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国際正義の論理 講談社現代新書
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 講談社 |
発売年月日 | 2008/10/20 |
JAN | 9784062879613 |
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国際正義の論理
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商品レビュー
3.7
16件のお客様レビュー
近年政治哲学でも重要なテーマとなっているグローバル・ジャスティス論を主題とした新書。古典古代以来の正義観の問題にも触れながら、戦争の形態の変遷、グローバリゼーションによって生じた一国単位では済まない問題(難民や環境問題)の顕在化に対して、政治哲学がいかなるアプローチを取りうるのか...
近年政治哲学でも重要なテーマとなっているグローバル・ジャスティス論を主題とした新書。古典古代以来の正義観の問題にも触れながら、戦争の形態の変遷、グローバリゼーションによって生じた一国単位では済まない問題(難民や環境問題)の顕在化に対して、政治哲学がいかなるアプローチを取りうるのか、そして実際に国際社会でどのような取り組みがなされてきたのかを、要点をおさえながら解説してくれる。
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現代の国際政治において、正義論が直面している課題について解説している本です。 アリストテレスからカント、アーレントにいたるまでの政治思想史のなかで正義の問題がどのようにあつかわれてきたのかということについても、ごく簡単な紹介がなされていますが、本書全体を通じて思想的な側面を掘り...
現代の国際政治において、正義論が直面している課題について解説している本です。 アリストテレスからカント、アーレントにいたるまでの政治思想史のなかで正義の問題がどのようにあつかわれてきたのかということについても、ごく簡単な紹介がなされていますが、本書全体を通じて思想的な側面を掘り下げることはめざされておらず、どちらかというとアクチュアルな国際政治の出来事によって、国際正義の論理がどのような問題提起を受けているのかということを論じることに、本書の目的があるように感じました。 このテーマについて概観を得るとともに、その現代的な課題についても一通り抑えることができるという意味では、すぐれた入門書にはちがいないとは思うのですが、個人的には理論的な側面でもう一歩掘り下げた考察が欲しかったように感じました。
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国際関係・政治思想史の専門家が、「国際正義」に関する考え方の変遷と現状の課題を分析・解説した、2008年の著作。 本書は大きく二つのパートに分かれ、前半では正戦論や人道的介入などの軍事力行使に関わる問題を、後半では貧困や飢餓などを含む南北格差の問題を取り上げており、著者は以下のよ...
国際関係・政治思想史の専門家が、「国際正義」に関する考え方の変遷と現状の課題を分析・解説した、2008年の著作。 本書は大きく二つのパートに分かれ、前半では正戦論や人道的介入などの軍事力行使に関わる問題を、後半では貧困や飢餓などを含む南北格差の問題を取り上げており、著者は以下のように述べている。 ◆古代ギリシアから中世カトリックの世界までは、正義に国境はなく「唯一絶対の正義」であった。 ◆16~7世紀のヨーロッパの宗教戦争により、主権国家や民族という概念を背景とした「正義の領土化・国有化」(=統治者・国によって正義は異なり得る)という考え方が誕生した。その後、「正義により戦争を防止、停止させることはできないし、結果を何某かの正義とみなすこともできない」とする「無差別戦争観」が広まり、19世紀前半にはヘーゲルが「戦争は諸民族の自然淘汰の過程」であると主張した。その結果、各国家がいわば権利として、「勝算があればためらわずに戦う」、「好機があれば素早く仕掛ける」というスタイルが一般化した。 ◆その後、二回の世界大戦を経て、国際連盟・国際連合の設立や国際的な立憲化により、侵略戦争を違法化し、なお合法的な戦争の可能性をも低下させる枠組みが確立していく。 ◆冷戦後の世界では、ボスニア・ヘルツェゴビナでの紛争などを通して、二国間紛争や内戦への「人道的介入」の正義というテーマが、専門家の間での激しい論争を巻き起こしている。また、アメリカの主導する対テロ戦争、軍事介入なども、今後、国際的な合意が求められるものである、 ◆20世紀後半以降、南北格差(地球的な富の不平等)を問題とする「社会正義」が注目されるようになった。この問題は、「飢餓に苦しむ異国の人々を放置して、その人々よりましな境遇にいる同国人を救済することは、同国人と外国人に人種差別をするようなものである」とするコスモポリタンと、「正しさの概念はそれぞれの社会に固有なものであり、共通にそれを正しいと信じる人々の間でしか正義の履行は期待できない」とするコミュニタリアンによる論争のテーマとなっている。 ◆文明や国によって正義が異なることを認識した世界が目指す方向は、移民の国アメリカにおいて、各人の出身国の正義とは異なる「契約論的な正義」が浸透し定着しているように、国際的な対話の場では、文明・国内での正義を押し通すことなく、共通の正義を探し求め、対話により正義を達成するということであろう。人権をめぐる文明間の対話については、イスラムの教えとの矛盾の解消等の問題はあるものの、総じて前進を見せている。 本書により、「国際正義」の変遷については、改めて認識することができた。 しかし、本書刊行以降も、中東をはじめとした世界各地での紛争は止まることはなく、新たに台頭したIslamic Stateはまさに「イスラムの正義」を世界に主張している。混迷を深める世界で、国家レベルで如何に対応していくべきなのか、極めて難しいテーマである。 (2009年1月了)
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