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日本人の生命観 神、恋、倫理 中公新書
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日本人の生命観 神、恋、倫理 中公新書

鈴木貞美【著】

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日本人の生命観 神、恋、倫理 中公新書

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 中央公論新社
発売年月日 2008/12/20
JAN 9784121019790

日本人の生命観

¥220

商品レビュー

3.4

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2020/08/11
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副題の「神、恋、倫理」の変遷を、膨大な参考資料から解説しています。参考資料の紹介がメインなのではないかと思うくらい、思想家や資料が登場します。大まかでいいので日本史と高校倫理を知っていることが前提な内容です。 あとがきで著者自身が「参考文献が膨大にすぎる」と言っているくらいなので、日本人の宗教観、文学史、生命観を追いかけたい人によっては便利な参照文献検索本になるのではないでしょうか。 以下、自分なりの要約。 第一章 日本神話は土地と大陸の信仰の融合だ。朝廷は権威を記すため神話を更に編集した。西洋の神は不死だが、日本の神は時の流れを嘆き、死ぬこともできる。“いのち“を意味する文字は複数あるが、天の定めを指す“命“が天皇の言葉や寿命を指すようになり、やがて多義的な“命“と感情を含む生命観が生まれた。 第二章 優秀な僧らは、中国の思想から草木も生をもち成仏できるとした。神の信仰へ仏の功徳を広めたため、ときに矛盾する教えもみれる。浄土思想により、命への執着心や成仏できずに地獄へいく思想が広がる。成仏の方法は様々だった。やがて生命の平等観や死後の魂を想い、世の無常や命の儚さが歌われた。戦国時代では死ぬ覚悟こそ武士道だったが、江戸時代に平和が訪れると文と武の分離が進み戦国の武士道は廃れた。またキリスト教も広がったが、世界の外にいる創造神や死後「永遠の生命の流れ」に帰すという教えは、神仏も輪廻転生もこの世にあるという観念に完全にとって変わることはできなかった。 第三章 江戸時代では西洋と東洋の文化学問が共存し、情欲や色恋の物語である浄瑠璃や命の儚さと滑稽さを詠んだ俳句が親しまれる。儒学が発展すると、「和」の論理(男女の性愛)は日本の独自性とされ、よく心を動かす「もののあはれ」の思想や、仏教と儒学から独立し「伝統」観念を創出した神道となる。 第四章 明治では「生命」が頻繁に使われ、歴史的解釈なしに西洋思想が広がる。ダーウィン進化論は社会論的に流布され、国家生命体論や「血統」民族思想を生む。哲学的自殺が社会現象となり、修練として再び武士道が参照されたが、その核心は神道と忠君愛国である。文豪達は天命を受けた個人の自律も主張した。 第五章 いかに生きるかという問いに対して、生命を宇宙の原理とする思想が生まれる。生命現象は科学により説明が求められ、芸術文学にも刹那的に燃焼する生命観が起こる。日本人に関して、永遠の今を求め、一切の観念や概念に囚われない生命観や、激情と淡白のあきらめが混じり合っている精神構造が説かれる。 象徴的で永遠性をもつ生命観の芸術文学がある一方、無常と退屈感からエログロも流行する。経済政治の混乱は軍の政治介入を招く。神道は軍国主義に染まった天皇崇拝の思想に転じ、自己犠牲を賛同する意味で、仏教の「大乗」や「散華」が語られる。種の普遍性が国家に用いられ、滅私奉公の精神を生む。‬ 第六章 ‪敗戦直後、戦前の主体性は全否定される。しかし再び複合文化が見出され、過労死や公害汚染から「大きな生命」観が問われる。自然科学尊重癖は、「多様性」を生物と文化に同義で使い、脳の仕組みをコンピューターのように語る。歴史から生命本位の考え方を鍛え、ゲノム~宇宙レベルに分けて考えよ。‬

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2015/10/02

古代から現代に至るまでの日本思想史のなかから、日本人の生命観にまつわる事例を数多く紹介している本です。 古代から近世までを扱った章では、あまり立ち入った考察は展開されておらず、いくつかの事例を通して、日本人の生命観の諸相を概観する内容になっています。著者の専門である近代以降は、...

古代から現代に至るまでの日本思想史のなかから、日本人の生命観にまつわる事例を数多く紹介している本です。 古代から近世までを扱った章では、あまり立ち入った考察は展開されておらず、いくつかの事例を通して、日本人の生命観の諸相を概観する内容になっています。著者の専門である近代以降は、さすがに議論が濃密で読みごたえがあります。

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2011/07/25

日本人の「いのち」をめぐる見方、生命観史を、新書にしては多くの資料に当たってまとめたもの。 前近代については言語学的なアプローチや宗教史観という趣で、生命観の歴史をなぞるという意味では統一感が少々あやふやで追いにくい。 しかし、書の中盤から始まる明治維新以降の近代日本の生命観史...

日本人の「いのち」をめぐる見方、生命観史を、新書にしては多くの資料に当たってまとめたもの。 前近代については言語学的なアプローチや宗教史観という趣で、生命観の歴史をなぞるという意味では統一感が少々あやふやで追いにくい。 しかし、書の中盤から始まる明治維新以降の近代日本の生命観史については、文学作品などから大量の文献を引いてきて、工業化を通して、また戦前戦後を通して、日本において「いのち」がどのように考えられ、価値付けられ、扱われてきたか、独自の鋭い考察が繰り広げられる。これは非常に面白いし、今日の生命観がどのよう文脈で形作られ、われわれが無意識のうちにそれをどう捉えているか、社会の価値観としてはどう扱われているか、これを概観することができる。 これを読んで、われわれのいのちの価値、その意義、ありかたというものをもう一度問い直そう。そこに問題があるのか。あるとしたら何が問題なのか。明日も生きるであろうわれわれが、その明日をよりよく生きるために、われわれを保証するいのちにどのように向き合うべきか。それが問われている。

Posted by ブクログ