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ウィーン 都市の近代 岩波新書
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 岩波書店 |
発売年月日 | 2008/10/21 |
JAN | 9784004311522 |
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商品レビュー
5
3件のお客様レビュー
田口晃氏によるウィーンの近代史に関する1冊です。 本書では1848年革命後から1939年のナチスドイツによるオーストリア併合までの、ウィーンにおける自治が成立していた期間について語られています。筆者はこの期間のウィーン市政を「自由主義」「キリスト教社会主義」「社会民主主義」の3...
田口晃氏によるウィーンの近代史に関する1冊です。 本書では1848年革命後から1939年のナチスドイツによるオーストリア併合までの、ウィーンにおける自治が成立していた期間について語られています。筆者はこの期間のウィーン市政を「自由主義」「キリスト教社会主義」「社会民主主義」の3つの政治体制に分類して考察を加えています。 この本では近代に誕生した様々なイデオロギーが実際の政策のレベルとしてどのように実現されたのかが詳細に述べられています。本書の対象になっている19世紀半ばから20世紀初頭は、中世都市の近代化や産業革命に伴う労働者の流入などを通じて現代につながる都市像が形成される時代でもあります。 この本では近代都市の変革に対して近代に誕生した3つのイデオロギーが己の理想に基づいて課題を解決するためにどのような政策を実行したのかが明らかになります。例えば自由主義市政によるウィーン市の再開発、キリスト教社会主義市政による公営企業による大規模なインフラ整備、社会民主主義市政による公共住宅供給といった政策の実行過程とその結果を追っていくことによって、3つの「主義」がそれぞれの支持層にどのような利益をもたらしたのか、そしてその影でどのような問題が置き去りにされたのかが明らかになっていきます。特にウィーンではヨーロッパの他の大都市と異なり、市議会をとおした「主義」間の妥協がなかなか成り立たなかったという特徴があるため、それぞれのイデオロギーが実験的政策が行い、その効果が顕著な形で観察することができます。この観察の結果、実際の社会から遊離した理想と思われがちな政治的イデオロギーが実在の社会に対してどのような影響を及ぼしたのかを確認することができると同時に、改めて政治の基礎の部分というのは地方自治にあるということが再認識されます。 本書ではウィーンにおける文化と政治の関係についても考察を加えています。19世紀末から20世紀初頭にかけてのウィーンはヨーロッパにおける文化の先端に位置していました。ハプスブルク帝国が抱えていた多民族・多文化は二重帝国という複雑な構造の中で民族主義運動とは対極の多文化主義を貫くことで、豊穣な世紀末ウィーン文化として花開きました。特に本書では都市の再開発の中で重要な役割を果たした建築や社会民主主義市政に大きな影響を及ぼしたフロイトからアードラー、ライヒに至る精神分析の系譜を追っていきます。 この考察によって当時のウィーンにおける文化の社会的役割や文化人と政治家の交友が明らかになります。特に精神分析が実際の福祉行政・教育行政に及ぼした影響は私が認識していたよりもはるかに大きく、マルクス主義と精神分析が結びついて「赤いウィーン」の中で大きな役割を果たしたことは心理学の実社会への適応事例として興味深く感じるとともに、現代における精神分析への疑似科学的印象をより強める一つの原因だったんだろうと思います。 近代ウィーン市政やオーストリアにおける政治運動について詳細に述べられている本書を読み、政治イデオロギーによる政策の見本市となったウィーン市政がヨーロッパの他の地域にどのような影響を与えたのかを掘り下げていければと思います。特に赤いウィーン市政は社会民主主義の初期段階の実現として大きな意義を持っていたのではないかと思います。ウィーンで得られた経験は都市政策の理論へどのように反映されたのか非常に興味深いと考えています。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
国境近くのプラウナウで生まれたヒトラーが、18歳から24歳までウィーンで過ごしたとのこと。 ルエーガーという市長がいたとのこと。 赤いウィーンという社会民主党の支配があったこと。 ウィーンを訪れたときの感覚と、ピンと来ていない。 政治に偏りすぎているような気がする。
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後半の政治関連の話は私の疎いところなので、存分に活用させていただいております。ありがとうございます。
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