線維筋痛症とたたかう 未知の病に挑む医師

西岡久寿樹(著者), ホールネス研究会著(著者)

• 販売会社／発売会社: 医歯薬出版
• 発売年月日: 2004/04/01
• JAN: 9784263205556

商品レビュー

2015/02/16

図書館にて。
患者エピソード、医師エピソード、線維筋痛症の解説とデータ、問題点とこれからのまとめというバランスの良い構成で非常に読みやすくすらすらと読む事ができた。線維筋痛症を各視点から概観する事ができる良本。

患者のエピソードは共感できるものの、激しいエピソードも多く、その中で慢性疲労症候群との関連を挙げられると慢性疲労症候群患者としては少し戸惑ってしまう。
注釈は多い物の、全く注釈なしに専門用語、略語が出てくる部分が一部あり、その部分は読み飛ばしてしまった。
慢性疲労症候群に関しての記述も所々にあり、線維筋痛症と慢性疲労症候群の疫学調査に関しては知らない情報が多く、ほうほうと読み込んでしまった。慢性疲労症候群に関してこの本と同様のものがあれば良いなと思った。
効果のある薬に関しては複数載っている物の、発行年が２００４年のため、2010年6月発売開始のリリカに関しての記述はない。

慢性疲労症候群と関連のある患者エピソードについて
線維筋痛症友の会代表橋本裕子さんのエピソードにおいて、P１５～P１９までに記述がある。その間非常に行動的なエピソードが述べられた後、『線維筋痛症と慢性疲労症候群の混合型と診断された』と述べられるため、非常に活動的な人間も慢性疲労症候群であると誤解されそうな記述の仕方ではあった。
曰く、『没頭する対象を見つけて痛みから気をそらすことが、なんとしても必要だった』から『大学では決められた単位の二倍も取ってしまった』、『卒業後は都内の大手書店に就職したが、そこでも仕事に異常なまでに没頭した。専門書の担当になり、朝は始業前の早朝から夜遅くまでほとんど立ち通しで夢中になって取り組んだ』『肉体が疲労しきると、一種の高揚感があり、なぜか痛みは軽減された』などといったエピソードは慢性疲労症候群になる前のエピソードとしてはよく目にするのだが…。