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東方綺譚 白水Uブックス69
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 白水社 |
発売年月日 | 1984/12/01 |
JAN | 9784560070697 |
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東方綺譚
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商品レビュー
4.3
27件のお客様レビュー
源氏物語を読んでいる時期に、この本に出会った。西洋出身の著者ユリスナールが、我々のアジアを舞台に作ったこの作品集の中に、「源氏の君の最後の恋」と言うお話が入っているというので、読もうと思ったのだ。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
目次 ・老絵師の行方 ・マルコの微笑 ・死者の乳 ・源氏の君の最後の恋 ・ネーレイデスに恋した男 ・燕の聖母 ・寡婦アフロディシア ・斬首されたカーリ女神 ・コルネリウス・ベルクの悲しみ 『ハドリアヌス帝の回想』が難解な長編だったので少し気合いを入れて手に取りましたが、とても読みやすい短編集でした。 どれも本当に短いし。 とくに良かったのは、『老絵師の行方』。 物心がつく前に天才絵師の絵に囲まれて育った皇帝は、現実が絵ほどに美しくないことに腹を立てて画師を殺そうとします。 まったく自分勝手である。 師を庇って目の前で殺された弟子の首が飛ぶのを見て、血の赤と床の石畳の緑の対比を感嘆して眺めるに至っては、絵の才能が業でしかない。 中島敦の『山月記』を想起してしまいました。 業の向かう方向は逆だったけれども。 『死者の乳』は、日本にも似たような話があったはず。 自分は死んでも、子どもにはお乳をのませる母親の話。 『源氏の君の最後の恋』も面白く読んだ。 私は光源氏の最期を看取るのは花散里じゃないかと思っていたのだけど、伊達男には伊達男の矜持があるのね。 ユルスナールの書く最後の恋は、残酷と言ってもいい展開だけれど、そういう解釈もあるのかとも思う。(納得はしていない) ただ、話とは別に、註釈がちょっと気になった。 訳者が書いたのか、編集部がつけたのかはわからないけど、これでいいのだろうか? まず最初に、二番目の妻である紫の上が亡くなった後の喪失感を書いた後 ”三番目の妻、西の館の君は、むかし彼が若かった頃、うら若い后と通じて父を裏切ったのと同じように、若い義理の息子と通じて彼を裏切ったのだった。” という文章の註解に、”紫の上は「三番目の妻」ではなく、この文章に該当する人物は『源氏物語』にはいない”とあるけど、これ、三番目の妻であり、彼を裏切った女三宮のことなんじゃないの? しっかり該当していると思うんだけど。 それから”あの長夜の君、わたしの館とわたしの心の中で、第三番目の地位に甘んじた、あの優しい人”と書いているのは、明石の御方じゃないのかな。 註釈では”不詳。こんな人物はいないはず”とまできっぱり否定しているから、ちょっと自信はないけれど。 紫の上が春の館、秋好中宮が秋の館、明石の御方が冬の館で三番目? 心の中では、藤壺、紫の上、明石で三番目じゃないかなあ? いろいろ考えていたら、頭のなかが大和和紀祭りになってしまった。
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原著初版1938年。 薄い本で、各編も短い短編集だが、そのためにユルスナールの凝った文章を堪能して「語りの魅力」に容易に浸ることの出来る良書だった。 それにしてもユルスナールの文体は、表現がいちいち凝っていて彫琢された芸術性のあるものだが、私にはとても読みにくくはある。思う...
原著初版1938年。 薄い本で、各編も短い短編集だが、そのためにユルスナールの凝った文章を堪能して「語りの魅力」に容易に浸ることの出来る良書だった。 それにしてもユルスナールの文体は、表現がいちいち凝っていて彫琢された芸術性のあるものだが、私にはとても読みにくくはある。思うに、日本語は文末に至らないと肯定文か否定文かもわからず、英語等だとあんまり長い修飾節はそれが掛かる言葉の後ろに来るのに対し、日本語にすると長い修飾節の次に至るまで何を修飾しているのかわからないので、長いセンテンスでは読み進める過程では常に判断を保留しなければならない。このために、ユルスナールの長い文節構造をそのまま翻訳してしまうと、やけに分かりにくい印象の文になってしまうのではないだろうか。 そんなことでちょっと集中力のいる読書ではあったが、個々の作品が短いので、割合耐えることが出来た。 物語内容は、人類における<物語>の原型を彫琢するような確かな手触りがあって、これは価値ある小説だと感銘を受けた。西欧人のオリエント趣味については、ここでは単にフランスから見て東ということなのでユーゴスラヴィアやギリシャも東方であり、それらと日本や中国やインドなどを全部一緒くたにされることには抵抗感を覚えるが、まあそれはそれとして楽しんで読んだ。 『源氏物語』に材を得た1編もあり、紫式部のあの世界が、ヨーロッパ人の手によってこのような物語になるのか、と興味深いものがあった。
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