おこしやす 京都の老舗旅館「柊家」で仲居六十年

田口八重(著者)

• 販売会社／発売会社: 栄光出版社
• 発売年月日: 2000/09/15
• JAN: 9784754100353

商品レビュー

2023/05/14

　京都の老舗旅館｢柊家｣の仲居・田口八重さんの一代記。
　仲居の仕事に対する誇り高さと、人情味溢れる人柄が伝わってきます。
　第二章『忘れ得ぬお客さまの面影』に出てくる人物が、政治家/大学教授/作家/俳優/画家...と豪華で、三島由紀夫/川端康成/林芙美子/チャップリン/アラン・ドロン...に接客しているのが凄いです。
　Amazon.co.jpの月の声さんのレビューの言葉を引用させて戴きますと、｢京都の老舗旅館なんて、本で眺めてあこがれるだけ。一歩中に足を踏み入れても、私なんか場違いで居心地悪そう。そんな思いを吹き飛ばしてくれたのが本書である。｣です。
　川端康成の小説のモデルを断った話は、実に勿体無い事をしたと思います(著者の田口八重さんも後になって後悔しているし)。

2022/02/27

昨今よく聞く、アクティブリスニング、傾聴など人間関係を円滑にするための本はあまたあるが、本書を読めば、それらよりももっと実践的に、おもてなしの達人から、「人と接するということはどのような事なのか」、その真髄を学ぶことができると思う。

本書は、京都老舗旅館「柊家」の仲居、田口八重さんの仲居人生60年を振り返り、数々の思い出をつづった本。

仲居一筋60年。プロ中のプロ。接客業を極めた人。
数々の有名人、著名人の給仕を経て学んだ人生訓のみならず、それぞれのお客様との思い出も、温かい言葉で書かれている。

本書は、彼女がまるで語っているかのような文体で書かれており、語り口調その言葉一つ一つに、道を究めたプロフェッショナルの誇り、こだわり、哲学が感じられる。

圧巻なのは平沼騏一郎の給仕をした際のエピソード。緊張で一貫目（四キロ）痩せてしまったという。そこまで相手のことを思う。真のおもてなしとはそこまでのものなのか、と。お茶碗が正面になっているか、無駄な足音は立てていないか。阿吽の呼吸で、相手が求めていることに最大限の注意を払う。たとえ宿泊していなくとも、体調が悪いと聞けば、すっぽんを持ってお見舞いへ。

来たる者、帰るが如し「来者帰如」

お客様にとってみれば、八重さんと接すること自体がどこにいたとしても「帰るが如し」になっていたのではないだろうか。心の中の安全基地だったのかもしれない。

仕事を通して学び、人生を豊かにする。そして、それを後世に伝えていくことが彼女の使命だという。

極めた人のみがたどり着ける境地。

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おもてなし関連論文
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jima/63/3/63_KJ00008330039/_pdf/-char/ja

2021/11/02

F氏から借りた本。

この本はなんべんも読むことで、お八重さんのやわらかさを吸収できる気がするどす。
一流の接客スキルとかではなしに、一流の日本人とはを教えてくれはります。

つまらん自己啓発本ばっかり読んどったらあきまへん。

ほんで人生で一度は一流の旅館に、いや柊家に泊まりたいどす。