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遠野物語 新潮文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 新潮社 |
発売年月日 | 1992/05/25 |
JAN | 9784101047041 |
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商品レビュー
3.9
22件のお客様レビュー
都会に生活していては…
都会に生活していては決して知る事の出来ない、摩訶不思議な伝説、風習の集積。
文庫OFF
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
遠野昔話の本。 11と50と72と102の話が良かった。 p. 20 一一 此女と云ふは母一人子一人の家なりしに、嫁と姑との仲悪しくなり、嫁は屢々親里へ 行きて帰り来ざることあり。其日は嫁は家に在りて打臥して居りしに、昼の頃になり突然と倅の言ふには、ガガはとても生かしては置かれぬ、今日はきつと殺すべしとて、大なる草苅鎌を取り出し、ごしごしと磨き始めたり。その有様更に戯言とも見えされば、母は様々に事を分けて詫びたれども少しも聴かず。嫁も起出でて泣きながら諫めたれど、露従ふ色も無く、やがては母が遁れ出でんとする様子あるを見て、前後の戸口を悉く鎖したり。便用に行きたしと言へば、おのれ自ら外より便器を持ち来りて此へせよと云ふ。夕方にもなりしかば母も終にあきらめて、大なる囲炉裡の側にうづくまり只泣きて居たり。倅はよくよく磨ぎたる大鎌を手にして近より来り、先づ左の肩口を目掛けて薙ぐやうにすれば、鎌の刃先炉の上の火 棚に引掛かりてよく斬れず。其時に母は深山の奥にて弥之助が聞き付けしやうなる叫声を立てたり。二度目には右の肩より切り下げたるが、此にても猶死絶えずしてある所へ、里人等驚きて馳付け倅を取抑え直に警察官を呼びて渡したり。警官がまだ棒を持ちてある時代のことなり。母親は男が捕へられ引き立てられて行くを見て、滝のやうに血の流るる中より、おのれは恨も抱かずに死ぬるなれば、孫四郎は宥したまはれと言ふ。之を聞きて心を動かさぬ者は無かりき。孫四郎は途中にても其鎌を振上げて巡査を追ひ廻しなどせしが、狂人なりとて放免せられて家に帰り、今も生きて里に在り。 p. 39 五〇 死助の山にカツコ花あり。遠野郷にても珍しと云ふ花なり。五月閑古鳥の啼く頃、女や子ども之を採りに山へ行く。酢の中に漬けて置けば紫色になる。酸漿の実のやうに吹きて遊ぶなり。此花を採ることは若き者の最も大なる遊楽なり。 p. 51 七二 栃内村の字琴畑は深山の沢に在り。家の数は五軒ばかり、小烏瀬川の支流の水上なり。 此より栃内の民居まで二里を隔つ。琴畑の入口に塚あり。塚の上には木の座像あり。およそ 人の大きさにて、以前は堂の中に在りしが、今は雨ぎらし也。之をカクラサマと云ふ。村の 子供之を玩物(もてあそびもの)にし、引き出して川へ投げ入れ又路上を引きずりなどする故に、今は鼻も口も見えぬやうになれり。或は子供を叱り戒めて之を制止する者あれば、却りて崇を受け病むことありと云へり。 p. 71 一〇二 正月十五日の晩を小正月と云ふ。宵の程は子供等福の神と称して四五人群を作り、袋を持ちて人の家に行き、明の方から福の神が舞込んだと唱えて餅を貰う習慣あり。宵を過ぐれば比晩に限り人々決して戸の外に出づることなし。小正月の夜半過ぎは山の神出でて遊ぶと言ひ伝へてあれば也。山口の字丸古立におまさと云ふ今三十五六の女、まだ十二三の年のことなり。如何なるわけにてか唯一人にて福の神に出て、処々をあるきて遅くなり、淋しき路を帰りしに、向ふの方より丈の高き男来てすれちがひたり。顔はすてきに赤く眼はかがやけり。袋を捨て、遁げ帰り大いに煩ひたりと云へり。
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遠野に伝わる話の数々。一つ一つが短いので文語体が苦手でも読みきれました。改めて現代語バージョンとか読んでみたいです
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