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死の谷(下) マクティーグ 岩波文庫
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死の谷(下) マクティーグ 岩波文庫

フランク・ノリス(著者), 石田英二(訳者), 井上宗次(訳者)

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死の谷(下) マクティーグ 岩波文庫

定価 ¥726

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 岩波書店
発売年月日 1957/07/25
JAN 9784003231623

死の谷(下)

¥330

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2025/03/23
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アメリカの自然主義文学を代表する一作。 上巻で徐々に深まった影が下巻で一気に「死の谷」まで深く落ち込んでいった。 自然主義は人間の自我や理性を否定し、周りの環境や低位の本能に左右される人間を描くため、時には闇深い描写も厭わず、物語は概ね悲観的な方向に進んでいく。前時代のロマン主義に反動する文学運動だが、個性の源泉たる自我を抜いてしまうがために、登場人物の没個性化は避けられず、時には凡庸ですらなくなる。 本作での感情表現は非常に乏しく原始的で、あったとしても意味がわからないことがしばしばある。それは自然主義の弊害として目を瞑れば、物語は本当に悲観でしかない。  自然主義の土台には「徹底した観察」という科学的な視点があり、因果関係が割と明白である。それ故、起こるすべての事象はあらかじめ決まっているという決定論的性格を帯びている。そうした世界観においては、バッドエンドに対して、どうにかできたのでは? じゃなくて、どうにもできないと諦観するのが然るべき姿勢なのかもしれない。  マクティーグの元炭鉱夫という経歴が決定論的に作用し、物語は円環的な構造となっている。愚鈍で醜男なマクティーグが辿る「死の谷」への道のりを決定論を組み込んだ自然主義の視点で見てしまうと、読者は他人事を免れず、それこそ「死の谷」のごとき深い絶望感に叩き落とされるに違いない。自分は叩き落とされた。なぜなら人生は生まれ持ったもので決まると言われているようなものだから。 ただ、アメリカの自然主義作家は割と裕福な家出身が多く、低階級の人々の描写は不得手だという指摘もあるという。著者のノリスも金持ち。 だとしたら残酷な読後感にもまだ救いがあるかもしれない。決定論を支持して悲観的な末路を表現しようとするなんて、不自由を生まれ持たずに育ってきた恵まれた輩がやることだよなと、自ずと反自然主義精神が湧いてくる。  誰しも夢があるし、それに向かって努力して成長できる。それがあるがままの人間の姿であろう。自然主義は人間のあるがままを描写するというが、それは闇=人間の本性 と決め込んでいるからだ。時代背景を無視しているのは承知の上だが、自然主義はかなり強引な思想だと思った。

Posted by ブクログ