遙かなる時空の中で 遥かなる夢ものがたり GAMECITY文庫

近藤史恵【著】, ルビー・パーティー【原案】

• 販売会社／発売会社: 光栄
• 発売年月日: 2008/03/06
• JAN: 9784775806555

商品レビュー

2015/11/10

テレビ版アニメにハマり、音楽に行き、とうとうノベライズされた小説まで辿り着きました。

だけど、「遥か」の世界観や人物にじっくりと浸れるなら、小説化された作品がいちばん入り込める気がする。
と、思い読み始めましたが、流石に実力作家さんの手になるだけあり、第一話から読み応えがあります。
構成、内容からして「遥か」の世界を活かしつつも完全なオリジナルストーリーになってます。
その上、ドラマでさんざん見てるので、それぞれのキャラの姿や声が蘇り、読むセリフがそ声優さんの声で頭の中に鳴り響いてくるのは私が妄想たくましいせいなのか、それとも、小説が素晴らしいからなのか。
きっと後者でしょう―笑
一つの小説作品として十分に楽しめる上、「遥か」ファンにとっては堪らないです！
これがあれば、まだまだ、この世界に浸れそうですね。

【読み終えて】

完全にゲームのノベライズの枠を超えて一つの小説世界として確率している優れた作品です。
それぞれ八葉たちが主人公のオムニバスでしたが、最後の詩紋の話は涙なしには読めませんでした。
赤児の頃、成長したら父をのろい殺すと占い師が予言したために無残に父親に殺された赤ん坊。
その霊と赤ちゃんを守ったがために一緒に殺された犬の霊が蘇り、詩紋と遭遇。
―ずっと一緒にいて、寂しいんだ。
少年の姿をとっ霊は心優しい詩紋をあの世に連れてゆこうとします。
殺されてもなお父親を慕い、霊となってまで
―お父さんに逢いたい。
と手紙を書いたのがあまりにも可哀想でした。

また、橘友雅さんの話は病のために男に捨てられた女性の霊の話で、いかにもプレイボーイの友雅さんらしい。しかし、これも心を打つ良い話でした。
どの話もとても良かったです。