世に棲む日日(三) 文春文庫

司馬遼太郎(著者)

• 販売会社／発売会社: 文藝春秋
• 発売年月日: 1999/12/10
• JAN: 9784167105068

商品レビュー

2010/05/28

松蔭の意志を継いだ晋…

[文庫ＯＦＦ]

松蔭の意志を継いだ晋作は長州を引っ張る形で過激な行動を取るが、やがて長州が過激な藩として暴走を始めるとちょっと距離を取ったりする。先頭を走って道を作ったかと思えば、いつの間にかコースアウトしたりして不思議な人間です。

2018/05/10

司馬遼太郎の名作の一つ。
幕末の長州に生まれた短命の天才高杉晋作。
「動けば雷電の如く、発すれば風雨の如し…。」
「おもしろき　こともなき世を　おもしろく」
魅力に取りつかれむさぼり読んでしまいました。

2016/11/17

「わしは一生、困ったと思ったことがなく、口に出したこともない」ーーその晩年、高杉晋作は述懐した。
まわりの仲間たちも、晋作が困ったという言葉を吐いたのを見たことがないという。

仲間を糾合し、異国の代表と堂々と渡り合い、あらゆる敵から変幻自在にその身を隠し、次の時を待ち、時を作る。

明治維新の出発点ともいえる奇兵隊を創設しながら、そのリーダーの座におさまることなく、あっさりと人手に渡してしまう権力への淡白さ。
しかし、誰よりも長州武士であることに誇りを持って行動していた晋作。

その立ち振る舞いや胆力は、奇想天外にして縦横無尽。そして、激動の時代の本質を見極めながら、舵取りをしていく。

謹厳実直な師匠・松陰に、自由闊達な弟子・晋作。対照的なこの師弟に共通するのは、汲めども尽きない圧倒的な人間力。ヒューマニズムだ。

師が志半ばで見ることができなかった日本の夜明けまであとわずか。
時代の申し子・晋作はいかに行動するのか。