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四人の兵士
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 白水社 |
発売年月日 | 2008/08/10 |
JAN | 9784560092118 |
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四人の兵士
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商品レビュー
3.9
16件のお客様レビュー
第一次大戦終結直後、敵兵に追われたロシア赤軍は、国境近くの森に逃げ込む。 偶然にチームを組んだ4人の若者は、沢山の凍死者を出した過酷な冬を乗り越え、暖かな春を迎える。 淡々と、しかし執拗に描かれる気の合った仲間たちによる短い夏休みのような日々。秘密の沼地、煙草を賭けたサイコロ、女...
第一次大戦終結直後、敵兵に追われたロシア赤軍は、国境近くの森に逃げ込む。 偶然にチームを組んだ4人の若者は、沢山の凍死者を出した過酷な冬を乗り越え、暖かな春を迎える。 淡々と、しかし執拗に描かれる気の合った仲間たちによる短い夏休みのような日々。秘密の沼地、煙草を賭けたサイコロ、女性の写真が入った時計。短いエピソードの連続で4人の若者とその関係性が描写されていく。 そして再び戦いに巻き込まれたラスト数ページの衝撃。 声高ではないが、文学の持つ力を感じさせる作品。
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ロシア赤軍で出会った四人の兵士。過酷な戦争と極寒の森で彼らはふざけあい、協力しあって冬を越す。 戦争や軍隊生活や森の生活の過酷さが根底にあるからこそ、彼らの少ない心の充足感はなんとも優しく哀切に満ちている。 年末にたまたま選んだこの一冊は、読んだ後に残る余韻、このレビューを書きな...
ロシア赤軍で出会った四人の兵士。過酷な戦争と極寒の森で彼らはふざけあい、協力しあって冬を越す。 戦争や軍隊生活や森の生活の過酷さが根底にあるからこそ、彼らの少ない心の充足感はなんとも優しく哀切に満ちている。 年末にたまたま選んだこの一冊は、読んだ後に残る余韻、このレビューを書きながらもほろほろと涙がこぼれてれてしまう珠玉の一冊だった。 語り手のベニアの所属するロシア赤軍の中隊は、ルーマニア軍、ポーランド軍から逃げる途中で、極寒の森で一冬を越し春を待つことになった。 ベニヤはたまたま出会った三人の仲間たちと小屋を作って過ごすことにする。初対面から気が合い計画と実行力のあるパヴェル、単純な性格だが気の優しい力持ちのキャビン、冷静で優しく銃の扱いに長けているシフラ。 彼らは小屋を作り、暖を取り、食料を調達し、配給の少ないお茶を分け合い、タバコを賭けてサイコロを振り、見つけた沼を秘密の場所としてくつろぐ。 <ぼくたちはきっと、戦争が終わるまでこうしてふざけあっているんだ。P113> ベニヤは死んだ両親に語りかける。ぼくには友達がいます、見てください、ぼくは大丈夫です。 初期のロシア赤軍兵士は、学のない労働者や農民が多かった。彼らもほとんど文字は読めない。物語でのベニアの語りは、そんな彼らの心のそのままのように簡素であり素直だ。 だからこそ胸を打つ。 戦争や軍隊生活や森の生活の過酷さが根底にあるからこそ、彼らの少ない心の充足感はなんとも優しく哀切に満ちている。楽しくも戦場での日々に悪夢にうなされることもある。 <ぼくはまずシフラの笑顔に釘付けになった。キャビンが上手に馬を進めるようになったおかげで、それはほんとうに安心しきった笑顔だったのだ。それからゆっくりと確実に歩を進めるキャビンの足取りにも目を奪われたし、それにパヴェルもまた、ぼくの傍らを歩いていたので、ぼくはにわかに胸がいっぱいになってしまった。みんながそれぞれ、いるべき場所にいるような、その瞬間は、森で過ごしたあの冬から、はるか遠くにいるような、そんな気がしたのだ。そして冬が終わったからには、やがて再開されるであろう戦争からも遠くにいるような。 P98> 途中で少年兵エウドキンの面倒見を頼まれた四人は、エウドキンが経験したすべてをノートに書き留めていると知り、彼に頼む。 おれたちがしたことを書いたか?おれたちが出会ったことを書いたか?おれたちの思いを書いたか?二度と戻れないこの日々のことを書いたか? <ここではいい時間を、とてつもなくいい時間を過ごしたんだからな。だけど、みんな分かっているんだ。もうそんな時間は過ごせない。おれたちが行くところはそんなところじゃないし、いい時間なんか二度と過ごせないってことがさ。なにもかも過去の音になっちまうんだ。だからおまえは、そういうことを書かなきゃいけないんだよ。(中略)そうさ、そういうことを書いてほしいんだ。P130> 文字の読み書きのほとんどできない彼らは、自分たちの存在や思いや、そんな素晴らしいものを文字で残すことに夢中になる。言葉は残るものであり、他の人達が知らないこともだれにも言えない気持ちも、書くことにによって事実となる。この少年のノートにみんなが夢中になる場面は、人間と言葉の関係、言葉の持つ力や言葉に人々が求める思いを感じた。 <そう、でも、ぼくには分かっていた。まだ、はじめもしないうちから予感があったのだ。空は果てしなく、言葉にはできない、と。 どれほど多くの歳月が過ぎ去ろうと(…)そう問わずにいられない。 ぼくは今、この思いをわかってもらおうとして、ひたすら途方に暮れている。徒労をかさね、逃げも隠れもできなければ、身の置きどころもなく、うなだれるばかりだ。 P176より抜粋>
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今年ベストに入るかも、というくらい素敵な小説、大好きな小説だった。戦争に徴収された四人のわかもの。敗走の合間のつかの間の空白。その時間の四人の楽しさったら。ずっと永遠に続けばいい、と誰もが思うにちがいない。
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