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競馬への望郷 角川文庫
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競馬への望郷 角川文庫

寺山修司(著者)

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競馬への望郷 角川文庫

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 角川書店
発売年月日 1979/09/20
JAN 9784041315149

競馬への望郷

¥220

商品レビュー

4.7

5件のお客様レビュー

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2024/02/20

「人は誰でも自分に似た馬をさがして賭ける。片目の男は、片目の馬に賭け、聾唖の男は声の出ない馬に賭ける。だから、みなしごの鉄ちゃんが孤児の馬をさがして賭けたのも、不思議なことではなかった。」(p.91) この本の競馬観が端的に表れている箇所です。 馬券で勝てそうだから賭けるのでは...

「人は誰でも自分に似た馬をさがして賭ける。片目の男は、片目の馬に賭け、聾唖の男は声の出ない馬に賭ける。だから、みなしごの鉄ちゃんが孤児の馬をさがして賭けたのも、不思議なことではなかった。」(p.91) この本の競馬観が端的に表れている箇所です。 馬券で勝てそうだから賭けるのではなく、自分を重ねた馬に賭ける。 当然、競馬で大当たりしたような愉快な話は少なく、むしろ人生と敗北とが競馬を通じて語られていくと言った調子です。 人生に負けた者が、競馬によって再度勝負する機会を得て、また負けていく。 そのくせどの短編も、読後感がとてもいい。 現在の中央競馬の一般レジャーぶりとは正反対の考え方ですが、そこはもちろん同じ競馬。 登場する馬は1960~70年代が中心で、ハイセイコー以外は正直何のことやらなのですが、東京競馬場の魔の第3コーナー(p.45)の話の続きにはサイレンススズカを挙げずにはいられないし、「日本一の逃げ馬は?」(p.119)と聞かれれば登場人物達にパンサラッサの勇姿を語りたい気持ちに駆られてしまいます。 それに、時代は違ってもダービーはダービーだし、東京競馬場は東京競馬場です。(改修で条件は変わっているかもしれませんが。) 時代も馬もコースも人も入れ替わってしまっても、それでも通じるものがあります。 読み終わって、タイトルの「競馬への望郷」が、ぴったりとハマりました。

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2016/01/31

書いたものが多すぎて全集が出せない作家ベスト1ではないかと個人的に考えている寺山修司。文章が気取っているからなど拒絶反応を起こす知り合いもいたが、寺山はかっこいいんだからいいじゃないか。 短歌に俳句に詩に芝居、小説、映画、戯曲、エッセイと、もう天才ですよ。 大学生の頃にハマり、古...

書いたものが多すぎて全集が出せない作家ベスト1ではないかと個人的に考えている寺山修司。文章が気取っているからなど拒絶反応を起こす知り合いもいたが、寺山はかっこいいんだからいいじゃないか。 短歌に俳句に詩に芝居、小説、映画、戯曲、エッセイと、もう天才ですよ。 大学生の頃にハマり、古本屋で何十冊も買って読んだものの、自分がギャンブルをしないせいか、競馬ものは一応買ってはいたものの敬遠していたのだが……。 馬や騎手の知識がなくても面白く読める。競馬をやりたくなるというのではないが、馬と人との悲喜こもごものドラマは読ませる。 寿司屋の政とかトルコの桃ちゃんとの話など、時代の空気も感じられていいなぁ。

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2014/11/01

昨年の凱旋門賞の頃には高橋源一郎『競馬漂流記』を読んでたことを思いだし、では今年は、とチョイスしました。 競馬のドラマ的な部分を、ファン、競走馬、騎手に分けて、それぞれ煮詰めたような作品です。レースに勝って伝説になる馬、馬券に負けて消えていく仲間、連戦を戦い抜く騎手の人生観、どこ...

昨年の凱旋門賞の頃には高橋源一郎『競馬漂流記』を読んでたことを思いだし、では今年は、とチョイスしました。 競馬のドラマ的な部分を、ファン、競走馬、騎手に分けて、それぞれ煮詰めたような作品です。レースに勝って伝説になる馬、馬券に負けて消えていく仲間、連戦を戦い抜く騎手の人生観、どこを読んでも胸に刺さります。 加えて、この作品自体も次のドラマに繋がっていることを知りました。 騎手、吉永正人の章で、最後著者は吉永のこれからの活躍を願い、文体を強めます。「馬主各位。調教師各位。もっと吉永に乗るチャンスを与えてやってください。人生で一番大切なものを失った男は、きっとレースで何かを取り戻すはずである。」 JRAのWebサイトのコラム『競馬を愛した人々』ではこの先のエピソードがあります。昭和58年皐月賞、寺山が自身のコラムに吉永の乗るミスターシービーが本命と書きます。体調不良を理由にコラムはこれが最終回となりますが、ミスターシービーは見事皐月賞を勝ち、続けてダービーを制するのです。 この年のダービーが5月29日。同月4日に寺山は47歳の若さで生涯を終えています。吉永の栄冠を願いながら、その瞬間を見ることなく。 このエピソードを知って再度吉永の章を読み返したのであります。

Posted by ブクログ

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