成人の知的発達のダイナミクス:発達ウェブ

K.W.フィッシャー(著者), Z.ヤン他著(著者)

• 販売会社／発売会社: 明文書房
• 発売年月日: 2008/10/01
• JAN: 9784839110185

商品レビュー

2018/04/09

「成人の知的発達のダイナミクス」Kurt W. Fischer

成人期における認知的発達は、幼児期から子供期以上に豊かで複雑でダイナミックである。

人の結晶的知能と流動的知能
結晶的知能、、、知識や理解力、判断力など、文化・社会環境や教育によって発達する能力。高齢になっても衰えない。

流動性知能、、、記憶、知覚、基本的情報処理など、新しい場面へ素早く対応する能力。生まれながらに持っており、年齢と共に衰退する。

人は社会的、情緒的、技術的、物理的挑戦を伴う多様でダイナミックな世界に順応して成長する。その場での直感に行動が即応していなければならない。

成人発達のウェブは、はしごが変化を控えめに扱うか、エラーや個人的差異として欄外に押しやるのに対し、活動による変化を中央に位置付ける。

ウェブは、はしごが基本的に集団のパフォーマンスに基づくのに対し、個人の認知的パフォーマンスに基づく。

ウェブは、はしごが一時的な単一レベルを想定するのに対し、個人の複合的な認知レベルを内包する。

ウェブは、はしごが要素間のネットワークを含まないのに対し、内部に複雑なネットワークを持っている。

ウェブは、はしごが単一ラインによって役割や領域を扱うのに対し、複合的な役割や領域を認める。

ウェブは、はしごが前進という単一の方向性を想定するのに対して、前進への地固めや後退というように複合的な構成上の方向性を示す。

状況的サポートによって、スキル・パフォーマンスの上限が変化する。それには二つのタイプが確認されており、それは最適レベルと機能的レベルである。どんな領域においても、コンピテンスは一つのレベルのみでは限定されない。

仕事上の介入や他者による「足場がけ」を欠く場合、人は日常的役割にスキルレベルにおいて非常な変化を示す。

最適レベルは通常、複雑なパフォーマンスに対して、強力なサポートがある場合に達成される。

共同建設的なプロセスは大人にも必要。子供よりずっと、レベルにダイナミクスが見られる。

認知的活動は、幼児期から子供期にかけてしっかりと構築され、永久的なスキルや概念的なカテゴリーへと徐々に構築が進められる。思春期と成人初期において、人は具象的概念から抽象的概念へと移行しながら彼らの行動を幾度となく再構成する。成人期の残りほとんどは、これらの抽象的スキルの強化、完成、統合、総合、そして拡張に携わる。

認知発達において進歩とは後退と前進が結合した結果。適応性を持つ新たなスキルを構築する事で、多くの後退は前進への道を準備する。

あるレベルにおけるスキルの地固めは、次のレベルの出現によって起こる。

最適パフォーマンスの発達は、突然跳躍したり落下したりする。

レベルは状況的サポートの下では、変化しながら出現したり消滅したりする。

新たなスキルを利用可能にする為には、地固めされ定着するまで、低レベルの後退とその後のスキルの再構成の繰り返しが必要となる。

急激に変化する世界に挑戦し、新たなアプローチを構築する主な原動力は、他者、仲間、友人、メンター、両親、親戚、自身の子供達と共に学ぶ事によって形成される。

成人発達に関する新たな知識は、複雑で自然で社会的で精神的な世界からの新たな挑戦に、多くの成人が楽しみながら成功する為の助けを提供する。