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パワー 西のはての年代記 Ⅲ
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パワー 西のはての年代記 Ⅲ

アーシュラ・K.ル=グウィン【著】, 谷垣暁美【訳】

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パワー 西のはての年代記 Ⅲ

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 河出書房新社
発売年月日 2008/08/30
JAN 9784309204970

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商品レビュー

4.7

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2024/03/10
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※このレビューにはネタバレを含みます

すごい。すごい……の一言。ギフトもヴォイスも好みだったけど、パワーはその集大成みたいな感じになってる。 ギフトは『親と子(過去から未来に続いていく)』がメインの物語。 ヴォイスは『味方と敵(世界は二色ではない)』の物語。 パワーは『自分と世界(複数視点を持つこと)』の物語。 どれも最初の物語『ギフト』の主人公オレックが出てくるけど、パワーでは実物は本当に最後にしか出てこなかった。最初の主人公が徐々に年を取っていて、パワーでは「目が悪くなっている」と書かれているの衝撃だった。 親との関係に悩み若々しく、目隠しをして暗闇の中にいたオレックが目が悪くなるほど年を取るなんて……大抵の物語はそんな風に書かないし『若い時だけ』もしくは『年を取っている一時期だけ』が切り取られてるので、時間の流れをあまり感じない。 でも、この物語はしっかり『時間の流れ』を感じる作りになっていて、それだけでもすごいなと思う。 『パワー』はエトラのアルカマンドに住む奴隷、ガヴィアの物語。 全四章に分かれている。 一章を読んでる間は『ヴォイス』も奴隷の話だったので同じ傾向なのかなと思ってしまった。 でも、その後の展開が見事すぎて一章で感じたのは間違いだった。 ガヴィアが『女性が虐げられている事』『女性が恐怖を感じている事』を理解するのも良かったし、『世界にどんな価値観があり、どう成り立ってるのか』を理解していく過程が……しっかり書かれているのすごい。 最初は『自分が奴隷であること』『そのために受ける理不尽な行為』に疑問を持たなかったのに、サロの死をきっかけにそれが『理不尽である』と気が付く。変化は急激ではないけど、小さな気づきが積もり積もって形になっていく様が『世界を知るとはどういうことか』を丁寧にくみ取っていてすごい。 こんな丁寧な物語、見たことない。 それでいて押し付けがましいわけではないし『気が付けなかった』と後から気が付くことや、『結局何もできない』とか『見放そうかと迷う』という人間的な部分も残ってる。教訓ではなくて、物語として、人間として書かれてるのも好き。 様々な文化が出てくるけど、どこでも女性というだけで虐げられている。 ギフトでは男女ともに力を継いで当主になれたけど、ヴォイスでは政治的話し合いなどは男性の力が強く、女の子は暴力を受ける危険があるので男の子の格好で主人公のメマーは動き回っていた。 パワーはさらに露骨な女性蔑視が出てくる。女性が馬羊と同じく略奪されてくるとか(奴隷も男女問わず略奪なので、女性だけというわけでもないかもしれない。けど、自由を求める元奴隷たちが女性に対しては自由を認めないのは、そういう事だなと思う) ラスト近いガヴィアの言葉は奴隷制のみならず『自分たちが今いる社会のありよう』も批判してるように見えるので、とても衝撃的だった。 メルも出てくる。ギフトではオレックの母親の名前として、ヴォイスではオレックの娘の名前として……どちらも亡くなっている。パワーでやっと死なないメルがオレックの家にたどり着く。隠しキャラ?と思ってしまった。 分厚くて長いので、本当に本好きな人にしか勧められないのが難点。

Posted by ブクログ

2024/01/02

主人公ガヴが自由と居場所を探す旅をする。 シリーズ三冊を通して、主人公は違えど皆アイデンティティの確立のために翻弄され、頑張るという共通点がある。派手さはあまりないけど、じわじわ心に染みるような感動を感じた。

Posted by ブクログ

2022/10/05
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

” 運の神は片耳が聞こえないという。ぼくらが祈りを捧げるほうの耳だ。運の神には、ぼくらの願いは聞こえない。運の神に何が聞こえているのか、運の神が何に耳を傾けるのか。それは誰も知らない。” --P.206 ”「悪い奴隷制ではなかったんです」とぼくは言った。「けれども--」ぼくは言いよどんだ。  メマーが口を挟んだ。「悪くない奴隷制なんて、ありうるでしょうか?」 「自分の主人たちの人柄がよければ--そして、ほかの制度がありうるということを知らなければ--誰もが、今のあり方が当たり前で、そうあるべきなのだと信じているとしたら、奴隷制がまちがいだということに気づかないものです」” --P.464 設定が多い。 このシリーズを通じて、この印象はついに拭いえなかった。それが不快なわけでは無いが、一人称視点ではどうにも説明くさくなる。「設定を語っている」ように読めるということだ。そういう印象もまた繰り返し覚えて拭い去られることはなかった。 思うよりもはるかに、語り口調は我が嗜好を左右しているようだ。 流転の物語である。 これも一貫している。ヒロイックでもエピックでもない。物語の主人公として特別な輝きをもってはいるが、大きなものではない。多くの人がそうであるように、力強い後ろ盾を持たない個人が状況に抗うことは難しい。主人公格においても例外ではない。流されて、弾き出されて、流転の末、居場所を見つける。 かつて、「世界を救う」物語が大嫌いだった。主にJRPG由来で、誰も彼もが世界を救ってしまうことに辟易していた。一方で、本作品のような「小さくまとまった」物語を好んでいた。はずだった。それも程度によるということか。好みが変わったということか。 主人公が自らの力でなにも解決していないように読んでしまったことが挙げられるのかもしれない。自分の意志で決定したことですら、状況に流された結果と見えてしまった。 良い出会いではなかった。

Posted by ブクログ

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