新教育課程と社会科の授業構想

北俊夫【著】

• 販売会社／発売会社: 明治図書出版
• 発売年月日: 2008/09/01
• JAN: 9784184331181

商品レビュー

2009/11/01

うちの大学におられた先生の著。
改訂のポイントももちろん参考になったが、Ⅳ章、Ⅴ章が特に参考になった。
社会科の特質として、「同心円的拡大」というものがある。自分たちに身近な地域から徐々に学習の範囲を広げていこうとするカリキュラム構成のことである。
しかし、同心円的拡大を図るために計画された授業では、往々にして、教科書や地図が用いられないことがある。筆者はその点を指摘し、教科書をもっと積極的に取り入れた授業展開をすべきであると主張する。
地域学習の動機付けとして教科書を使っても良いし、身近な地域を調べる際の「学習の手引き」として用いるのも良いとしている。
また、自分たちが学んだことを教科書の事例と比較したり、応用・転移したりして学習成果を確認し進化させるために活用する方法もあるという。

こうした記述は大いに参考になったが、平素教員が取り組むべき課題として、「学習指導案」の問題点についても指摘している。
筆者曰く、「（大抵の学習指導案には、）学習活動を通して子どもたちに何を理解させたいのか。どのようなことを発見させたいのか。子どもたちをどこに導いていきたいのか」が書かれていない。

さらに、「生活への活用力」を養う必要性も指摘している。そのための手立てとして、「自分ごと」として捉える、学習内容について納得した理解を促すことが大切であると述べている。
こうした力は、教科横断的に育てていく必要があり、教師に総合的な授業力が求められると、本書は締めくくられている。