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かなしみの詩 「10歳の放浪記」その後

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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 講談社 |
発売年月日 | 2009/01/13 |
JAN | 9784062151917 |
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かなしみの詩
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商品レビュー
5
4件のお客様レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
【ブログで紹介】 以前「童話を書きたい人のための本」の紹介をしました。 さなえさんには沖縄でとても懇意にしていただき、今もやり取りをさせていただいています。 さなえさんの生い立ちは壮絶で、10歳でホームレスになり、その後養護施設に入りいじめを受けた少女時代を過ごしています。 その頃のことを書いた「10歳の放浪記」(2006年)を出版し、NHKの「わたしが子どもだった頃」に出演されました。 その「10歳の放浪記」の後のエッセイが本書です。 養護施設時代のことが書かれています。 たんたんとその頃のエピソードや自分の気持ちを振り返っています。 養護施設に行く子どもたちが集まった集会室で、 女の子から言われた言葉が衝撃的です。 「浮浪児が来た」 私は久しぶりに目にした言葉です。 父親と簡易宿舎を転々としていたさなえさんはホームレスでした。 着るものが汚れていたから言われたのです。 ”恥ずかしくて顔が赤くなった”と書かれています。 子どもは残酷です。 私も小学校の時、同級生にとても酷いことを言っていました。 不良全盛時代の中学校で生徒会長になった私は、いじめをする不良たちに注意する正義感のかたまりになっていました。 ここでは関係ありません。 さなえさんはホームレスになったせいで、養護学校では五年生からやり直しになりました。 一年遅れだということを隠し通そうと決めました。 また仲の良い友だちを作ず、人とあまりしゃべらないことを心に誓いました。 父がホームレスだということや、母がどこに行ったのか分からないことをバカにされると思ったからです。 男生徒たちは生活に耐えられず、たびたび脱走しますが、いろいろなフラストレーションで、さなえさんはいじめのターゲットになってしまいます。 仕返しが怖くて先生に言えないさなえさんのことを、先生たちはよく分かっていて優しくしてくれます。 現在とは違う先生たちのアプローチだと思いますが。 さなえさんはやさしい先生になりたいと決めたそうです。 また、いじめから逃げるために図書館で本を読むようになり、先生から紹介された石川啄木の歌集を読んで衝撃を受けました。 本書に歌が多く紹介されています。 心のよりどころとなるものが見つかったのは幸いでした。 その他、心の本当の支えとなっている、父親違いのやさしいお姉さんのことなど 様々なエピソードが書かれています。 号泣するのではないかと思っていた本書に、私にしては珍しく涙が出ることはありませんでした。 現在のとてもおだやかなさなえさんを知っているからかもしれません。 ただどうなっていくのか知りたくて、どんどん読みました。 小さな女の子が、人が変わってしまっても父や母を思い、やさしい姉を思い、やさしい先生たちに恵まれ、石川啄木の歌集に出会い、先生になりたいと思う夢を持ちました。 さなえさんはあとがきで ”乗り越えて生きてきたことを伝えたかった”と書かれています。 その過程が書かれています。 噛みしめながら何度も読みたい本です。 なお装丁がとても素敵です。 表紙には日記と姉との写真、内装には養護学校での生活のイラストが書かれています。 表紙上部には、日記の「先生 ごめんなさい。」 という文字がとても目立っています。 (2024.6.26) ※2024.6.17注文@amazon注文、6.19到着 2024.6.24読書開始、6.26読了
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胸が締め付けられる思いがした。 貧困、ネグレクト、いじめ。 戦後すぐの話だが、これは、今の日本と同じではないか。 養護施設で同級生からいじめにあいながら、高潔に生きられたのは、先生、友達、妹のことを思いながら働いている姉の愛情、それに石川啄木という同志でありながら先生でもある作家...
胸が締め付けられる思いがした。 貧困、ネグレクト、いじめ。 戦後すぐの話だが、これは、今の日本と同じではないか。 養護施設で同級生からいじめにあいながら、高潔に生きられたのは、先生、友達、妹のことを思いながら働いている姉の愛情、それに石川啄木という同志でありながら先生でもある作家のお陰だ。 わたしはこれを読んで、自分は今まで人間の何を見てきたんだ、と強く思った。 大切なのは見かけや地位などではない、人の悲しみに寄り添える心なのだ。それがすごく価値あるものだと感じさせてくれる本だった。
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著者は半世紀近くを経てこの自伝を書くことができたのだと思う。書く事によって再び生きることができるのだろう。書かねばならなかった著者の魂に生で触れたような気がした。この壮絶な経験を経てなお著者が今あるのは、やはり絶対的に信頼できる大人(姉や施設の先生)の存在と父と母へのゆるぎない愛...
著者は半世紀近くを経てこの自伝を書くことができたのだと思う。書く事によって再び生きることができるのだろう。書かねばならなかった著者の魂に生で触れたような気がした。この壮絶な経験を経てなお著者が今あるのは、やはり絶対的に信頼できる大人(姉や施設の先生)の存在と父と母へのゆるぎない愛があったからだろう。児童文学者の自伝は広く読まれることはないだろうが、この2冊はYA世代から老年世代までおすすめしたい作品。
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