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予告された殺人の記録

G・ガルシア・マルクス(著者), 野谷文昭(訳者)

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 新潮社
発売年月日 1983/04/05
JAN 9784105090043

予告された殺人の記録

¥220

商品レビュー

4.5

5件のお客様レビュー

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2017/01/13

ガルシアマルケスの物語は噎せ返るような土埃と乾いた血の匂いと死臭にまみれた生で溢れている 。生命力。読んでてえげつないな〜と思いつつ笑わせられるのが凄い。

Posted by ブクログ

2015/05/06

G. G.マルケスの作品は、私にとってふたつめとなる。『百年の孤独』に続いて読んだのは、作家本人がその長編以上だと自賛するこちら。 共同体の崩落という共通項があるのだが、その発端となる男に抱いたイメージを説明しようとするとき、僕はすぐに「ギャツビー氏」を挙げたい。異端なふるまい...

G. G.マルケスの作品は、私にとってふたつめとなる。『百年の孤独』に続いて読んだのは、作家本人がその長編以上だと自賛するこちら。 共同体の崩落という共通項があるのだが、その発端となる男に抱いたイメージを説明しようとするとき、僕はすぐに「ギャツビー氏」を挙げたい。異端なふるまい・人々を手玉にとる魅力・出自へのミステリー・奇抜な衣装・・・そうして最大の共通する点は、二人は愛に狂ったことである。 さて、ルポルタージュ風の筆致で繰り広げられた「予告された殺人」において読者を引き付けるのは、時間軸の交錯から感じられるスリルである。大団円として殺害の場面が描写されるまでの間、語り手をかえ、場所をかえ、そして語られる時が入れ代わる。 何度も何度も描写される事件に対して読者が抱くのは、まるで自らが捜査・聞き込みをしているような興奮であろう。この点においてはカポーティの『冷血』と似た感覚に陥った。 『百年の孤独』のような魔術性はみられないものの、リアリスティックな描写の随所にみられる、頑ななまでの「習慣・男らしさ」は、二十一世紀をいきる我々にとって、もはや想像のほかに出てしまった所業である。

Posted by ブクログ

2013/03/06
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

作品によって、文体を全く変化させてしまう作家がいるが、ガルシア=マルケスもその一人。この『予告された殺人の記録』は、『百年の孤独』を華麗に彩るマジック・リアリズムの文体とも、『コレラの時代の愛』で試みられた19世紀リアリズム小説風のそれとも異なり、ルポルタージュ的文体で統一されている。それもそのはず。この作品は、作家の生まれた地方で実際に起きた事件をもとにしている。 マルケスは、最初ルポルタージュとして書こうとしたのだが、事件の関係者の中には身内や知人が含まれていて、母親に発表を反対される。小説に姿を変えた『予告された殺人の記録』が発表されたのは、関係者全員が死んだ後のことであった。作家本人が最高作と認めるだけのことはあって、中編ながら読み応えのある作品となっている。特に、複数の時間軸を巧妙に配した構成と、贅肉を削りとられて引き締まったルポルタージュ風文体がひときわ印象的だ。 舞台はマグダレーナ河を遡った川沿いの小さな町。かつては海から人や荷物を輸送してくる船で賑わったが、鉄道の時代となった今、線路の敷設されていない町は寂れている。ことは、一人の男が町に流れ着いたことからはじまる。その男バヤドル・サン・ロマンは、「わたし」の従妹アンヘラ・ビカリオに結婚を申しこみ、盛大な結婚式が挙行されることになる。事件は結婚式の翌朝起こった。初夜の晩、処女でなかったことを理由に実家に戻された花嫁の双子の兄弟が、「わたし」の友人サンチャゴ・ナサールを惨殺したのだ。 しかし、何故サンチャゴ・ナサールが殺されなければならなかったのか。双子は、公然と彼を殺すことを予告し、多くの人が、その事実を知っていた。双子は、どうやら自分たちの殺人が未然に阻止されることを願っていたらしいのだ。しかし、あらゆる偶然が作用し、本来回避されるべきであった殺人事件が起きてしまう。 「わたし」は、被害者、加害者双方に近しいこともあり、二十七年間の長きにわたって、関係者に事件当日の様子を取材して回り、ことの真相を明らかにしようとする。『予告された殺人の記録』は、その奇妙な殺人事件の真相を推理する一種の「倒叙推理小説」でもある。誰が犯人かを問う「フーダニット」ではなく、何故事件が起きたのかを問う「ホワイダニット」の。 この作品は、未だ夢占いが意味を持つ旧世界的なカリブ海沿岸の僻村に、新世界からの流れ者が現れることによって、古い共同体が崩壊してゆく様を描いたものとも読める。富者と貧者、近代と過去、滅びゆく階級と勃興しようとする階級、母系制社会と男性至上主義等々の二項対立による葛藤が悲劇を生む。莫大な財産を蕩尽する結婚式というカーニバル的祝祭空間が、花嫁の返還という不毛な結果に終わったことによる漠とした不満が犠牲の羊を要求したのだろうか。男性至上主義(マチスモ)の時代錯誤的な悲喜劇をアイロニカルに描いたものとも…。解釈はいろいろだ。 ただ、そうした解釈をひとまず置いておいて、何よりもマルケスが描き出す作品世界にどっぷりと浸りたい。その日の天気すら「海からの微風がバナナ園を渡ってくる陽射しの強い朝」だったという者もあれば、「雲が低く垂れこめ、淀んだ水の臭いが鼻をつく、うっとうしい天気で」あったという者もいる。それぞれの目撃者による二十七年間に及ぶ様々な時点からの回想が入り組んだ、結婚披露宴のどんちゃん騒ぎから、殺人者が屠殺ナイフを手に被害者の影を求めて彷徨う昧爽に至る濃密な一日を。 凄惨な殺人事件を描きながらユーモアすら漂う、ラテン・アメリカ文学ならではの奇想天外な世界。厳格な母親に監視されていながら、いつの間にか処女を喪失している一筋縄ではいかない現実。恐怖でしかなかった初夜に、実家に戻されて初めて相手に愛を感じはじめ、何年後かに町で見かけてから強烈に恋い焦がれ、トランク一杯の手紙を送るという信じられない恋の顛末。『コレラの時代の愛』に通じる破天荒な恋愛譚でもある。これからガルシア=マルケスの作品を読んでみようかなと考えている読者に一押しの作品。

Posted by ブクログ

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