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美しさと哀しみと 中公文庫

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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 中央公論新社 |
発売年月日 | 1973/08/10 |
JAN | 9784122000209 |
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美しさと哀しみと
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美しさと哀しみと
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商品レビュー
3.8
14件のお客様レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
美しさと哀しみと 著者:川端康成 発行:1973年8月10日 中公文庫 初出:1961年1月~1963年10月「婦人公論」 中学時代の同級生Oさんから教えられた作品。今年、50年ぶりぐらいに川端作品をひょんなことから読み返し、読書メモをポストしていたらOさんが教えてくれた。昔、白雪劇場でドラマ化され、それが面白かったので原作を読んだけどテレビの方がよかったというようなことを教えてくれた。僕の感想は、ちょうど半分あたりまではとても面白かったが、そこから急につまらなくなった。最後の落ちも、特段驚くべき点がなかった。 鎌倉に住む小説家の大木年雄が31歳の時、まだ16歳の女学生・上野音子を口説いて妊娠させてしまう。しかし、音子は妊娠8ヶ月で流産し、自殺を試みるが、一命は取り留め、一時入院させられる。そこは鉄格子のある病院、すなわち精神科だった。その後、音子の母はこの酷い男のことを忘れさせるために母娘で京都に移住する。音子は日本画家として名をあげる 音子が流産した時、大木年雄には妻子がいたが、2年後にはこの体験をもとにした小説「十六七の少女」を書き上げる。それは彼の代表作となり、ロングセラーとして一家の暮らしを支えることになる。 年雄は執筆した作品を文子にタイプさせる。「十六七の少女」をタイプしている途中、文子は妊娠したが、打ち終わって5、6日後に流産。出版すると再び妊娠、出産。 音子がその小説のモデルだと知れたのは、年雄が50歳を過ぎて作家としての地位があがってからのこと。 流産して別れた事件があってから24年。年雄は除夜の鐘を聞きに12月29日から京都へ一人で出向いた。目的は、音子と再会して二人でそれを聞くためだった。小説はここから始まる。京都についたとき、年雄を迎えにきたのは音子ではなく、音子の若い弟子で美人の坂見けい子だった。 前半は年雄と音子の過去の話が中心となり、後半はそこにけい子が入る三角関係、さらには年雄の息子・太一郎が関わる四角関係となり、年雄の妻である文子も加わってのややこしい関係が展開していくことになる。 ************ 除夜の鐘は、知恩院の近くで聞く。年雄、音子、けい子の3人。元日に帰郷する列車を見送りに来てくれたのはけい子一人。音子の絵をくれた。けい子は東京出身だから鎌倉など珍しくもだいだろうが、上京したら寄ってくれと言い残して年雄は帰郷。絵は音子の落款があるので自宅には持ち帰れず、別のところに置くことに。 年雄の留守中に、けい子が訪ねてきた。自身の描いた絵を2枚、置いて帰っていった。息子の太一郎がけい子を送りがてら、鎌倉案内をした。建長寺ほか。その日、年雄は会えなかった。 次にけい子が訪ねて来た時は、家には年雄一人しかおらず、2人で出かけて泊まった。同衾し、セックス直前に彼女は音子の名を叫び、セックスはしなかった。その前、彼女は左の乳房を絶対に触らせなかった。右はいいが左は嫌。理由は不明だった。形など変わらないし。 音子とけい子は、実は同性愛的な間柄だった。お互いの体を触り愛、かみ合い、なめ合い・・・性交に至っているかどうかは表現されていない。けい子は、音子があるコンテストで入選した絵を見て、音子の美しさに惹かれて弟子入りした。音子もけい子の美しさに惹かれていた。 けい子は、大好きな音子先生を苦しめたあの男(年雄)に復讐します、と宣言しているが、本心はなにを考えているのか不明。音子は、けい子を殺そうと一瞬思う。それは憎しみではなく、愛あるゆえか?音子は、死んだ我が子を見せてもらえなかった。描きたいと考えている。けい子の美しさも描きたと考えている。しかし、それはどちらも、結局は音子が自分自身に対するナルシズムが所以ではないかと自己分析する。 けい子は、太一郎と琵琶湖を旅する。けい子は、左の胸は許すが右の胸は触らせない。ここでも理由は不明。年雄とは逆の胸。 2人一緒であることを知らせるため。けい子自らが太一郎の母である文子に電話する。絶対に許さない文子。けい子と太一郎はモーターボートに乗って琵琶湖へ。事故がニュースになる。けい子は重体だが救出される。太一郎はまだ発見されず。鎌倉から駆けつけた年雄と文子、京都から駆けつけた音子。文子と音子がはちあわせ。 けい子は太一郎を殺したのか?復讐を遂げたのか? 大木年雄:31歳の時に16歳の音子の純潔を奪う 大木文子:妻、その時は23歳で男児の母親、元タイピスト 大木太一郎:長男、私大国文科講師、鎌倉と室町の文学研究 組子:娘、結婚してロンドンへ 上野音子:日本画家 坂見けい子:弟子 混血女性:音子の父親(音子12歳で死亡)の愛人、祖母がカナダ人、子が一人(音子の異母妹)、 おみよ:音子たちが住む寺の雇い女、53か4歳
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父と息子と一人の女。 この三角形はいつでも悲劇を呼ぶ。 ツルゲーネフ『初恋』 川端康成『千羽鶴』『美しさと哀しみと』 でも文章が美しいのは間違いないのよ。
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最初は、31妻子持ちの男が、16の純白な少女を犯し、子供を死産させた上、20年越しに会いに行った際には「まだ自分のことが彼女の中に残っている」とほざく自分勝手で独りよがさに、設定のありえなさと胸糞悪さを感じていたが、最後まで読み進めると、その設定によって川端康成が描きたかったこと...
最初は、31妻子持ちの男が、16の純白な少女を犯し、子供を死産させた上、20年越しに会いに行った際には「まだ自分のことが彼女の中に残っている」とほざく自分勝手で独りよがさに、設定のありえなさと胸糞悪さを感じていたが、最後まで読み進めると、その設定によって川端康成が描きたかったことがわかった。舞台となった鎌倉と京都の美しく静かな描写の中で、女の弟子「けい子」を中心に異様な世界観が漂い、人間の狂気が浮かび上がる。最後の怒涛の展開は、サスペンスドラマさながらのスピード感で進む。読了して始めて、けい子がなぜこの作品で登場するのか腑に落ちる。
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