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日本の歴史(05) 律令国家の転換と「日本」 講談社学術文庫1905
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 講談社 |
発売年月日 | 2009/01/10 |
JAN | 9784062919050 |
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日本の歴史(05)
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桓武天皇は自分の在位中にその治世の様子を記した史書を編纂させた。早良親王の廃太子のような都合の悪い事実を削除した。「平安時代初期が一見文運隆盛に見えても、政治思想的に見るべきものがないことの一因に、天皇による史書の改訂を挙げることも可能であろう」(84頁)。権力による表現の介入は...
桓武天皇は自分の在位中にその治世の様子を記した史書を編纂させた。早良親王の廃太子のような都合の悪い事実を削除した。「平安時代初期が一見文運隆盛に見えても、政治思想的に見るべきものがないことの一因に、天皇による史書の改訂を挙げることも可能であろう」(84頁)。権力による表現の介入は文化を衰退させる。 この時代は制度を現実に近づけようとしていった。律令の租税は租庸調である。そのうちの租が国衙の財源であったが、租は稲の三パーセント程度であり、主要財源になるものではなかった。租は神に供える初穂料の性格が強かった。国衙の主要財源は公出挙であった。本稲を貸し出し、本稲と利息分の利稲を返す仕組みである。国衙が自分の利益のために勝手に貸し出すものであり、借りさせられる側からすれば迷惑である。このため、公出挙本稲の班給を拒否する人々が続出した。 菅原道真は弥縫策として返挙(へんこ)という概念を生み出した。本稲を毎年貸し出し、本稲と利稲を返してもらい、翌年に再び本稲を貸し出す。これは手続きが煩雑であり、免れる人々も出てくる。そこで本稲は貸しっぱなしにすると扱った。この貸しっぱなし分が返挙である。毎年利子分の利稲だけを支払わせる。公出挙を土地に対する課税に近づけていった。 律令制度は人間を管理し、人間から租税をとることを理想した。しかし、人間を管理することは大変である。政治が悪いと逃亡する人間が増え、戸籍がじったいと乖離する。むしろ土地は逃げない。土地に課税する方が確実になる。
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9世紀の様々な分野での転換が描かれる。都、天皇、東アジアの中の日本、政務のあり方、税制、地域社会など……著者は「おわりに」で「青写真を用意してそれに合わせるように現実を変えていこうというやり方と訣別した対処のあり方で良しとする姿勢が明確に打ち出されたのが9世紀」で「その後の日本国...
9世紀の様々な分野での転換が描かれる。都、天皇、東アジアの中の日本、政務のあり方、税制、地域社会など……著者は「おわりに」で「青写真を用意してそれに合わせるように現実を変えていこうというやり方と訣別した対処のあり方で良しとする姿勢が明確に打ち出されたのが9世紀」で「その後の日本国家の政治の体質」になったと言う。里倉成立のくだりには笑ってしまったがこれなど、青写真に現実を合わせることと訣別したうちの姑息な例、一方で、天皇のあり方や政務の実態の転換などはきちんと現実を見据えて青写真から逸脱する例だと思えた。
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律令国家の誕生から百年になろうとする頃、桓武天皇は長岡京、平安京と遷都を重ねる。そして9世紀、天皇の権威が確立してゆくなか、中央では藤原氏北家による摂関政治が成立、地方では伝統的郡司層の没落と国司長官の受領化が進展する。奈良時代末~平安時代初期に展開した「古代の終わりの始まり」と...
律令国家の誕生から百年になろうとする頃、桓武天皇は長岡京、平安京と遷都を重ねる。そして9世紀、天皇の権威が確立してゆくなか、中央では藤原氏北家による摂関政治が成立、地方では伝統的郡司層の没落と国司長官の受領化が進展する。奈良時代末~平安時代初期に展開した「古代の終わりの始まり」と著者が位置づける古代社会の再編を精緻に描く。
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