロンギヌスの槍だの、球体をした超空間だの、某エヴァンゲリオンの香りのするのは気のせいか?
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