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普遍論争 近代の源流としての 平凡社ライブラリー630
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普遍論争 近代の源流としての 平凡社ライブラリー630

山内志朗【著】

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普遍論争 近代の源流としての 平凡社ライブラリー630

定価 ¥2,090

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 平凡社
発売年月日 2008/01/10
JAN 9784582766301

普遍論争

¥1,265

商品レビュー

3.7

5件のお客様レビュー

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2024/11/27

『普遍論争』は、「言葉と物の関係とは何か」という哲学の根本問題を、中世の普遍論争から現代の言語哲学まで丹念に追った知的探究の書です。著者の山内志朗は、一見すると難解に思える普遍論争の本質を、現代的な意義とともに明快に描き出しています。 まず、普遍論争とは何かを理解するために、具体...

『普遍論争』は、「言葉と物の関係とは何か」という哲学の根本問題を、中世の普遍論争から現代の言語哲学まで丹念に追った知的探究の書です。著者の山内志朗は、一見すると難解に思える普遍論争の本質を、現代的な意義とともに明快に描き出しています。 まず、普遍論争とは何かを理解するために、具体的な例から考えてみましょう。私たちが「犬」という言葉を使うとき、それは目の前にいる特定の犬だけでなく、すべての犬に当てはまる何かを指し示しています。では、この「犬一般」とは一体何なのでしょうか。それは実在するものなのか、それとも単なる名前に過ぎないのか。これが普遍論争の核心的な問いです。 山内は、この問題をめぐる中世の三つの立場を丁寧に解説していきます。実在論(普遍は実在する)、唯名論(普遍は名前に過ぎない)、概念論(普遍は人間の思考の中にある)という三つの立場です。例えば、プラトンの「イデア」のように普遍を実在として考える立場もあれば、オッカムのように普遍は単なる名前だと考える立場もあります。 特に興味深いのは、この論争が単なる歴史的な議論ではなく、現代の問題とも密接に結びついているという指摘です。例えば、「人権」や「正義」といった概念は実在するのでしょうか。それとも単なる社会的な約束事に過ぎないのでしょうか。このような問いは、現代の倫理や政治の議論にも直接つながっています。 本書の特徴的な点は、普遍論争を単なる形而上学的な議論としてではなく、言語と思考の本質に関わる問題として描き出していることです。私たちが言葉を使って考え、コミュニケーションを行うとき、そこには必ず普遍的な概念の問題が含まれています。山内は、この点を様々な具体例を通じて明らかにしていきます。 また、本書は現代の言語哲学との接点も探っています。例えば、ウィトゲンシュタインの「家族的類似性」の概念や、クワインの翻訳の不確定性テーゼなど、20世紀の言語哲学の重要な議論も、普遍論争の現代的な展開として理解することができます。 山内の文体は明晰で、複雑な哲学的議論を理解しやすい形で提示することに成功しています。特に、具体例を効果的に用いながら抽象的な概念を説明していく手法は、読者の理解を助けるものとなっています。 この本が問いかけているのは、結局のところ「意味とは何か」という根本的な問題です。私たちが言葉を使って世界を理解し、他者とコミュニケーションを行うとき、そこにはどのような前提が働いているのか。このような問いについて考えるための重要な視座を、本書は提供してくれているのです。 これらの問題は、人工知能やデジタル技術が発達する現代においても、ますます重要性を増しているように思えます。コンピュータは本当に「意味」を理解できるのか、機械翻訳は言語間の「普遍的な」何かを捉えているのか。こうした現代的な問いを考える上でも、本書の議論は重要な示唆を与えてくれます。

Posted by ブクログ

2019/11/09
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

この評価なのは力不足もありますが 読みづらさという点で、やはり哲学というものは… と思ってしまった感は否めません。 だけれども、どうして中世の哲学が遠ざけられて しまいがちだったか、というのは ある学派のあり方からしても仕方なかったのと その学派がそうせざるを得なかったから、とは言え あるものに依存しなければいけなかったのは やはり致命的な思想だったのかも… いっていることはつかめるけど それをものにはできない感じかな。 ただ読み終えてむかつく、という感じではなかったですね。 一応解説部分に謙虚な姿勢が見えますもの。

Posted by ブクログ

2011/12/23

20120803再読。著者の言う<見えるもの>と<見えざるもの>の区分、および従来の普遍論争構図の問題点、唯名論と実在論の違いなどはだいぶ理解出来た気がします。 が、第三章で取り上げられる「代表」の理論に苦戦。時間を置いてまたチャレンジしよう・・・・・・ 読了。はっとさせられる...

20120803再読。著者の言う<見えるもの>と<見えざるもの>の区分、および従来の普遍論争構図の問題点、唯名論と実在論の違いなどはだいぶ理解出来た気がします。 が、第三章で取り上げられる「代表」の理論に苦戦。時間を置いてまたチャレンジしよう・・・・・・ 読了。はっとさせられる部分や「なるほどそうだったのか!」と膝を打つところはしばしばありましたが、総体として私には力及ばず。特に中盤以降は理解しきれたとはとても言えません。 こんがらがりまくった中世哲学を明晰に解き明かしているのは間違いないと思いますので、また出なおしてきます。

Posted by ブクログ