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輿論と世論 日本的民意の系譜学 新潮選書
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 新潮社 |
発売年月日 | 2008/09/25 |
JAN | 9784106036170 |
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輿論と世論
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商品レビュー
4.4
12件のお客様レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
p.295 紋切型の危機予言は、誰でも容易に口にできる。社会が悪くなると予想する者は、つねに倫理的に「正しい」立場に立っており、悪いことが起こらなかった場合でも、自分の警告が流れを変えたのだと強弁できる。つまり、危機予言は外れても歓迎こそすれ責任を問われない絶対安全な予言である。
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友人のおすすめで読了しましたが、「普段あまり意識しないで使っている言葉や概念を問いなおす」というコメントはまさにそのとおりで、興味深く読むことができました。 よろん、せろん、世論。 あれ、全部同じ意味なんじゃないっけ?せろんなんて読み方あったっけ?と、あやふやな気持ちになってし...
友人のおすすめで読了しましたが、「普段あまり意識しないで使っている言葉や概念を問いなおす」というコメントはまさにそのとおりで、興味深く読むことができました。 よろん、せろん、世論。 あれ、全部同じ意味なんじゃないっけ?せろんなんて読み方あったっけ?と、あやふやな気持ちになってしまいましたが、本著を読み進めるとなるほどそんな経緯があったのか、と思うほどなんとも面倒な(しょーもない?)事情があったのです。 ちゃんとした定義は以下の通りなのですが、漢字の「輿」の字が常用漢字から外れてしまって、「世」で代用されることになったのだとか。。ただ、輿論と世論では全然意味が違うもの。 輿論(よろん):公的意見、public opinion 世論(せろん):大衆感情、雰囲気、popular sentiments 今までテレビで良く聞き流していた「『よろん』の声にしっかりと耳を傾けて…」なんてフレーズも、これからは「ん、それってどっちのこと?」となることうけあいです。 本著では、日本で民意がどのように形成されてきたのか が扱われていて、メディアによる「誘導」の歴史なども触れられています。 最終章では、労力をかけてでも、自らの責任で「輿論」を考え抜いて作り上げ、発信していくことの重要性が述べられています。 インターネットの普及で誰でも発信できるようになった時代だからこそ、「肉うまい」系のツイートも大好きではあるのですが、テーマに真摯に向き合って述べる「輿論」を考え、時には発信していくクセをつけていきたいなぁと感じた次第です。
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政軍関係と言われる領域を少し深耕りする為に読む。ナチスの抬頭にせよ、日中戦争にせよ、軍部が企図したものであっても、それを世に知らしめ、”世論”の形成を輔けたのは当時の新聞・ラジオなどのマスメディアである。 しかし、日本においては明治以来("1946年"ま...
政軍関係と言われる領域を少し深耕りする為に読む。ナチスの抬頭にせよ、日中戦争にせよ、軍部が企図したものであっても、それを世に知らしめ、”世論”の形成を輔けたのは当時の新聞・ラジオなどのマスメディアである。 しかし、日本においては明治以来("1946年"まで)のそれは”輿論(public opinion)”という共通認識のものに彼我(発信元と報道する側)は了解しており、かつそれは”世論(popular sentiment)”とは別のものとして認知されていた、と本書は解題する。 手元にあるウォルター・リップマンの「世論 上・下(岩波文庫版・掛川訳)」は、かつて(改訳前まで)は「輿論」として訳されていた。 それは"1946年"の「当用漢字表」による漢字の制限によって「輿」が当用漢字から外れ、「輿論」が「世論」と”混用”されたことに、今の日本における”世論の定義”の混乱が始まったと本書は説き、その影響を「東京オリンピック」、「全共闘運動」、「戦後政治」等の実例を交えて丁寧に解題していく、非常に興味深く、かつ普遍性を帯びた一冊である。 悲しいかな、この”混用”による影響は大きく、様々な場面において"opinion(多数意見)"と"sentiment(全体の気分)"の相違を峻別することなく意思決定を行ったことによる弊害の反省を、我々は戦後数多く繰り返してきた。個人的には民主党への政権交代(2009.7)と、その崩壊(2012.12)が、その最も大きなイヴェントであったように思う。 今の”自民党一強”の要因の一つには、(民進党のだらしなさもあるが)こういう”輿論”と”世論”の”都合の良い混用”による”曖昧な意思決定”にも一因があるように思える。 それは、政権の安定にも寄与するが、(政権が)流動化した際には、その安定化を阻害する要因にしか働かないことに留意すべきだと個人的には思うところである。
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