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相模湾上陸作戦 第二次大戦終結への道 有隣新書
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相模湾上陸作戦 第二次大戦終結への道 有隣新書

大西比呂志【著】

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相模湾上陸作戦 第二次大戦終結への道 有隣新書

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 有隣堂
発売年月日 2001/10/10
JAN 9784896601329

相模湾上陸作戦

¥330

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2024/09/20

 本書のタイトルは「相模湾上陸作戦」でダウンフォール作戦の全容を知りたいものにはひっかかりにくいものであった。また3名の筆者が神奈川県の「ダウンフォール作戦」(九州南部への侵攻と関東侵攻の橋頭堡とする「オリンピック作戦」と東京制圧作戦「コロネット作戦」の2つからなるのだが前者は大...

 本書のタイトルは「相模湾上陸作戦」でダウンフォール作戦の全容を知りたいものにはひっかかりにくいものであった。また3名の筆者が神奈川県の「ダウンフォール作戦」(九州南部への侵攻と関東侵攻の橋頭堡とする「オリンピック作戦」と東京制圧作戦「コロネット作戦」の2つからなるのだが前者は大胆にもほぼ説明を省かれている)の特に上陸予定地相模湾茅ヶ崎の「地域史」としての側面にもこだわっている拘っているため尚更であった。  日本側の記述は旧字体も多く和暦で西暦は併記されず(私個人は昭和以降は変換できるが読みにくい)、私がより知りたい、知りたかった連合国側の日本本土上陸作戦「ダウンフォール作戦」の全容に必要としても若干退屈であった。しかし昭和天皇が極めて積極的に戦争指導に口を出していたことがわかりやはりこれには一定の戦争責任があるとの認識を補強できたのは有り難い。  連合国側(主力はもちろんアメリカ軍)になると私の疑問や知りたかったことがかなり解明される。すなわち動員兵力や基本戦略、各軍司令官人事などである。  また、本書では「ダウンフォール作戦」とは殆ど呼称されず専ら神奈川県の地域史観点から相模湾の上陸作戦であった「コロネット作戦」が原子爆弾の実験成功によって放棄された事が言明されている。「あとがき」にもあるように沖縄、広島、長崎の犠牲の上に「関東平野は犠牲にならずに済んだ。そのことをその地域に住む人々はもっと考えるべきではないだろうか」という記述には同意しかない。現在でも日本国内から東京圏は急激な総人口減少にも関わらずヒト・モノ・カネを明治以来の(ということは結局大日本帝国の中央集権構図はほとんど変化していないということだ!)収奪を続け見合った還元をせず、2024年現在の日本のあまりに膨大な問題の中でも筆頭格にくる「個人間・世帯間・地域間格差」を是正する何らの「持てる側」の考慮がない(自公政権の現在さえ目標としては「東京圏への人口流入超過の反転」を掲げているにもかは変わらず。もちろん未達だが政治家、在京傲岸官僚の誰も責任を取らない。この目標を達成しうる私が複数具体的に持つ政策を実行しないからである)ということだ。本書の技術は残念ながら関東、わけても東京圏民へのそうした思慮を促すことに成功していない。  「原爆が、ダウンフォール作戦が実施された場合と比較して日米【従来専らアメリカ側の死傷者予測ばかりされてきたが日本側の予測ももっとなそれるべきだ。個人的には原爆投下による日本人犠牲者を軽く一桁、場合によっては二桁上回る死者すなわち1000万単位の死者が出た可能性が高いと推定する】」の人命損失を軽くしたか」が何度か本書では明示的にされる。しかし断言は巧妙に避けられる。しかし、アメリカ軍の日本本土上陸作戦実施強行派のマッカーサーやマーシャル両元帥などが「ダウンフォール作戦」の実施を放棄したのは「原爆の実験成功による」とは結論付けている点も好感が持てる。この点にこそ、ネットにあふれかえる自称リアリスト気取りは真剣に研鑽して冷厳な答えを主張してみせるべきだ。実際昭和天皇も広島への原爆投下直後の8月8日東郷(引用者注:外相)に「此種武器が使用せらるる以上戦争継続は愈々不可能になったから、有利な条件を得ようとして戦争終結の時期を逸することは良くないと思ふ。又条件を相談しても纏まらないと思ふから成るべく早く戦争の終結を見るよう取り運ぶことを希望す」(『東郷茂徳外交手記』)(P.149)【「このような兵器が出てきたからにはもう通常の和平とかいう段階ではないと思う。降伏を急ぐべき」】と言っていて、周知のように長引く御前会議で日本人高官共はポツダム宣言受諾すら決められず天皇に「聖断」を仰ぎ天皇は受諾するとした幼稚性もまた際立ってくるのである。  読んで、日本人の現在の近現代史の知見に対する無知蒙昧とすら言えるまでに落ちた(世界的にはますます研究が精緻になっているのに)状態に危機感等等に通り越して絶望感ですらなく絶望しかない。この国民は与えられた近代民主制の拡大どころか維持すら不可能な国民だったことをこの30年の衰亡はますます見せつけるからだ。  最後に本書がより広く読まれる(おそらく軍事マニア、ミリオタ方面にせよ…)最初に記述した本書の題名は「ダウンフォール作戦 コロネット作戦における相模湾上陸作戦」などとすれば、実施されずに済んだがかなり具体性を帯び訓練等もされ時期も決まっていた「ダウンフォール作戦」をより深く知りたい人々にもより届き、より読まれたのではないかと惜しまれてならない。    

Posted by ブクログ

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