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それでも私は父を愛さざるをえないのです 『シンドラーのリスト』に出てくる強制収容所司令官の娘、モニカ・ゲートの人生
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 同学社 |
発売年月日 | 2008/12/15 |
JAN | 9784810200690 |
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それでも私は父を愛さざるをえないのです
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それでも私は父を愛さざるをえないのです
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アーモン・ゲートの娘、モニカ・ゲートへのインタビュー。 アーモンゲートはナチの強制収容所、プワシュフの司令官。暴虐で有名な男。 『シンドラーのリスト』http://booklog.jp/users/melancholidea/archives/1/4102277013にも出てきた...
アーモン・ゲートの娘、モニカ・ゲートへのインタビュー。 アーモンゲートはナチの強制収容所、プワシュフの司令官。暴虐で有名な男。 『シンドラーのリスト』http://booklog.jp/users/melancholidea/archives/1/4102277013にも出てきた。 身も蓋もないタイトルに手が伸びずにいたけれど、孫の手記http://booklog.jp/users/melancholidea/archives/1/4562050845の前に予習しようと読み始めた。 この順番で正解。逆だと娘がかわいそうすぎる。 私はこの本に「加害者家族のおかれた状況」を期待した。 実際には「この人のライフヒストリー」「この人の心理状態」が描かれている。 それはナチの子らに共通のストーリーでもある。 歴史やアーモン・ゲート自身についての客観的事実を知りたい人には不向き。 この本の中では実際のアーモン・ゲートはあまり重要じゃない。 細かい事実は他の本で調べればいい。 父親がセコいこそ泥だったとしても、犯罪者ですらなかったとしても、モニカはやっぱり不安定に育っただろう。 親の罪よりも人格よりも、そこから派生するゆがみが子供を苦しめる。 これは「サバイバーの物語」として読むべき本だ。 それも、生還した人の物語ではなく、生き延びようとしているさなかの語りだった。 最初のうち、すごく読みにくかった。 モニカは混乱していて自分と他者の区別が曖昧で、聞いた話を経験したように語る。(育ちを考えれば不安定なのは当然だけど) 著者は出しゃばりすぎだし、訳は違和感だらけだし、いろんな意味でいらいらする。 もうこれは混乱したものとしてそのまんま読もうと決めたら一気に読めた。 説明なしにすすむので、著者がどんな立場の人なのかわからない。 アーモン・ゲートをテーマにした戯曲を書いたとふれられている程度だ。 私はこの手の本の著者には、ノンフィクション作家かジャーナリストかカウンセラーの冷静さと配慮と距離を求める。 ケスラーにはそれがない。モニカの話を否定するし誘導するし説教をかます。 そいつはインタビュアーの掟破りだろうと思うけれども、説教したくなる気持ちはわかる。 モニカは「大事な」人を悪くいってはいけないと思いこんでいる。 アーモンにもいい部分を見つけたい。でも行為を許してはいけないことも理解している。 で、全部自分のせいにするし、明らかな嘘にすがろうとするし、正しくない相手に怒りをぶつけたり慰めを求めたりしようとする。 こういう人をみて、目を覚まして幸せになっておくれよと、どうにかしたくなってしまう著者の姿はとても人らしい。 正しいかはわからないけど、こういう向き合い方も必要だ。 モニカは、母や祖母をはじめとする大人たちとの関係の中でだけみれば、哀れな子供で完全な犠牲者だ。 混乱した人に育ってしまったのも同情する。 だけどホロコーストの犠牲者にとっては実体化した悪夢で、虐待の連鎖を止められないのは子供たちにとっては毒でしかない。 それがとても悲しい。 訳は言葉の意味を理解していないんじゃないかと思うようなところがある。 皇妃が「シーシー」、彼氏彼女は「男友達・女友達」、「オスカル・シンドラー」、ディケンズの「クーパーフィールド」、「ピッピ・ラングストゥルンプ」、ヴェデキントの「ルール」など、日本語の本、とくに専門外の本を読まない人のズレのような部分はまだいい。 犬の「髪を」梳くとか、「ルイーゼ学校」が「ルイゼンギムナージウム」に変わるとか、「喜こび」「上図(上手)」「話しをきく」といったミスもまあいい。 上品さを鼻にかけた人の口調がまったく上品じゃない老婆口調(「なんだい」「○○なのさ」など)なのも我慢しよう。 でも「ホモ」や「精神分裂症」はひどすぎる。 こういうのこそ「本文中に差別的な言葉が使用されますが発言者に差別的な意図があることを考慮してあえてそのままにしました」という注意書きが必要だ。 これはどの単語で語られたんだろう。 内容自体もひどいから語り手が差別的な言葉を使ったとも十分考えられるけれど、あとがきから察するに訳者もニュアンスを理解していない。 モニカの無批判な盲従は明らかにアダルトチルドレンな病状なのに、それを訳者は、親を思う気持ちに打たれたとか感動的と評する。 「父がしたこと」http://booklog.jp/users/melancholidea/archives/1/4774300969の時代とまったく変わらない認識にぞっとした。 ロマもゲイ(もしくはGID?)も出てくるのにユダヤ人だけが犠牲者であるかのような本文にも疑問が残る。 この本が原著2004年、邦訳2008年の出版だなんて嘘みたいだ。
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