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フランドルの冬 新潮文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 新潮社 |
発売年月日 | 1972/01/27 |
JAN | 9784101067018 |
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フランドルの冬
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フランドルの冬
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商品レビュー
4.8
6件のお客様レビュー
この作家を発見出来、読めたのはかなりの収穫。 元々の本業は精神科医。医者というキャリアを使った小説は意外と巷に溢れているが、処女作という本作、非常に面白く作者の筆力に安心が出来た。 舞台はフランス、外人の名前がゴチャゴチャ出てくる。また元々多めである480pに加え、文字が詰まっ...
この作家を発見出来、読めたのはかなりの収穫。 元々の本業は精神科医。医者というキャリアを使った小説は意外と巷に溢れているが、処女作という本作、非常に面白く作者の筆力に安心が出来た。 舞台はフランス、外人の名前がゴチャゴチャ出てくる。また元々多めである480pに加え、文字が詰まっていて小さい、体感600p超かというボリュームにも関わらず、作者独自のロジックと作品構成でグイグイ引き込まれた。彼のキャリアを最大限活かした、精神経過の描写はハッとする新鮮さがあった。
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コバヤシが居なくなってもなにも変わらず病院では日常が過ぎる。これが異邦人かと知る。あんなに長いこと勤務した相手でもふらっと居なくなればもう去った旅人と同じ扱い、すぐに忘れ去られる。悲しいな たかが狂った患者の言葉じゃないか。誰も本気に取りはしない 精神病者というものは、正常人のひそかにいだく観念を異常に拡大するものだ 水着姿の均整のとれた女性の肉体、ヘリオトロープとジャスミンの香り、甘い息遣い、暖かな舌、その穴の奥の赤い滑らかな熱いもの、その先の喜悦…
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フランスではないが、もう7年ほど海外で暮らしている。 異邦人の感覚というのは、よくわかる。 疎外感だとか、距離感などではない、 根本的に理解できない、未知である感覚。 囚人であること、狂人であること、 存在の不自由さを推し進めていけば、 おそらく個に帰結し、 囚人ですらなくなり、狂うことが狂うことですらない。 物語の舞台が、フランスの地方ではなく 諸行無常の仏教世界の土壌であったなら、 もしかしたら、クルトンは自殺する必要はなかったのではないかと 思う。 自分は、この小説を、古いとも思わなかった(個人的には普遍性を示す面白味を感じた)が、ここでの狂気を狂気と認識する時代は過ぎてしまったように思う。括弧で普遍性といって、その後に時代が過ぎたと続けるのは矛盾しているようだが、そうではなく、物語として成立する狂気としての旬が過ぎたという意味。 現代は狂気があまりにも時代の中に溶け込み、希釈されてしまってるのかもしれない。
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