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江戸商人の経営 生き残りを賭けた競争と協調
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 日本経済新聞出版社 |
発売年月日 | 2008/07/10 |
JAN | 9784532314002 |
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江戸商人の経営
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3.3
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江戸時代が意外に資本主義的な時代であったという論考。たしかに米の先物取引とかもあり、成熟した市場経済であったようだ。問屋仲間など今の感覚で言えばカルテル的なものだが、それは「公」をささえるものでもあった。著者は現代のCSRとの対比を用いているが、跡継ぎの話なども含め、いまどきのコ...
江戸時代が意外に資本主義的な時代であったという論考。たしかに米の先物取引とかもあり、成熟した市場経済であったようだ。問屋仲間など今の感覚で言えばカルテル的なものだが、それは「公」をささえるものでもあった。著者は現代のCSRとの対比を用いているが、跡継ぎの話なども含め、いまどきのコーポレートガバナンスや情報公開の視点からさらに掘り下げると面白いかもしれない。最終章では戦時体制以降、社会主義化した日本経済を嘆く。あと、もう少し編集がしっかりしていれば良かった。
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勉強不足なのは承知ですが、明治時代から日本は近代化して、それ以前の江戸時代のシステムはなんだか封建的で遅れているというイメージをずっと持っていました。 ところが最近の自分が興味を持つようになったからだとは思いますが、江戸時代におけるシステムの見直しが多くの点からされているよう...
勉強不足なのは承知ですが、明治時代から日本は近代化して、それ以前の江戸時代のシステムはなんだか封建的で遅れているというイメージをずっと持っていました。 ところが最近の自分が興味を持つようになったからだとは思いますが、江戸時代におけるシステムの見直しが多くの点からされているように思います。 この本は、江戸時代には最下層に位置づけられていた商人が実は、現代でも実際に行われているシステム(先物、M&A等)が機能していたことを解説しています。この本を契機に、江戸時代の政治、経済、生活についても興味を持っていきたいと思いました。 特に面白かったのは、金・銀・銅(銭)の3種類が独立していて、品物の種類によって使われる貨幣が異なっていた(p49)点でした。 以下は面白かったポイントです。 ・公儀の大名統制システムとしての天下普請と参勤交代は、経済発展のカギであった、全国規模の水運網と流通機構の成立により、全国の富が江戸に集中した(p33) ・天下普請は、戦国時代以来の戦闘集団の維持・強化に費やしていた資源を、国土開発・幕政強化とともに民生部門に転用させることができた(p34) ・大名の両国経営は、将軍から委任された行為であり、具体的な運営方法は公儀の支配から独立した形、従って、換金銀を行う場(市場)は民間ベースで運営されており、大阪がその中心(p41) ・公儀とオランダの貿易独占方針とが一致したので、直接的にはオランダと明・清のみを貿易相手国として、管理貿易(オランダ:銀3000貫、清:6000貫)とした(p44) ・家康が関が原で勝利した後に、毛利家は石見銀山を差し出して、改易を免れた(p48) ・東は金遣い(金1両につき、米xxx石:定額計数貨幣)、西は銀遣い(米1石につき、銀xx匁:秤量貨幣)であったが、それ以外に銅(銭)も本位貨幣として通用していた(p48) ・金遣いの江戸においても、上等な茶・材木・呉服・薬品・砂糖・塩・職人の賃金は、銀建て、吉原の遊興費・書画・骨董といった高級贈答品は金建て、庶民の日常品や旅籠の宿泊料は銭建てであった(p49) ・享保改革の時期を過ぎると、年貢収入に依存した公儀財政はさらに悪化して、商品流通に財源を求めるようになった(p96) ・樽廻船の新酒輸送レース(毎年2月頃)で一位をとると、1年間は優先的に出帆可能、販売価格の交渉権を保有等のメリットがあった(p123) ・株仲間において、公儀の規則に触れた場合は、加入者全員が連座して処罰の対象となった(p173) ・新規業者は、同業者一同の承諾を得る段階から、弘メ(披露目)と町年寄への届出という一連のプロセスを経て、その業界における営業活動を行える条件が整った(IPOに等しい)(p176) ・当時の株取引による経営譲渡は、現代の合併・買収(M&A)に相当する側面を持っていた、ただし現代と異なるのは、実業としての事業経営を効率的に行うことを重視した(p194) ・江戸の都市行政、経済政策は、南北町奉行とわずか330名の与力・同心が処理していた、この理由は、町年寄などを使った間接統治システムの成功にあった(p233) ・大名が改易された理由として、「公儀に公認された跡継ぎがいない」という事情のほかに、「百姓一揆の責任をとらされる」ということもあった、これは公儀から委任されている領国経営に失敗したものと看做されたから(p238) ・諸大名や町人から与力・同心への「付け届け」は、賄賂ではなく、領収書も発行される合法的なものであった(p243) ・幕臣の次男、三男は、養子となる他にも、勘定所といった公儀の官僚機構の下僚(ノンキャリ)になるコースもあった、そのために昌平坂学問所での勉学に励むことが多かった(p247) ・鎖国下ではあったが、長崎貿易や薩摩の琉球貿易、朝鮮との国交継続とは別に、大陸・蝦夷地を含む環日本海沿岸と東シナ海で北前船や西回り廻船が国際貿易をしていた(p252) ・明治維新によっても、社会システムの根幹にかかわるような断絶はなかった(p279)
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本書は、江戸期の日本の経済システムの詳細な研究の書であるが、決して江戸期の日本が遅れていたわけではなく、多くのシステムが機能している優れたものであったとの内容に、驚くと共に感心する思いを持った。 現在の経済学の視点から見た江戸期の世界を「市場経済システム」と「経済ダイナミズム...
本書は、江戸期の日本の経済システムの詳細な研究の書であるが、決して江戸期の日本が遅れていたわけではなく、多くのシステムが機能している優れたものであったとの内容に、驚くと共に感心する思いを持った。 現在の経済学の視点から見た江戸期の世界を「市場経済システム」と「経済ダイナミズム」の視点から考察し、「競争の実際」を具体的に取り上げた研究は、読んでも興味深く面白いと感じた。 「官と民の付き合い方」や「競争と公のバランス」も現在の日本の経済システムのDNAを感じ、納得の思いがした。 本書を読んで、江戸期の日本のシステムはよくできていたと痛感すると共に、このそれなりに優れたシステムは黒船というグローバル化の外圧がなければ、もっと持続したのではないのかとも思えた。 本書のエピローグで「完璧な経済システムはありえない」として現在の日本を考察しているが、この「持続可能で競争のはたらく経済システム」の提案も興味深い。 本書は、経済の様々な可能性を想起させてくれる良書であると思う。
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