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なぜ日本は没落するか
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なぜ日本は没落するか

森嶋通夫(著者)

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なぜ日本は没落するか

定価 ¥1,980

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 岩波書店
発売年月日 1999/03/05
JAN 9784000015509

なぜ日本は没落するか

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商品レビュー

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2025/01/17

「…二〇五〇年の場合には,都会でも田舎でも人々は同じ教育を受け,しかも日本は[徳川時代と比べて]階級差の少ない社会になっている。その上その時の日本の住民の資質は良くないと予想される。(この点が本書の焦点である。)エリートも牽引車ももやは存在しない。だから人々は経済的に恵まれていれ...

「…二〇五〇年の場合には,都会でも田舎でも人々は同じ教育を受け,しかも日本は[徳川時代と比べて]階級差の少ない社会になっている。その上その時の日本の住民の資質は良くないと予想される。(この点が本書の焦点である。)エリートも牽引車ももやは存在しない。だから人々は経済的に恵まれていればいるほど,安逸を打ち破ろうとはしないであろう。彼らはむしろ何もしないで安楽死を願望するとすら考えられる。(p.vii)」 この書き出しからすれば,日本国民が奮起しなければ政治の没落の罠から脱出できないということになる。ホントにその通りだ。しかし,「アジア共同体の形成」が有効なのかは判断に窮する。 とはいえ,かなりしっかりした思考の持ち主であることは間違いない。「日本人は歴史的危機に何度も立ち直ってきた。今後もできる。日本人とはそういう民族だ」という主張にしばしば出会ってきたが,この論が成り立つのは「日本人の質的同一性」が担保されていなければならない。 *****  没落は政治から起こることもあるし,経済から起こることもある。日本はかつて政治は三流,経済は一流といわれたが,経済が破綻した現在でも,海外が日本に期待しているのは依然として経済であって,政治ではない。経済と政治の結びつきは種々であり得る。日本が没落するのは,今度の場合も明治維新の時と同様,政治からである。それは日本の伝統なのだろうか。(p.v) …私はもはや高校二年生の若者ではなく,社会科学者のベテランに名をつらねている。情緒的に反応することは,ベテランには禁じられていることである。出来るだけ冷静に,客観的に,私のことをどこに間違いがあるかを検討し,どこが間違っていたかを第三者や私自身に納得的に説明できるような形で,分析をすすめなければならない立場に,私はいる。(p.9)  マルクスは経済が社会の土台であると考えるが,私は人間が土台だと考える。経済は人間という土台の上に建てられた上部構造にすぎない。それ故,将来の社会を予測する場合,まず土台の人間が予想時点までの間にどのように量的,質的に変化するかを考え,予想時点での人口を土台としてどのような上部構造――私の考えでは経済も上部構造の一つである――が構築できるかを考えるべきである。(p.12) 人口史観で一番重要な役割を演じるのは,経済学ではなく教育学である。そして人口の量的,質的構成が決定されるならば,そのような人口でどのような経済を営み得るかを考えることが出来る。土台の質が悪ければ,経済の効率も悪く,日本が没落するであろうことは言うまでもない。私はこういう方法にのっとって,没落を予言したのである。(pp.14-15)  動物の場合は,死んで往くものと生まれて来るものに殆ど差はないから,集団の質はほぼ一定である。しかし文化を身につけている人間は,死んで往くものが身につけていた文化と異なった文化を身につける子供が生まれてくるから,集団の質は変わってくる。(p.20)  [イギリスの]候補者は党の公約を理解し,説明できないければならない。公約は,政治,経済,文教,福祉等,国民生活のあらゆる面にわたるから,公約をマスターするだけでもかなり勉強する必要がある。イギリスでは政治家は,大学にしばしばきて講演会を開くし,大学の研究会にも参加する。学生は意地の悪い質問をするから,自党の公約の裏の裏まで理解していなければ,とっちめられてしまう。  戦後教育を受けた人達と政界の距離は,彼らと実業界との距離よりはるかに大きい。多くの日本の若い人は政界に背を向けてしまい,政治家の家に生まれた二世だけが人材の主要補給源になっている。その結果政界は国民からますます離れた世界になり,彼らが国民の意志を代表していないことは,外国でも周知である。こういう状態は国を格付けする場合に,決してプラスにならない。その上,政党や政府から,新発想の行動計画が発案されることはないのだから,政治に無関心でも取り残されることはない。(pp.29-30)

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2023/02/20

1999年、最もノーベル経済学賞に近かった著者が“日本の2050年”を予測し、『なぜ日本は没落するか』を警告した一冊。発表時にはあまり話題にならず、黙殺された様子。 発行から24年、ほぼ半分が経過した時点で、悲しいことに著者の予測がほぼ的中。 著者は「政治的没落」の罠から脱出する...

1999年、最もノーベル経済学賞に近かった著者が“日本の2050年”を予測し、『なぜ日本は没落するか』を警告した一冊。発表時にはあまり話題にならず、黙殺された様子。 発行から24年、ほぼ半分が経過した時点で、悲しいことに著者の予測がほぼ的中。 著者は「政治的没落」の罠から脱出するため、アジア共同体形成を説くが、日本がアジアでの主導権を失い、中国が台頭してしまった今となっては、日本がアジア共同体形成を主導する力もなく、没落を甘受せざるを得なくなったということか。

Posted by ブクログ

2019/11/20

安冨先生の師匠で「わかりやすい」と見かけて挑戦してみました。わかりやすいが、コテンパンにやられてめげたよ…。「没落論」であるから、日本はこのように駄目です、という話。すみませんダメで…泣。メッタ斬りにした最後の唯一の道が「北東アジア共同体」という壮大なものをぶち上げ、これが言いた...

安冨先生の師匠で「わかりやすい」と見かけて挑戦してみました。わかりやすいが、コテンパンにやられてめげたよ…。「没落論」であるから、日本はこのように駄目です、という話。すみませんダメで…泣。メッタ斬りにした最後の唯一の道が「北東アジア共同体」という壮大なものをぶち上げ、これが言いたかったんですね…、となるがその前にこっちはズタボロである(心理的に)。二十年前の本だから森嶋先生が予想できなかったこともある。貧困と格差、ポピュリズムの台頭は出てこない。しかし、日本が没落していく冷徹な見通しだけは見事に正しいの。涙(2019-11-15)

Posted by ブクログ