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地図から消えた国、アカディの記憶 『エヴァンジェリンヌ』とアカディアンの歴史
定価 ¥3,080
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 書肆心水 |
発売年月日 | 2008/06/20 |
JAN | 9784902854466 |
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地図から消えた国、アカディの記憶
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地図から消えた国、アカディの記憶
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ザ・バンドの「イバンジェリン」という歌は、やぎたこのレパートリーでもある。英語の辞書を引くと「福音」という意味が載っているのだが、同名の抒情詩があると聞いて手に取った1冊。 前半は、1800年初頭の詩人、ロングフェローによる抒情詩「エヴァンジェリンヌ」の和訳。後半が、その詩のバ...
ザ・バンドの「イバンジェリン」という歌は、やぎたこのレパートリーでもある。英語の辞書を引くと「福音」という意味が載っているのだが、同名の抒情詩があると聞いて手に取った1冊。 前半は、1800年初頭の詩人、ロングフェローによる抒情詩「エヴァンジェリンヌ」の和訳。後半が、その詩のバックグラウンドである、アカディたちの歴史についての記述、という2部構成になっている。 時は17世紀、カナダの東端である現ノヴァスコシア州やケベック州東部の地域での出来事。当初、この付近に移住したフランス系の移民たちと現地の民族の生活は、厳しい自然と共生する、工夫の凝らされたものだった。しかし、その生活は次第に、ヨーロッパでの戦争、特に英仏の対立の影響に脅かされるようになる。統治する国が頻繁に変わり、その度に忠誠を誓わされる人々。ヨーロッパの戦争が飛び火して軍が攻めてくるたびに、破壊されてしまう生活。 この地で自分たちなりの文化を築き、アカディと呼ばれるようになった彼らは、そんな状況の中でもしなやかに生き延び続けてきたが、1755年、ついにイギリス軍に故郷を追われ、他所への移転を強いられることになる。 第一章にしるされる抒情詩『エヴァンジェリンヌ』は、この強制的な追放の際に恋人とはぐれて、生涯、彼を追い求め流浪の人生を送ることになる女性、エヴァンジェリンヌの物語。 この地域では、歴史的事実と共にかなり有名な物語であり、それを元の題材とした歌も多く存在するらしい。カナダ人メンバーの多いザ・バンドのこと、この歌の作者、ロビー・ロバートソンも、きっと知っていたであろうこの物語を読むと、彼らの「イヴァンジェリン」の歌詞にも、その内容を踏まえているらしい箇所があることが分かる。 歌の理解にも役立つ、面白い1冊だった。 それにつけても、こうした歴史を追うと、遠く離れた場所を自分の領地である宣言をする「国家」というのは、一体何なのだろう、と考えさせられる。 その土地と仲良く暮らしていける人々を追い出さなければならない理由なんてあり得ないはずなのに。 自分の論理や宗教を他者に押し付ける「正義漢」は、その地に生きる者にとってはえてして「侵略者」でしかないだろうに。 結局、その地に暮らす民衆が、自らの利益を優先した権力者の犠牲になったということ。何百年も前から、人間のやることは何も変わっていないのだ。
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