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高学歴ワーキングプア 「フリーター生産工場」としての大学院 光文社新書
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商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | 光文社 |
| 発売年月日 | 2007/10/20 |
| JAN | 9784334034238 |

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商品レビュー
3.2
128件のお客様レビュー
大学院に進んだ挙げ句にフリーター、という道を辿る学生達を生産していく仕組みが作られたことを糾弾する本。 発端は1991年に当時の文部省が大学のレベル向上を狙って大学院の設置を増やすよう促す政策ができたことに始まる。この制度が、少子高齢化を見据えた大学の「経営」と既得権益を守ろう...
大学院に進んだ挙げ句にフリーター、という道を辿る学生達を生産していく仕組みが作られたことを糾弾する本。 発端は1991年に当時の文部省が大学のレベル向上を狙って大学院の設置を増やすよう促す政策ができたことに始まる。この制度が、少子高齢化を見据えた大学の「経営」と既得権益を守ろうとする層の思惑に利用され、折しも就職氷河期と重なったために「一時避難」的に大学院に進む学生が増え、その結果が高学歴ワーキングプアを大量発生させた、というものだ。 学生の弱みにつけこみ、教授という立場を使って既得権益層の利益のために誘導した挙げ句、教授の限られたポストはその層が独占し、学生達を「大学の経営を支えるための人柱にした」と結論付けている。フリーターにならざるを得なくなった大学院生達は「自己判断と自己責任」の名のもとに切り捨てられていく。 仕組みを作り上げた既得権益層に対する恨み辛みに満ちた本書。確かに、当時の既得権益層による悪巧みはあったのだろう。このような話は大学だけでなく、民間企業でも「老害」という形でよく見聞きする。それでもなお、「ポスト(市場)がない所で待ち続けるくらいなら、博士や教授の立場に見切りをつけて他の世界に踏み出すべきではなかったのか」という感想も持ってしまう。 騙された当事者達にとっては非常に気の毒な話なのは確かだが、かたやそんな見方もしてしまう本だった。
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専門性が極めて求められる大学院はほとんどの大学に備わっています。 国の支援による大学院システムが学生搾取へと繋がるプロセスを見出した本です。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
高学歴ワーキングプア 「フリーター生産工場」としての大学院 (光文社新書) 新書 – 2007/10/16 大学院(特に文系)に進学したら地獄にまっしぐらです 2016年1月14日記述 水月昭道氏による著作。 2007年10月の本である。 ただ指摘している事は全く古くなっていない。 残念ながら現在進行中のままなのだ。 本書内では主に文系の大学院進学者を想定している感じ。 理系だともう少し具合が違うのだろうか。 自分も文系で大学院進学は厳しいとは認識していた。 しかしここまでとは思わなかった。 大学院重点化策のあまりにずさんな、あまりに悲惨な、あまりに理不尽な結果に怒りを覚える。 大学院重点化による計画的な大学院生増加政策とは悪質な振り込め詐欺に他ならない。 どうなるか将来を検討もせず、そして誰も責任を取らない文科省官僚、大学経営者、教授には反吐が出る。 90年代前半からスタートした大学院重点化で増えた大学院生数と少子化で減った学部生の数が奇妙にほぼ同じであることも驚くほかない。 (90年代後半からの就職氷河期の学生の就職先が見つからないという問題を考えれば当時は雀の涙程度の意義はあったかもしれない。無論、今は無し) そして非常勤講師の待遇のヒドさ。 正規、非正規の格差は民間、公務員でも酷い。しかしアカデミアほどではないのだ。 専任講師や准教授になると実質的に終身雇用になり、教授になれば年収1000万円を超える。 しかもその非常勤講師達は学費を払う為の奨学金(学生ローン)の返済も合わせると手元にお金は残らずむしろ赤字になってしまうだろう。 リアルな地獄の行進をおこなっている。 その非常勤講師達によって大学の授業は成り立っている。 近隣の各地の大学で必至に教えている。 入試難易度差はあっても大学教育に格差など実質無い。 しかしこんな状態で授業料に見合うような高品質なものを提供し続ける事は出来ないだろう。 日本の大学は、最低品質のサービスを最高料金で提供する産業なのだ。 2015年6月12日の日経新聞夕刊記事だと会計大学院で既に13校中9校定員割れと報道された。 立命館、甲南、法政、2017年からは中央も廃止。 法科大学院もボロボロで先日成蹊大学法科大学院の廃止が決まったばかりだ。 この流れは構造的なものであり本書の指摘する事を真正面から受け止め改善していかないなら一般の大学院も会計大学院、法科大学院のように廃止される事態になるだろう。 労働力不足社会に突入した今後の日本にとって無用な大学院は廃止させるべきだ。 昔の大学院生数7万人程度にまで縮小させて何も問題はあるまい。 現行の大学院生数26万人は多すぎる。 現状大学院生になってしまった者はアカデミアにこだわることなく民間、行政に就職される事を勧告したい。 この腐った構造に身をおいてはいけない。 水月昭道氏も指摘するように「末は博士か大臣か」なんて言葉は死語と成り果てている。 本書終盤に水月昭道氏が書いていた学校法人は利他の精神を持てというのは理想論であろう。 そもそも私立学校は経営が安定しているならともかく そんな綺麗事だけでは経営は難しそうだ。 本書で登場した私立コースにいた女子学生がいざ国立大学に受けると手のひら返しをするのには呆れるばかりだ。 当の女子学生が卒業後に不信感を抱き母校への寄付などしないのも当然だ。 ただこの事態は私立高校ならば十分あり得るなと思ったのも事実だ。 (私も私立高校出身だ。何をするにも金ばかりでうんざりした記憶が強い。よほど特別なトップ校以外は私立なんて行く意味ないと当時思ったものだ) 利他の精神うんぬんについては、小中高は実際に数の上では公立学校がほぼメインだからまだマシだろう。 大学は逆に数の上で私立が多い。 経営的にも利他の精神どころではない。 大学院生数を無意味に増やしてしまった遠因になっているように思える。
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