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CLIMB 女王陛下のロンドン
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 講談社 |
発売年月日 | 1985/09/01 |
JAN | 9784062020336 |
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CLIMB 女王陛下のロンドン
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『「あなたの写真は、本当にまだ彼がここにいるみたい」結局、僕は人間が好きなんだと思う。その人の表情が、僕の心にとっては、いちばん価値のあるものなんだ』―『1975 EUROPE』 ハービー山口の写真に映し出されるのは無防備な佇まい。人であれ、街であれ、撮られることを、意識してい...
『「あなたの写真は、本当にまだ彼がここにいるみたい」結局、僕は人間が好きなんだと思う。その人の表情が、僕の心にとっては、いちばん価値のあるものなんだ』―『1975 EUROPE』 ハービー山口の写真に映し出されるのは無防備な佇まい。人であれ、街であれ、撮られることを、意識していないというと嘘臭いが、特に不自然なことだと感じていない表情を見せる。その瞬間を感じ取る才が写真家として必要不可欠の才であることはもちろんだけれど、瞬間を捉える為の動作を被写体に意識させないでいる術(すべ)があってこそのハービー山口の写真なのだと思う。 その術を培ったのが、二十代を過ごした英国での生活であったことが本書を通じて垣間見えてくる。定職を持たず、何とか日々をやり繰りし、流されているようで流されず、人の縁と偶然の幸運を自然に受け入れ、怖いもの知らずだが、社会の押し付けてくる排他的な眼差しには敏感な若者。写真を撮りたいという気持ちが本物であることを確かめるための葛藤の日々が、断片的に語られる思い出から見えてくる。 粒子の粗い写真は掲載されているものの写真集ではない本書には、問われて語る写真家の言葉が溢れている。語られる言葉は、対象となるものについて俯瞰的に歴史的背景も見据えた上で注意深く考慮したものではないかも知れないが、紛うことなく二人称(一人称は被写体)として体験されたものであり、異邦人であるからこそ見えているものの意味を、時間を掛けて解釈したものであることが伝わってくる。正しいとか間違っているとかいう判断は保留され、社会から少しばかり浮いた存在として自分自身をその場に停留させ、内側でもなく外側でもない視点を手繰り寄せた写真家のみが見渡せる構図があるということを、その言葉たちは示すのみ。 羨ましいばかりの多くの才能との出会いに驚いてしまうが、その機会を「引き寄せられたもの」と表現してしまう気持ちにさせるのは、撮る写真同様に人の縁に対する前のめりな欲望のようなものが写真家から立ち上がることがなかったからなのだろう。その気配の消し方、空間の中で目だけになる覚悟をさせたのは、異国で感じざるを得ない「孤独感」であったように伺える。だからこそ、人に対する素朴な好意が視線の中にあり、それを感じたハービー山口の写真の中の被写体は無防備になるのだろう。
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