南極1号伝説 ダッチワイフからラブドールまで 特殊用途愛玩人形の戦後史

高月靖【著】

• 販売会社／発売会社: バジリコ
• 発売年月日: 2008/04/26
• JAN: 9784862380937

商品レビュー

2024/08/16

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2024/09/04

南極1号伝説
ダッチワイフからラブドールまで-特殊用途愛玩人形の戦後史

昔々、竹蔵が中学生くらいだった頃、都市伝説っぽい話ですが”南極一号”のことが冗談のネタになっていたことを思い出しました。いわゆる「ダッチワイフ」のことです。
ルポルタージュの形で、副題にもある特殊用途愛玩人形の歴史、メーカーへの取材、ユーザーへの取材の結果がまとめられています。
オランダを意味するDuｔchが使われている理由として、オランダとイギリスが覇権を争っていた頃に、ライバルを蔑む表現として、Douch accounting (割り勘、けちなこと）やDutch widow (売春婦）などのネガティブ表現が英語に残っているためだということをはじめて知りました。また、輸出先として最も多いのがドイツ（ラテン系の趣味ではないですよね）であるということもとても興味深かったです。
ラブドール（ダッチワイフの今風表現）には、風船式、ソフトビニール製、ウレタン製、ぬいぐるみ式そしてシリコン製と歴史も含めいろいろな種類があることなど、いろいろとお勉強？になりました。こういった歴史や現状に関して、ちょっと整理されていないところがあり読みづらかったのは不満です。
後半のメーカーやユーザーへの取材をもとにした部分は、今ひとつツッコミが足りないというか、何を言いたいのかがぼけているというか、消化不良ぎみです。
ですが、メーカーの果敢な挑戦（シリコン製のラブドールは一体６０万円～１００万円もするため、その開発費や材料費は半端な投資ではない）やインターネットの普及によるユーザー層の拡大や対応などに関して、なかなか面白い話が書かれています。
ユーザーに関しては、伝説的なユーザーであるTa-bo氏への取材のみで、奥深く怪しげなこの世界へのアプローチとしては不十分な気がします。
竹蔵が一番インプレッションを受けたのは、Ta-bo氏提供の居間に十数体のラブドールが集合している写真や化粧を施された妖艶な写真で、とても尋常ではない妖しいこの世界を垣間見ることができました。
一家に一冊は不要ですが、雑学のネタとしてはご一読して損はないと思います。さすがにカバーをかけて読まないといけませんでしたが。。。

竹蔵

2020/08/21

ラブドールの歴史を精緻にまとめた文献。業界大手の開発ベースの貴重なインタビューとともに、ソフビなのかシリコンなのか、ぬいぐるみなのか……「素材」と「顔」を軸にリアリティーの問題が語られ、ダッチワイフとラブドールの境界にも触れる。90年代のインターネットが広告出稿のハードルを下げ、ラブドールを拡販したという指摘にも注目。