基礎からしっかりわかる本 物理1・2

津村一郎(著者)

• 販売会社／発売会社: 文英堂
• 発売年月日: 2008/09/01
• JAN: 9784578240488

商品レビュー

2014/06/04

いわゆる講義形式だが講師のキャラを前面に出すような類書よりは説明に癖が少ない。
対話調になっていて「生徒」が間違えたり戸惑ったりする箇所は、とりもなおさず学習者自身にも覚えのあるところではないだろうか。

本書は教科書や授業などで特に重いところやつまづきやすいところを導入部で集中的に解説している本なので、他書で失敗したり授業の意味を取りにくい人（そういう人のための本であることは前書きにちゃんと書いてある）が本書で導入部をしっかり理解すると、授業や他の本の解説がてきめんにわかりやすくなるはずである。
逆に、教科書とかを見ればすぐに拾えるようなことまではいちいち説明していない。なので、本書で予習はもちろん可能なのだが、導入→一教科書→(傍用問題集)→演習問題というサイクルを必ず踏まないと、いたるところ穴だらけで痛い目にあうだろう。事実、アマゾンだと非常に評価が低いのだが、ここいら辺のサイクルにミスマッチがあったというところだと思う。説明自体は非常にオーソドックスなのに編集方針が恐らくは教科書を挟むことを前提にしているのでちょっと変な本だが、その辺の事情をわかっていれば決して悪い本ではない。

演習問題のこなし方だが、この本を手にするくらいの人だと、どうせ初見で手がつけられるような問題なんて皆無だろうし、だからこの本を手にしているはずである。なので、本書の問題を自力で解いたりなんかしてるヒマに解説をどんどん読み込んで、再現できるようにしよう。
なお、導入では解説していない事項が演習問題では平気で取り上げられていたりして面食らうだろうが、そういうのは導入部をきちんと理解していれば教科書を通して自力で学べるところであるし、導入のあとに教科書を挟めというのはそういうことである。というか、導入と演習問題の間には難易度に開きがあるので、演習問題が難しいと思ったら、無理をしないで傍用問題集をやるべきだし、この本の導入はそこにつなげるには好適のはずだ。

そうして章末の演習問題までこなしきると一応の大学受験には対処できるようになっているはずである。より高みを目指す人にはここから別の本につなぐ必要があるが、本書が終わる頃には自分に必要なものが何なのか、わかるようになっているはずである。演習問題の難易度は、旺文社の『物理入門問題精講』くらいから『物理基礎問題精講』に届かないくらいになる。本書を選ぶとき際に、または本書を終えて次の一冊を検討するときに参考にして欲しい。

教科書を持っていない人は教科書販売所で買ってくればいいが、めんどくさいなら同じ会社の『理解しやすい物理』あたりが代用品に妥当ではないだろうか。

2012/05/19

対話式の説明スタイルで、受験参考書としては最も易しい部類。しかし、それなりに入試レベルの問題も散りばめられていて、教科書がわりにもなる一石二鳥の本だ。