深く深く、砂に埋めて

真梨幸子【著】

• 販売会社／発売会社: 講談社
• 発売年月日: 2007/10/17
• JAN: 9784062141192

商品レビュー

2024/09/15

あの真梨幸子がこういう話を書くのかと意外だった。自由奔放に生きた女と、彼女を巡る男たち。
イヤミス的な要素がほとんど見当たらない事に驚いた。きっちりミステリとして着地している点はそれまで培ってきた経験がなせる技だろう。
彼女や彼の選択は一つ残らず正しくなどない。だが彼らにはそんな事は関係なく自分の道を進む……結末がどこに向かうかは神でなくてもわかる。だがこれ以外に道はないし、そして奇妙な清々しさがあった。

2023/11/02

男を虜にしてしまう魔性の女、有利子。エリートと呼ばれる男性たちがその道を外してしまう。なぜ有利子にそこまで入れ込んでしまうのか終始疑問に思ってしまった。有利子が最後まで一人の男性を思っていたみたいな描写も、違和感。多情でわがままで金銭にだらしないとしか描かれていないから心情が伝わりにくかった。身を亡ぼしていく男性たちにもイライラしてしまった。

2018/07/09

ミステリーでもなくサスペンスでもない
どちらかというと日本文学のカテゴリーか？
でも、ライトノベル感覚。

18世紀の名作『マノン・レスコー』に
リスペクトして書かれたようで
まさに、そのまま。

作品の中に出てくる有利子は、決して悪女でもなく
魔性の女でもないと思う。
ただ、有利子に惹かれてしまった男達が愚かであるだけ。

恋は盲目。

有利子は、すべてにおいて自分に正直なだけ。
周辺の人々が醜悪なだけに
その純粋さが余計に際立つ気もする。

これもひとつの恋愛小説。