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オバケ 最終版(上) 光文社C叢書シリーズ
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オバケ 最終版(上) 光文社C叢書シリーズ

畑中純(著者)

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オバケ 最終版(上) 光文社C叢書シリーズ

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 光文社
発売年月日 2008/08/30
JAN 9784334901547

オバケ 最終版(上)

¥1,210

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2016/06/30

週刊モーニング連載時から大好きだった作品。1991年から92年にかけて掲載とある。 私たちが日々暮らす中で、自然現象はときには人知をはるかに超えた姿を見せる。やさしい時もあるけど、恐ろしい力でもって立ちふさがることもある。 自然現象は予知不可能なものだけど、自然への畏怖や敬慕や...

週刊モーニング連載時から大好きだった作品。1991年から92年にかけて掲載とある。 私たちが日々暮らす中で、自然現象はときには人知をはるかに超えた姿を見せる。やさしい時もあるけど、恐ろしい力でもって立ちふさがることもある。 自然現象は予知不可能なものだけど、自然への畏怖や敬慕やそこまでいかなくても身近な親しみについて、人間は有史以来大いなる創造力(想像力)でその姿を様々な形で表してきた。あるときはそれは神であり精霊であり異形なものであった。この作品ではそれは「オバケ」として表されている。 それにしても、オバケと言うからにはその姿かたちは一見こわくて不気味。さらに性格が複雑でとっつきにくいのが多い。でもある意味、難があり癖があるのは人間とて同じ。 私がすごいと思うのは、畑中純は、自然現象の不可解さと人間の内面の不可解さ、それを「オバケ」という第三の存在に表象したというところ。両者の不可解さは不可解なままなのだけれど、いろんなオバケや人間が入り乱れての集合離散が白黒の2色が混ざり合うように渾然となって、自然のいいところと人間のいいところとが「オバケのいいところ」として書き表されているところが見事。 一方で、オチなんて必要なし!帯に「少年と少女の一夏の冒険譚」とか「ファンタジー」とか書いてるけど、もうそんな意味を求めて追っていくような読み方なんか一切不必要(笑) 最初だまされたような感じでもいいから、どっぷりとこの作品の世界観に身をゆだねさせてしまうくらいの気構えで臨むべし。 それともう1つ特筆しておきたい。改めて畑中純の絵には圧倒される。その描き込みの多さ、大胆な構図。画面いっぱいに自由にいろんな角度で泳ぐたくさんの魚を描かせたら、畑中純の独擅場だ。 また、その独特の線が交錯し重なることで黒く塗られた部分が多く見えるのもこの作品の美しさの1つだ。 夏の日の人っ子一人いない田舎の風景がいくつか出てくるけど、人の声も車の音も一切しないその風景は実は無音なんかじゃ全くなくて、蝉の声や風の音や川の流れる音などで都会の喧騒とは全く違った意味で空気が音に塗られるかのように騒がしい。 それと同じかといわんばかりに、畑中純は、どの線を切っても畑中純という落款が押されているかのように個性的な描線をもって、画面を目いっぱい塗りつぶそうとしている。 最後にもう1つ畑中作品のすごさに触れておきたい。それは単にノスタルジアに陥っていないということ。 例えば物語のモチーフは、水源である山奥の台地の山を丸禿にして建設される要塞のような建物であったり、田舎の小学生が抱え込むいじめ、不登校、大人への不信であったりだ。 作中にも『「あっと漁の時間や」「漁!?」「仕事仕事」「ホー、魚を殺すのが仕事か?」「人の食料になるものを捕るのは殺生やない」』とか、 同級生を大人の陰でいじめる小学生グループに気付いた鯉太郎が「子供が天使っちゅうのは大ウソやの」とつぶやいたりとか、ほのぼのの中にもピリッと畑中流エキスが効いて、種々の妖怪マンガから一線を画する畑中純オリジナルの世界観で満たされている。 以上、現代を生きる私たちは、時を遡り過ぎた時代や風景を懐かしむことなんかしても、それはオバケをそのまま信じ込む者と同様に現実からの逃避に過ぎない。 そうでなくて、オバケの存在を「受け入れる」。そしてつらくて苦しいこともある「人生を楽しむ」、そういう心の余裕があれば、この本は最高に楽しいはずだ。

Posted by ブクログ

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