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アシェンデン 英国情報部員のファイル 岩波文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 岩波書店 |
発売年月日 | 2008/10/18 |
JAN | 9784003725047 |
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商品レビュー
4.4
9件のお客様レビュー
津村の読み直し世界文学の1冊である。モームがこのような推理小説のような諜報部員の話を書くとは思っていなかった。最後に地図がのっているが、最初に持ってきてほしかった。スイスから始まり、最後はロシアの革命のところで終わる。面白いのひとことにつきる。
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作者モームの分身である、作家で英国諜報部で働くアシェンデンの諜報活動記。 モームが第一次世界大戦の時に諜報部で活動していたので実体験を元にしたフィクションとなっています。 この時イギリスが戦っていたのは、最大敵国であるドイツと、中央同盟国を構成するオスマン(トルコ)帝国、オースト...
作者モームの分身である、作家で英国諜報部で働くアシェンデンの諜報活動記。 モームが第一次世界大戦の時に諜報部で活動していたので実体験を元にしたフィクションとなっています。 この時イギリスが戦っていたのは、最大敵国であるドイツと、中央同盟国を構成するオスマン(トルコ)帝国、オーストリア=ハンガリー帝国。 アシェンデンの仕事は中立国スイスを拠点として、イギリスにいる”R”と呼ばれる大佐からの指示を得て、実際に諜報活動や暗殺を行う現地の活動家との中間連絡役になること。さらにはシベリア鉄道でロシアに入り、ロシア革命勃発を目撃します。 これは実際にモームの諜報活動を元にはしているようですが、モームは冒頭で「この話はあくまでも小説ですよ」との断りを述べ、さらに「フィクションとノンフィクションの違い。小説の書き方色々」などを語っています。 ここで描かれる諜報活動は、実際の諜報活動は、007やミッションインポッシブルのようは派手さは全くありませんが、戦争における情報の遣り取りや、敵側諜報員との駆け引きが書かれています。 他のスパイものと違うと感じるのは、本書では登場人物たちの人物描写がかなり多く印象に残るということです。 イギリス人でありながら、ドイツ人女性と結婚し、対戦国ドイツに情報を流している男を炙り出す仕事では、その男が敵国に情報を流すようになったのはなぜかなど、男の性質を考えます。 イギリスを憎むインド人扇動家を彼が愛している娼婦まがいの女を使っておびき寄せる仕事では、敵ながらそのインド人に敬意を持つと同時に、なぜこんなに違う男女が心から愛し合うようなことになったのだろう?と疑問を感じたりします。 イギリスから長年は慣れてクラス老イギリス女性の、イギリス人への反発と最期の郷愁に立ち会い彼女の人生を考えます。 陽気なメキシコ人工作員に振り回されたときは、なぜこんな男が女性にもてるのかと考え、しかしその陽気さの奥底の危なっかしさを観とります。 紳士の中の紳士のようなイギリス大使との会合では、型にはまった紳士のような大使の心に潜む悔恨すべき過去の恋愛話を聞き、人間の複雑さ、この短い人生ではやるべきことをやるよりやりたいことを(たとえすぐに破綻したとても)やったほうが良いという考えを聞きます。 シベリア鉄道で11日間も同室で過ごすことになった陽気なアメリカ人を通して、戦時下でも変わらない、変えることのできない人間の営みや性質に触れて、安心感を覚えると同時に哀しさを感じます。 アシェンデンの過去の恋愛も書かれていて、その女性と再会した時の男女の感覚の違いは、読んでいて少し面白かったです。 さらに、イギリス人は毎朝卵料理を食べるが決して同じ料理方法では食べない!とか、アメリカ人は愛する相手に音読をするのが日常光景だ(結構長い普通の小説)、など、ふーんそうなのかーと感じることもいろいろ。 それぞれの話は、読者に結末が知らされなかったり、ミスを犯したり、残酷に終わったりするけれど、やはりモームは戦時下であっても、作家として人間を見ていたのだなと思う小説でした。
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・イギリスのスパイだったモームのどストレートなスパイ小説。短めのエピソードで構成されており、読みやすい。007みたいななアクションシーン等はほぼ皆無。作中でも言及されているが、スパイの「活動の大半は地道で退屈なもの」。しかも、本書の内容はモームの実際の諜報活動に近いということが注...
・イギリスのスパイだったモームのどストレートなスパイ小説。短めのエピソードで構成されており、読みやすい。007みたいななアクションシーン等はほぼ皆無。作中でも言及されているが、スパイの「活動の大半は地道で退屈なもの」。しかも、本書の内容はモームの実際の諜報活動に近いということが注釈から分かって一層興味深い。中には、こんなエキセントリックな奴はおらんだろというような人物も登場してくるが、実際にいるんだよねえ、冗談みたいに変な人って。 ・アシェンデンの淡々とした諜報活動や、その冷徹な上司(結構人でなし)とのやり取りからイギリスという国が少し垣間見えるような気もするが、これは自分の勝手な妄想かも知れない。ちなみに、このアシェンデンは、手嶋龍一さんが「ウルトラ・ダラー」などで描く、同じくイギリスのスパイであるスティーブンに重なるような印象も少しある。 ・それにしてもケイパー夫妻のお話、第10章「裏切り者」は切ない。メチャ切なくて泣けます。
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