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東方綺譚 の商品レビュー

4.2

30件のお客様レビュー

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2026/03/09

神話などをベースにしてるので、残酷で性的、死に通じる美がある。「源氏の君の最後の恋」はフランス人が源氏を知り、この物語を紡いだことが感慨深いし、面白い。この話でも、またもや女好きで勝手な源氏に呆れさせられてしまったので、もしかすると、作者も源氏にちょっとシニカルな視線を送っていた...

神話などをベースにしてるので、残酷で性的、死に通じる美がある。「源氏の君の最後の恋」はフランス人が源氏を知り、この物語を紡いだことが感慨深いし、面白い。この話でも、またもや女好きで勝手な源氏に呆れさせられてしまったので、もしかすると、作者も源氏にちょっとシニカルな視線を送っていたのでは?と個人的な感想に結びつけた、勝手な妄想をしてしまった。

Posted byブクログ

2025/07/25
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

人に勧められて。フランス文学、と言っていいのか…?笑 タイトル通り、オリエントな短編が9つ収められている。 登場人物たちがあっさりと登場しては退場していく様は、歴史書のようでもあり、小説にしては冷たく、それが美しくもあった。 好きだったのは、「老絵師の行方」「死者の乳」「燕の聖女」あたり。 「老絵師の行方」 皇帝に命を絶たれようとする絵師は、弟子と共に絵画の中にその身を移す。原題は「ワン・フォーは以下にして救われたか」あるいは「ワン・フォーの救われたる次第」だそうで、小泉八雲の「果心居士」と共通の部分が多いらしい。こちらは読んだことがないが、本作の悲しさ・儚さ、それがこうも淡々と表現される様はただ、美しかった。 …玲は自分の血が師の衣服を汚さぬように、前へ一歩跳びした。兵士の一人が刀を振りあげ、玲の首が切られた花のように胴を離れた。下役人どもが屍を運び去ったあと、汪佛は絶望しながらも、弟子の血が緑の甃につけた美しい真紅の汚点を感嘆して眺めた。(p.20) …汪佛は絵筆をうごかしながらやさしく声をかけた。 ーおまえは死んだと思っていたよ。 ー先生が生きておられますのに、どうしてわたしが死ねましょう。と玲はうやうやしくこたえ、師に手をかして舟にのせた。… ー海は美しく、風は順調で、海鳥は巣をつくっています。船出いたしましょう、師よ、波の彼方の国に向って。 ー行こう、と老絵師が言った。(p.25) そうして二人は絵画の中の桃源郷に入り込み、漂い、消えていったのだった。倉橋由美子にもこんな作品があったような気がする。幻想絵画館? 「死者の乳」 死に行く時に、自分の身体に語りかけることが想像できて、切実だった。 ーああ、わたしの小さな足。この足はもう丘の頂かでわたしを運んでいかないのね、いとしい人のまなざしにこのからだを早くさし出そうといそぐわたしを。この足はもう流れる水のさわやかさも知ることはないでしょう。天使だけが、復活の日の朝、この足を洗ってくださるでしょう。…(p.59) 「燕の聖女」 ーお行き、子供たちよ。 放たれた燕は夕空に飛び去った、嘴と翼とで、不可解な記号を描きながら。老人と若い女はしばしそれを見送った。それから、旅の女は、孤独な人に言った。 ー燕たちは毎年もどってくるでしょう。わたしの御堂に鳥たちを宿らせてやりなさい。さらば、テラピオン。 そしてマリアは行き止まりになった小径をすたすたと歩いて去った、道が尽きてもそれは問題ではなかった、彼女は天をあゆむすべを心得ておられるのだから。…(p.116)

Posted byブクログ

2025/04/19

白水Uブックスのシリーズを久しぶりに手に取ってみたが、読んで良かった。 ユルグリッド・ユルスナールの作品自体が良いのだろうが(原作を読んでないので…)、“源氏の君の最後の恋”は、多田さんの訳だからこそなんだろうなと思う。

Posted byブクログ

2024/10/20

気になっていた「源氏の君の最後の恋」 うーん、なるほどねぇ…花散里のイメージと合わないと思うのは私だけかなぁ?

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2024/05/23

源氏物語を読んでいる時期に、この本に出会った。西洋出身の著者ユリスナールが、我々のアジアを舞台に作ったこの作品集の中に、「源氏の君の最後の恋」と言うお話が入っているというので、読もうと思ったのだ。

Posted byブクログ

2023/05/26
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

目次 ・老絵師の行方 ・マルコの微笑 ・死者の乳 ・源氏の君の最後の恋 ・ネーレイデスに恋した男 ・燕の聖母 ・寡婦アフロディシア ・斬首されたカーリ女神 ・コルネリウス・ベルクの悲しみ 『ハドリアヌス帝の回想』が難解な長編だったので少し気合いを入れて手に取りましたが、とても読みやすい短編集でした。 どれも本当に短いし。 とくに良かったのは、『老絵師の行方』。 物心がつく前に天才絵師の絵に囲まれて育った皇帝は、現実が絵ほどに美しくないことに腹を立てて画師を殺そうとします。 まったく自分勝手である。 師を庇って目の前で殺された弟子の首が飛ぶのを見て、血の赤と床の石畳の緑の対比を感嘆して眺めるに至っては、絵の才能が業でしかない。 中島敦の『山月記』を想起してしまいました。 業の向かう方向は逆だったけれども。 『死者の乳』は、日本にも似たような話があったはず。 自分は死んでも、子どもにはお乳をのませる母親の話。 『源氏の君の最後の恋』も面白く読んだ。 私は光源氏の最期を看取るのは花散里じゃないかと思っていたのだけど、伊達男には伊達男の矜持があるのね。 ユルスナールの書く最後の恋は、残酷と言ってもいい展開だけれど、そういう解釈もあるのかとも思う。(納得はしていない) ただ、話とは別に、註釈がちょっと気になった。 訳者が書いたのか、編集部がつけたのかはわからないけど、これでいいのだろうか? まず最初に、二番目の妻である紫の上が亡くなった後の喪失感を書いた後 ”三番目の妻、西の館の君は、むかし彼が若かった頃、うら若い后と通じて父を裏切ったのと同じように、若い義理の息子と通じて彼を裏切ったのだった。” という文章の註解に、”紫の上は「三番目の妻」ではなく、この文章に該当する人物は『源氏物語』にはいない”とあるけど、これ、三番目の妻であり、彼を裏切った女三宮のことなんじゃないの? しっかり該当していると思うんだけど。 それから”あの長夜の君、わたしの館とわたしの心の中で、第三番目の地位に甘んじた、あの優しい人”と書いているのは、明石の御方じゃないのかな。 註釈では”不詳。こんな人物はいないはず”とまできっぱり否定しているから、ちょっと自信はないけれど。 紫の上が春の館、秋好中宮が秋の館、明石の御方が冬の館で三番目? 心の中では、藤壺、紫の上、明石で三番目じゃないかなあ? いろいろ考えていたら、頭のなかが大和和紀祭りになってしまった。

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2022/11/26

 原著初版1938年。  薄い本で、各編も短い短編集だが、そのためにユルスナールの凝った文章を堪能して「語りの魅力」に容易に浸ることの出来る良書だった。  それにしてもユルスナールの文体は、表現がいちいち凝っていて彫琢された芸術性のあるものだが、私にはとても読みにくくはある。思う...

 原著初版1938年。  薄い本で、各編も短い短編集だが、そのためにユルスナールの凝った文章を堪能して「語りの魅力」に容易に浸ることの出来る良書だった。  それにしてもユルスナールの文体は、表現がいちいち凝っていて彫琢された芸術性のあるものだが、私にはとても読みにくくはある。思うに、日本語は文末に至らないと肯定文か否定文かもわからず、英語等だとあんまり長い修飾節はそれが掛かる言葉の後ろに来るのに対し、日本語にすると長い修飾節の次に至るまで何を修飾しているのかわからないので、長いセンテンスでは読み進める過程では常に判断を保留しなければならない。このために、ユルスナールの長い文節構造をそのまま翻訳してしまうと、やけに分かりにくい印象の文になってしまうのではないだろうか。  そんなことでちょっと集中力のいる読書ではあったが、個々の作品が短いので、割合耐えることが出来た。  物語内容は、人類における<物語>の原型を彫琢するような確かな手触りがあって、これは価値ある小説だと感銘を受けた。西欧人のオリエント趣味については、ここでは単にフランスから見て東ということなのでユーゴスラヴィアやギリシャも東方であり、それらと日本や中国やインドなどを全部一緒くたにされることには抵抗感を覚えるが、まあそれはそれとして楽しんで読んだ。 『源氏物語』に材を得た1編もあり、紫式部のあの世界が、ヨーロッパ人の手によってこのような物語になるのか、と興味深いものがあった。

Posted byブクログ

2021/10/01

老絵師の行方/マルコの微笑/死者の乳/源氏の君の最後の恋/ネーレイデスに恋した男/燕の聖母/寡婦アフロディシア/斬首されたカーリ女神/コルネリウス・ベルクの悲しみ(解題) 9つの独立した短編。怖いもの見たさなのか妖しさに惹かれるのか、ひとつひとつの物語に思いがけない展開があり目を...

老絵師の行方/マルコの微笑/死者の乳/源氏の君の最後の恋/ネーレイデスに恋した男/燕の聖母/寡婦アフロディシア/斬首されたカーリ女神/コルネリウス・ベルクの悲しみ(解題) 9つの独立した短編。怖いもの見たさなのか妖しさに惹かれるのか、ひとつひとつの物語に思いがけない展開があり目を離すことができなかった。訳者の解説も必読。#八蔵の会

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2021/08/24

西洋人の著者による東洋モチーフの短編集。一話目を読み始めたときから美しい文章にすっかり夢中になった。 最初は中国が舞台だったけれど、その後は東欧が多い。西洋人というか西欧人からするとそれも東に入るのだろうとは理解できるが、東の範囲が広すぎるというのが東洋人としての素直な感覚かも。...

西洋人の著者による東洋モチーフの短編集。一話目を読み始めたときから美しい文章にすっかり夢中になった。 最初は中国が舞台だったけれど、その後は東欧が多い。西洋人というか西欧人からするとそれも東に入るのだろうとは理解できるが、東の範囲が広すぎるというのが東洋人としての素直な感覚かも。 おはなしや文章は美しく儚く、初めてユルスナールを読んで、他の本も楽しみになった。

Posted byブクログ

2021/04/01

どの物語に対しても女性作家が書いたことを感じさせる気品を感じたが、読みながら想像したのはおどろおどろしい光景だった。 西洋人から見た東方は奇怪な世界に見えるのか。 不思議な読後感。

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