- 中古
- 書籍
- 書籍
- 1217-00-00
ヨセフとその兄弟 1 第一部・第二部
定価 ¥8,800
3,960円 定価より4,840円(55%)おトク
獲得ポイント36P
在庫なし
発送時期 1~5日以内に発送
商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | 筑摩書房 |
| 発売年月日 | 1985/05/01 |
| JAN | 9784480830685 |
- 書籍
- 書籍
ヨセフとその兄弟 1 第一部・第二部
商品が入荷した店舗:0店
店頭で購入可能な商品の入荷情報となります
ご来店の際には売り切れの場合もございます
オンラインストア上の価格と店頭価格は異なります
お電話やお問い合わせフォームでの在庫確認、お客様宅への発送やお取り置き・お取り寄せは行っておりません
ヨセフとその兄弟 1 第一部・第二部
¥3,960
在庫なし
商品レビュー
3.5
2件のお客様レビュー
トーマス・マンは『ヨゼフとその兄弟たち』を書くにあたって、ハンガリーの神話学者カール・ケレーニイの持つ深い神話学の知識を利用しようと目論んで、ケレーニイと手紙のやりとりを始めた。以下は、菊盛英夫氏の『評伝トーマス・マン その芸術的・市民的生涯』(筑摩書房、1977)からの引用であ...
トーマス・マンは『ヨゼフとその兄弟たち』を書くにあたって、ハンガリーの神話学者カール・ケレーニイの持つ深い神話学の知識を利用しようと目論んで、ケレーニイと手紙のやりとりを始めた。以下は、菊盛英夫氏の『評伝トーマス・マン その芸術的・市民的生涯』(筑摩書房、1977)からの引用である。 <(略)それはそのような便宜からの利用という意図に発していたのではなく、ヨゼフ小説は無論のこと、その間に出来上がった『ヴァイマルのロッテ』から『ファウストゥス博士』にいたる一連の全人類的作品の内的モティーフの一環として、神話学的諸問題に関する自分の考えを深く掘り下げ、結晶させてゆく執拗な作家的作業にほかならなかったのだ。(略)マンは猛禽が獲物に飛びつくように、ケレーニイの知識を貪り食おうとしている。そして、最も神話的な小説『ヨゼフとその兄弟たち』が完成されてしまうと、なおも神話問題で熱っぽく迫ってくるケレーニイに向かって、つれなくなった恋人の如く、今度は「『ヨゼフ』はもう過ぎ去った遠いもので、私たちはもはやそれの成立の頃のようには近しい道連れではありません」(1948年9月12日付)と冷たく言い放つのである。> さらに、菊盛氏は、別のところで、次のように書き加えている。 <われわれはここに、猛禽のように、獲物を貪り食ってしまったあと未練なく骨だけ残して、新しい獲物を漁りに去ってしまう偉大な芸術家の非情を見てとることができはすまいか。> トーマス・マンは、自分が書いた小説を「全人類的作品」と称しているらしい(?)が、そんなえげつない根性で書いた小説を「全人類的作品」と呼べるのだろうか? そういう訳で、私はトーマス・マンに対して反感を持ち、所持していたトーマス・マンの著書を売り払ってしまった。『非政治的人間の考察』まで売り払ったのは、失敗であった。 お終い
Posted by 
旧約聖書に記載されているヨセフ物語を「あまりにも短くもっと細部まで描きたくなる」と語ったゲーテの遺志を汲んで、二十世紀のドイツの文豪トーマス・マンが十六年もの歳月をかけてつむぎ上げた大作。『ブッデンブローク家の人びと』や『魔の山』に較べると知名度は低いものの、両作品に優るとも劣...
旧約聖書に記載されているヨセフ物語を「あまりにも短くもっと細部まで描きたくなる」と語ったゲーテの遺志を汲んで、二十世紀のドイツの文豪トーマス・マンが十六年もの歳月をかけてつむぎ上げた大作。『ブッデンブローク家の人びと』や『魔の山』に較べると知名度は低いものの、両作品に優るとも劣らない一大叙事詩的傑作である。 第一巻である本書には第一部「ヤコブ物語」と第二部「若いヨセフ」が収められている。ヨセフの弟ベニヤミンの誕生とともに母ラケルが死ぬまでの顛末を語った第一部の主役は父ヤコブであるが、本作においてヤコブが演じる役割の重要性を思えばこの前置きは決して長くはない。訳者の小塩はラケルの死の場面を訳しながら涙を流したと述懐している。 第二部以降の主役ヨセフは異母十二人兄弟の下から二番目であるが、愛妻ラケルの年寄り子として父ヤコブから溺愛されている。一番下の弟ベニヤミンもラケルの子でありヨセフと仲がいいが、ベニヤミンの出産によってラケルが死んだこともあり父ヤコブの感情は複雑である。一方腹違いの兄たちは、父から一人だけかわいがられているヨセフのことが面白くない。そんな中、悪いタイミングも重なって、十人兄弟はヨセフを半殺しにし古井戸の中に捨ててしまう。 確かに長い作品ではある。そして高い価格。手を伸ばすには勇気が要る。しかしマンが作中で独白しているように、時間は必ず空間を征服する。とにかく面白い。読むのが楽しい。望月市恵・小塩節の師弟コンビによる、二世代にわたる翻訳苦労話は最終巻に詳しいが、襟を正して読まずにはいられない不朽の労作である。
Posted by 
