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街道をゆく 新装版(17) 島原・天草の諸道 朝日文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 朝日新聞出版 |
発売年月日 | 2008/12/30 |
JAN | 9784022644633 |
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街道をゆく 新装版(17)
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商品レビュー
4
8件のお客様レビュー
先日読破した「峠」に続き司馬作品を読みたくなったので、久しぶりに「街道をゆく」を手に取る。旅気分を味わうため「島原半島、天草の諸道」を読了。 島原城は今年で築城400年でイベントが企画されている。ホームページを見ると、島原城の築城者で島原の街を整備したとして松倉重政を好意的に紹介...
先日読破した「峠」に続き司馬作品を読みたくなったので、久しぶりに「街道をゆく」を手に取る。旅気分を味わうため「島原半島、天草の諸道」を読了。 島原城は今年で築城400年でイベントが企画されている。ホームページを見ると、島原城の築城者で島原の街を整備したとして松倉重政を好意的に紹介している印象だが、本書を読むといかに苛烈な支配者だったか分かる。冒頭で、「日本史のなかで、松倉重政という人物ほど忌(い)むべき存在はすくない。」と断じるほど手厳しい評価。
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天草島原の乱は切支丹による乱というよりも困窮した農民の一揆だったそうだが、島原の農民たちから搾りに搾ったという松倉氏には実に腹が立った。 本書の前半で島原、後半で天草が主に扱われており、暗くて内向きな島原と、明るくて外向きな天草という対比が面白い。 ある女戦士の最期に関係のある梅...
天草島原の乱は切支丹による乱というよりも困窮した農民の一揆だったそうだが、島原の農民たちから搾りに搾ったという松倉氏には実に腹が立った。 本書の前半で島原、後半で天草が主に扱われており、暗くて内向きな島原と、明るくて外向きな天草という対比が面白い。 ある女戦士の最期に関係のある梅の樹について、そんな逸話は「メンコの絵柄めいている」と一蹴した筆者に対し、須田画伯はその梅に非常な執着を見せる。その対照も良かった。
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・忠誠心という、この甘美な精神は、中世のひとびとの多くに、原液として湛えられていたかと思える。ただ農民の場合、その対象がなく、武士の場合も、地上のなまの主人もさることながら、天国の支配者であるキリストに仕えることのほうに強烈な昇華を見出したのではないかと思える。 こういう点でも、...
・忠誠心という、この甘美な精神は、中世のひとびとの多くに、原液として湛えられていたかと思える。ただ農民の場合、その対象がなく、武士の場合も、地上のなまの主人もさることながら、天国の支配者であるキリストに仕えることのほうに強烈な昇華を見出したのではないかと思える。 こういう点でも、インドや中国の社会よりは、当時の日本の社会のほうが、切支丹受容にむいていたであろう。 ザビエルが、「東インド地方で発見された国々のなかで、日本の国民だけがキリスト教を伝えるのに適している」と報告したのも、むりもないことかもしれない。 ・ところが、ローマ法王庁は、当時も、そしてこんにちにいたるまで、かれらを殉教者としては認めていないのである。その理由の一つは、神父が存在しない場所で事をおこしたということがあるのであろう。 ・近世日本が、同時代の中国や朝鮮の社会と異なっていたのは、商業上の文書類が圧倒的に多いこと、武士や庄屋階級という、儒教体制における「官」からいえばはるかにひくい層において、自分の体験や見聞を私家用に書く者が圧倒的に多かったことである。 ・天草が幕府直轄領になると、むしろ禅宗が前面に押し出された。 禅宗は、自分一己の解脱のみを説く。他宗のように、神仏に頼み、祖先の霊にたすけをもとめたりする他力の心があればそれだけで解脱への勇猛心が弱まるとする。 禅家の積極的無神論にかかっては、切支丹の神などは迷信になってしまうのである。 ・「明治のとき、なぜ長崎県に組み入れてもらえなかったのか」 たしかに人情ということからいっても、肥後(熊本県)の気風がもっている重厚さや理屈っぽさよりも、肥前がもっている軽快さのほうが、天草の風に似つかわしい。
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