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封印の島(上)
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商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | みすず書房 |
| 発売年月日 | 2008/05/19 |
| JAN | 9784622073956 |
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封印の島(上)
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母をハンセン病で失ったマリアは、結婚を間近に控えたある日、自分もらい菌に感染していることが分かり、婚約は破談、家族とも引き裂かれ、ハンセン病者を 隔離する孤島スピナロンガへの移住を余儀なくされる。そこでマリアが目にしたのは、高度な自治のもとで活き活きと暮らす患者たちの姿だった……...
母をハンセン病で失ったマリアは、結婚を間近に控えたある日、自分もらい菌に感染していることが分かり、婚約は破談、家族とも引き裂かれ、ハンセン病者を 隔離する孤島スピナロンガへの移住を余儀なくされる。そこでマリアが目にしたのは、高度な自治のもとで活き活きと暮らす患者たちの姿だった……。かつてギ リシャに実在した「封印の島」を舞台に、病に翻弄されながらも力強く生き抜く人々の姿を描き、2007年ブリティッシュ・ブック・アワード新人賞を受賞、世界20数ヵ国で翻訳された長編小説。
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2007年の夏にこの作品をペーパーバックで読んだ。アレクシスがスピナロンガ島に渡る冒頭の場面が美しく、物語の幕開けを感じて引き込まれた。ストーリーの波乱万丈に牽引されて読み進んだが、心に残ったのはスピナロンガ島にまつわる人びとの日常が坦々と描かれている部分だった。スピナロンガ島...
2007年の夏にこの作品をペーパーバックで読んだ。アレクシスがスピナロンガ島に渡る冒頭の場面が美しく、物語の幕開けを感じて引き込まれた。ストーリーの波乱万丈に牽引されて読み進んだが、心に残ったのはスピナロンガ島にまつわる人びとの日常が坦々と描かれている部分だった。スピナロンガ島はハンセン病患者のコロニーであったが、描かれているそこでの生活は予想に反して、死を待つだけという暗いものではなかった。我々の日常と同じく、生活の中に隠れた希望を見つけ、生活をよりよいものにしようという思いに支えられた日常があったということに気づかされる。 島での生活を支える人々の存在もこの作品を印象深いものにしている。島での生活に必要な品々を船で運ぶゲオルギウー、周囲の反対をおして診察のために島へ通う医師たち、自らも病を背負いながら島に住む患者たちの生活を引っぱっていくリーダーたちなど、仕事への使命感ということもあるだろうが、人間へのごく自然な愛情を感じる。ゲオルギウーの妻エレニ、娘マリアがハンセン病に罹患した時、母娘の友人、サヴィナ、フォティニ母娘の振る舞いにも、美談めいた構えた感じがない。人と人のつながりを大きな土台として、そこから導き出されるごくあたりまえのこととして描かれている。 原書で読み終わった時には、正直、全体としてのバランス、特に後半の冗長さが気になった。気になったのはこの作品の恋愛小説の要素だ。よいものをたくさん持った作品なのでもったいないと思っていた。ところが、邦訳書を読んで驚いた。全体のバランスが整うように文章が刈り込まれ、作品のよさが引き立つようになっており、読みやすい訳文で次々とページを繰って読み終わった。訳者のあとがき、出版社ホームページに掲載されたこの作品の編集に携わった方のものと思われる紹介記事を読んで、出版に関わった方々のこの作品への愛情を感じた。出版に携わる方々の思いで作品の良さが引き出されたしあわせな作品だと思う。ハンセン病になじみのない人への導入の一冊としても役立つ本となるだろう。
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