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一握の砂 朝日文庫
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一握の砂 朝日文庫

石川啄木【著】, 近藤典彦【編】

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一握の砂 朝日文庫

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 朝日新聞出版
発売年月日 2008/11/30
JAN 9784022644527

一握の砂

¥220

商品レビュー

4.8

9件のお客様レビュー

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2019/03/11

母が亡くなった後に、愛用のタンスの中にずいぶん昔の手帳があるのを見つけた。其処には啄木の歌が何首か書き抜かれていた。恋の歌が多かったと思う。その内容から10代の頃の手帳だと思った。 意外だった。母の10代は、兄2人が戦死し、父親も後を追うように亡くなり、なんとか帰郷した兄と妹...

母が亡くなった後に、愛用のタンスの中にずいぶん昔の手帳があるのを見つけた。其処には啄木の歌が何首か書き抜かれていた。恋の歌が多かったと思う。その内容から10代の頃の手帳だと思った。 意外だった。母の10代は、兄2人が戦死し、父親も後を追うように亡くなり、なんとか帰郷した兄と妹と母親とで、やり繰りしながら暮らしていた頃だ。現代の十代のように青春を謳歌する暇はなかった、と聞いていた。 けれども、よく考えると、毎年のクリスマスに私へのプレゼントとして本が置かれるわけだが、小学高学年か中学生のある年は石川啄木詩集が置かれていた。母親のチョイスに、なんの疑問も持たずにざっと読んで、私は直ぐに歴史大河小説などを読んでいた。彼女としては、思い入れのある本で、渡す数日前には彼女が愛読していたのだろう。 今回改めて読み直してみると、「蟹とたはむる」なよなよしさは、一切感じず、明治後年の貧困をもたらす社会と、与謝野晶子よりも遥かに直接的な反戦歌があることに驚いた。貧困と反戦、それは戦後の母にとっては、あまりにも当たり前のことであり、だからこそ彼女は啄木に惹かれたのかもしれない。 以下、気になった歌をコピペする。 こころよく 我にはたらく仕事あれ それを仕遂げて死なむと思ふ 何処(どこ)やらに沢山の人があらそひて 鬮(くじ)引くごとし われも引きたし 気の変る人に仕(つか)へて つくづくと わが世がいやになりにける 友がみなわれよりえらく見ゆる日よ 花を買ひ来て 妻としたしむ 夜明けまであそびてくらす場所が欲し 家(いへ)をおもへば こころ冷たし 人みなが家(いへ)を持つてふかなしみよ 墓に入るごとく かへりて眠る 何かひとつ不思議を示し 人みなのおどろくひまに 消えむと思ふ 己(おの)が名をほのかに呼びて 涙せし 十四(じふし)の春にかへる術(すべ)なし そのむかし秀才(しうさい)の名の高かりし 友牢にあり 秋のかぜ吹く 田も畑(はた)も売りて酒のみ ほろびゆくふるさと人(びと)に 心寄する日 わが抱く思想はすべて 金(かね)なきに因するごとし 秋の風吹く むやむやと 口の中(うち)にてたふとげの事を呟く 乞食(こじき)もありき 意地悪の大工の子などもかなしかり 戦(いくさ)に出(い)でしが 生きてかへらず むらさきの袖垂れて 空を見上げゐる支那人ありき 公園の午後 忘られぬ顔なりしかな 今日街に 捕吏(ほり)にひかれて笑(ゑ)める男は 真白(ましろ)なる大根の根の肥(こ)ゆる頃 うまれて やがて死にし児(こ)のあり おそ秋の空気を 三尺四方(さんじやくしはう)ばかり 吸ひてわが児の死にゆきしかな 2019年3月読了

Posted by ブクログ

2013/06/02

有名な歌集ですが、こうして本を購入して読んだのは初めてです。 「三行書き」に込められた啄木の思いが時空を超えて甦ってくるようです。 特にふるさとに関する歌が心に響きました。また時を経て何度も読み返したい一冊です。

Posted by ブクログ

2012/03/29
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

#novel そうでした、こういうのでした…中学生時代に読んで、なーんて暗い歌ばかりなのだろう…と思ったものです。が、オサーンになってから再読すると、また違う感慨が。啄木24歳とは言え、明治の天才に常である老成した視点に共感。そして胸を打つ。穿つ。 忘れていたのが序文。この時点でもう辛かったのでした。 「函館なる郁雨宮崎大四郎君  同国の友文学士花明金田一京助君  この集を両君に捧ぐ。予はすでに予のすべてを両君の前に示しつくしたるものの如し。従つて両君はここに歌はれたる歌の一一につきて最も多く知るの人なるを信ずればなり。  また一本をとりて亡児真一に手向く。この集の稿本を書肆の手に渡したるは汝の生れたる朝なりき。この集の稿料は汝の薬餌となりたり。而してこの集の見本刷を予の閲したるは汝の火葬の夜なりき。」 後段の三月で早逝した愛児への文章はもう… 内容も、ネガティブ系が8割、その内半分がダウナー系、そのまた半分がスーサイドネタ。有名な一握の砂の歌も停車場の歌、ぢっと手を見るの歌も、むしろ明るい方です。あ、せっかくですから転載しましょう。   頬につたふ   なみだのごはず   一握の砂を示しし人を忘れず   はたらけど   はたらけど猶わが生活楽にならざり   ぢっと手を見る   ふるさとの訛なつかし   停車場の人ごみの中に   そを聴きにゆく うん間違いなく素晴らしい。 ダウナーネタではこんな感じ。   誰そ我に   ピストルにても撃てよかし   伊藤のごとく死にて見せなむ   我に似し友の二人よ   一人は死に   一人は牢を出でて今病む 特に辛いのが、後半にある亡児への八首。 悲しみと言うよりも、心に穿たれた巨大な空漠を感じます。 そのラストがこれで…   かなしくも   夜明くるまでは残りゐぬ   息きれし児の肌のぬくもり ……… ポジティブ系は、主に友人への歌でした。 私が知る短歌というものは、もっと「相聞」つまり恋愛の歌が多いものだと思ってました。ここまで暗いとは…しかし、暗くとも551首全てが素晴らしい。美しい。若く、そして卓抜した才能の煌き。明治の文豪の特有の、研ぎ澄まされたダダイズム。 艱難辛苦が玉を成す。逆境と狂気こそが芸術の原動力。戦争こそが科学を進歩させる、のと同じベクトルで、あまり認めたくないのですが。しかしそれもまた一面の真理ではありますか。 もちろん、彼ら偉大な才能が、平和な時代にあれば、また違った芸術を生み出したはずです。元禄文化とか現在のラノベ隆盛とか……やっぱり明治のダダイズムのほうが百倍美しい、と思ってしまいます。 最後に、個人的に一番心に残った一首を。   何がなしに   頭のなかに崖ありて   日毎に土のくづるるごとし ・石川啄木「一握の砂」読了。

Posted by ブクログ

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