新ちゃんがないた！ 改版 文研じゅべにーる

佐藤州男(著者)

• 販売会社／発売会社: 文研出版
• 発売年月日: 2004/01/01
• JAN: 9784580814714

商品レビュー

2020/11/23

人権に関するおすすめ本とのことで読んだ。

元気いっぱいの主人公剛の隣に住む幼なじみの新ちゃんは、生まれつき四肢性マヒという病気で歩けず、小学校は全寮制の病院に併設された学校に入り、帰ってくるのは1年に2回だった。

しかし、5年生になり、家に戻って剛と同じ小学校に通うことになった。
泣いてばかりいた新ちゃんは、すっかり大人っぽくしっかりした子になっていて、周りの人々を驚かせる。
その新ちゃんが泣いたのは…

新ちゃんもお母さんも苦しいことばかりだろうに、描かれているのは明るくやさしい様子ばかり。

ものに恵まれている新ちゃんを剛がうらやましいと思い、その考えが間違っていたことに気づいたり、学校での嫌がらせに対する「たたかい」に暴力ではない形で勝つエピソードなど、この本を読むことで誰もが大切なことに気づけるのではないだろうか。

2020/08/03

手に取る機会があって読んだ。

おれは、山本剛。
となりに住んでいる同い年の新ちゃん（土田新一）は、四肢性マヒという病気で両足が不自由だ。
新ちゃんは、一年生から四年生まで新潟の「浜なす学園」で暮らしてきたけれど、五年生からおれと同じクラスになった。

1986年発行、当時は、こういう作品は珍しかったのかもしれません。
障害を持つ子どもが学校に馴染むまでのおはなしです。
50ページ、四月の始業式のシーン。
担任の先生から全校に紹介される新ちゃんは、「事実を認めることから出発」と言っている。
それがどんなに難しいことか。
泣くことが何かになるかどうか、自分が悪いと認めるのはいつか、などなど、はっとすることがいくつも出てきます。
私たち読者は、「おれ」と新ちゃんのそばにいて、とくに「おれ」の心の動きを自分事として感じるのではないでしょうか。
はじめは自分だけが頼られるという使命感にひるみ、次第に新ちゃんを尊敬するようになり、一緒に楽しんで時を共にして、新ちゃんの強さ以外も知って、胸がいっぱいになります。
個人的には、夏休みのエピソードがすごくいいなぁと思いました。
本はそこにあって、そこに世界があって、ここの世界とも繋がっているけれどすべてではない。
実体験が第一です。
そしてそれをカバーできる本にも、やっぱり力がある。
私は自分の軸がわからなくなるとき、自分が経験したことと、自分が信じている人の言うことを信じる、と決めています。
そんなことも思い出しました。

2020/03/19

新ちゃんがないた 佐藤州男

孫の朗読で聞かせてもらった本
出合いとすれ違い
どちらを選ぶかが人生の要だとつくづく思う

語りの剛も主役の新ちゃんもお母さんたちも
周りの人達を取り込んで
大きな試練を後ろ向きの依存関係に逃げずに
前向きな冒険への挑戦を選び
泣き虫を返上して生きる限りの成長を愉しんで
喜びを見つけ出して行く物語
この物語が伝えたいのは
「健全な精神は健全な肉体に宿る」という
もっともらしい言葉の視野の狭さについてだ

人は利他的であることが循環する宇宙の法則につながり
巡り巡って自分をも幸福のリズムへと誘うものらしい
どうやら誰かのために喜んで泣ける人へと
成長していくそれぞれの選ぶ人生が目指す方向らしい