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待つ女の悲劇 新典社新書
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 新典社 |
発売年月日 | 2008/07/10 |
JAN | 9784787961143 |
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待つ女の悲劇
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待つ女の悲劇
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昔、大輪先生のお講義で、雨月物語を読ませていただいた。 お名を拝見して懐かしく、当時のおさらいのように拝読した。浅茅が宿や菊花の契など、先生のお授業を受けていなかったら、私はきっと読まなかった。平安文学しか目が向かなくて、近世の作品には興味がなかったていたらく。 こういう美し...
昔、大輪先生のお講義で、雨月物語を読ませていただいた。 お名を拝見して懐かしく、当時のおさらいのように拝読した。浅茅が宿や菊花の契など、先生のお授業を受けていなかったら、私はきっと読まなかった。平安文学しか目が向かなくて、近世の作品には興味がなかったていたらく。 こういう美しい作品もあるのね… と、浅学を恥じた思い出がある。 このご本でも、浅茅が宿の宮木のお話は出て来る。 現代では『待つ』女の悲劇は少なくなるかもと色んな所で言われるが、どうなのだろう。メールがありチャットがあっても、すぐ届いたかが分かるだけに、どうでも良ければ相手からの返信はまばらに、そして言葉少なになってゆく。 女にとって、待つのが辛いのは、きっと生活苦や心細さからだけではない。 愛しているから。 そして愛し合った時の幸福が、 相手と離れても胸を去らないから。 そのひとの愛の不在が、つらいのだ。 今だって返そうと思えば返せる想いが返らない…。 その儚さや寂しさ、受け入れられない悲しみの 根本は変わっていないと思う。 単なる夜離れならまだしも、愛を約束したひと ならば…やはり待ってしまうだろうし。 社会制度が変わっても。 離婚再婚が出来るようになっても。 こうした究極の状態で、 「あなたはどういう愛の形を選びますか? その愛は本物ですか?」 という問を、まっすぐ投げてくるからこそ 『待つ』人々の悲劇は、文学作品として まだ生き続け、読まれている。 作品が社会批判を込めた目で書かれたこと。 規則や理屈でなく割り切れない心情に寄り添って 書かれたこと。 理想の純粋な愛を描いたこと。 これは、上田秋成のすごいところだし 同様のテーマを持ったいろんな作品と 共に紹介されている。 人の心は移ろうし、女も、護ってもらえるだけの 世界ではなくなった。女にも責任があり、 男も立ててもらえるだけでなくなった現代でも。 こんな風に一途に愛する女たちのお話に 私たちは今も涙を流す。 彼女たちの愛は、この先どんなふうに 受け止められ、掬い取られていくのだろうか。 私はやはり、共感と 「それでも生きなくては…。」 やわらかな溜息とともに、女たちが手に取り 「案外俺の隣にいる女も、こんな想いを 見せるのかな…」 と男たちが愛読するのではないかな…と思う。
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