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坂東三津五郎 歌舞伎の愉しみ
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 岩波書店 |
発売年月日 | 2008/07/25 |
JAN | 9784000244428 |
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坂東三津五郎 歌舞伎の愉しみ
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商品レビュー
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2件のお客様レビュー
団十郎、勘三郎についで、三津五郎も逝った。「歌舞伎の神様は居眠りでもしてたのか」と言った人もいたが、そんなはずはない。昼夜兼行でいくつもの役を演じ、歌舞伎だけでなく、テレビや映画の仕事もやっていれば、体に無理もかかる。いつまでも若手でいられるはずもなく、重鎮と呼ばれる役者が次々と...
団十郎、勘三郎についで、三津五郎も逝った。「歌舞伎の神様は居眠りでもしてたのか」と言った人もいたが、そんなはずはない。昼夜兼行でいくつもの役を演じ、歌舞伎だけでなく、テレビや映画の仕事もやっていれば、体に無理もかかる。いつまでも若手でいられるはずもなく、重鎮と呼ばれる役者が次々と亡くなっていけば、若手を教える役目も回ってくる。しなければならないことと、できることの矛盾にストレスも増えることだろう。遊びのない歯車は最後は自分を削って動き続ける。歌舞伎役者の早すぎる死には、それなりの理由があるにちがいない。 端正だとか、楷書の芸だとか評されることの多い三津五郎だが、歌舞伎の世界では主役級の役どころが回ってくる家ではない。弁慶も助六もやってはいるが、数えるほど。歌舞伎界では芝居よりも踊りの名手と知られている。役者としては蜷川演出の商業演劇における活躍の方が知られている。自分では恋愛ものは好きではないと言っているが、いわゆる任に合っているのは、そちらの方だろう。それでも、歌舞伎という特殊な世界にあっては、欠くことのできない役者だった。 世話物を得意とする菊五郎劇団の系譜を引く一人として、二代目尾上松緑からじきじきに教えを受けているのだ。歌舞伎界に限らないのかも知らないが、家の芸というものがある。よく知られる例では市川家の歌舞伎十八番がそれにあたる。江戸の荒事を中心にしたそれが市川団十郎の家の芸だとすれば、世話物狂言を得意とする六代目菊五郎に薫陶を受け、立役をつとめたのが二代目松緑。跡継ぎの辰之助を早くに亡くした松緑は、まだ若い孫の四代目松緑に跡を継がせるため、三津五郎に自分の家の芸を託したのだろう。 歌舞伎の家を梨園の名門というが、実は実子相続に重きを置いていない。実の子が凡手だったら目も当てられない。それよりも実力のある役者を娘婿にとって跡を継がせるほうがよほどよい。大事なのは、血筋ではない。家の「芸」であり、「型」なのだ。この割り切り方は大阪商人のそれに似て理にかなっている。跡継ぎに男の子ができてよかったなどというのはごく最近のことだ。 三津五郎はそのあたりがよく分かっている。型を崩さずきっちりと演じるのは、自分のためではない。自分を通して次に来る世代にしっかりした型を受け継がせるためである。大事なのは、ランナーではない、代々受け継がれてきたバトンであり襷の方だ、というのが大和屋の性根だったろう。楷書の芸とはそういう意味である。これは、アーチストとしては随分割り切った考え方で、むしろ職人に近い、アルチザンというべきか。 踊りの相方を務め、同じ舞台を踏んだ故中村勘三郎が、歌舞伎興隆に一人気を吐いて、八面六臂の活躍をし、名声をほしいままにする陰で、地道に後輩の面倒を見、休演した役者の代役を務め、よくがんばってきた。それもこれも歌舞伎を愛する一心につきる。これからというときに逝ってしまうのは、口惜しかったにちがいない。江戸のにおいを感じさせることのできる役者がまた一人世を去った。播磨屋の体調も万全とはいえないし、仁左衛門ももともと丈夫な方ではない。これでは、歌舞伎というものは跡形もなくなるのではないか、と要らぬ心配をしたくなる。立役をつとめられなくても腐らずに自分を磨き上げてゆく、そんな役者が三津五郎のあとを継いで行ってほしいものである。
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歌舞伎役者の方がどのような気持ちで、どんなことを考えながら舞台に立っているのか知りたくて読みました。 一見すると難しそうな内容ですが、とても楽しく読みやすいものです。ただし、やはり中級者向けですね。一回歌舞伎の有名どころの演目が分かる本を読んでおくとさらに面白いです。 ただ歌舞...
歌舞伎役者の方がどのような気持ちで、どんなことを考えながら舞台に立っているのか知りたくて読みました。 一見すると難しそうな内容ですが、とても楽しく読みやすいものです。ただし、やはり中級者向けですね。一回歌舞伎の有名どころの演目が分かる本を読んでおくとさらに面白いです。 ただ歌舞伎の魅力を伝えるだけでなく、役者側が思うジレンマや今の歌舞伎の問題点も書かれており、考えさせられる内容でした。 現代で世話物をやる難しさ、歌舞伎をみるお客様への気持ち、若い世代への芸の指導についてなどなど興味深いが盛りだくさんです。 さらに、三津五郎さんの踊りがみたいと思いました。歌舞伎というと荒事や有名な演目のような、豪華さや派手さがみたいと思っていた節があります。しかしこの本を読んで、踊りを理解するのではなく、「なんとなく、さまがいいね」という気持ちで観ればよいと学びました。 構え過ぎていたのだと思います。 これから通し狂言や踊り、新作を観て、もっと歌舞伎の魅力を知っていきたいです。この本を読んで改めてそう思います。
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