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溺れてしまう 双葉文庫
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溺れてしまう 双葉文庫

菅野温子【著】

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溺れてしまう 双葉文庫

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 双葉社
発売年月日 2008/04/10
JAN 9784575511963

溺れてしまう

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2018/06/06

脅されて言いなりの被虐美と蠢き出す肉欲

どちらかと言えば女性の立場から性への渇望をソフトに描く作者だと思っていたが、本作に関しては嫌悪する男に弱みを握られ、言いなりにならざるを得なくなるという凌辱テイストがあった。そして、性に疎かったヒロインがめくるめく快感を体験させられたことで、その愉悦に抗えなくなっていく淫靡さが描...

どちらかと言えば女性の立場から性への渇望をソフトに描く作者だと思っていたが、本作に関しては嫌悪する男に弱みを握られ、言いなりにならざるを得なくなるという凌辱テイストがあった。そして、性に疎かったヒロインがめくるめく快感を体験させられたことで、その愉悦に抗えなくなっていく淫靡さが描かれていた。その意味では目覚めてしまった性を渇望する女性かもしれず、凌辱というハードな変化球ながら作者の掲げるテーマは同じなのかもしれない。 ヒロインは証券会社に勤める29歳の敏腕OL【希美子】ただ1人。美貌は社内ナンバーワンと称され、成績もトップのデキる女。それだけに高級志向であり、ブランド品を買い漁るのが高じて実は高額の横領をしてしまっている。これを同僚の〈三枝〉という男に知られてしまい、その穴埋めを条件に肉体を求められるのが序盤から中盤の流れである。 自宅や会議室、あるいはホテルといった様々なシチュエーションでさんざんに弄ばれる希美子。2ヶ月から3ヶ月と翻弄される日々が続いて三枝への嫌悪は強まるばかり。果ては緊縛に玩具責めといった形で女を弄ぶことに執着する三枝への憐憫さえ抱く希美子だが、肉体へ植えつけられた興奮と快感には抗えなくなり、その未知の体験に驚く日々だったりもする。婚約者に裏切られた過去から仕事に邁進して登り詰めたトップの地位も揺らぐほどに生じた肉欲への渇望に驚き、その変化に戸惑う希美子である。心は抵抗するも体は悦んでしまう被虐の官能は興奮度が非常に高く、どことなく2005年に発売された『熟母輪姦』(著:夏島彩、フランス書院文庫)に似た感じもした。 囚われの身が続きながらも遂には三枝の弱点を見つけ、逆転を迎える第4章の終わりから第5章を経て最終章たる第6書の始まりまでは解放を喜びながらも今度は自覚してしまった肉欲に囚われ、自慰を繰り返してしまう希美子。官能的には少々中弛みの感が拭えない。将来の伴侶としてセレブな〈山城〉なる歯科医の跡継ぎと出会って順風満帆なのだが、至極真っ当な営みに終始する山城では肉欲だけが満たされない。これを満たすのが結婚直前に出会った〈柴野〉なる40代半ばの人物である。 独身最後のアバンチュールと決め込んだ希美子が柴野の手練手管に陥落する。当初とは毛色の異なる官能だが興奮度は高い。ここで結婚とセックスと恋愛は同じが理想なれど現実は異なることもあると悟るのが希美子の強欲なところであり、希美子を通して作者が描こうとした女性の業の深さであろう。ハイソな結婚生活と己に忍んだ旺盛な肉欲の両方を別々から得ようとの考えに至る結末には「あな恐ろしや」とさえ思えてくる女性の底意地を見た気がした。凌辱による序盤から中盤の抑圧された官能美と自ら求めていく終盤の解放された官能美を併せ持つ本作は隠れた名作ではないだろうか。

DSK

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